今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
攻玉社中学校
2023年06月掲載
2023年 攻玉社中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)次の文章の【 】に当てはまる数は、 です。
(タ〜ノの中から、正しい数に最も近いものを1つ選んで答えなさい。)
まこと君は、夏休みの自由研究で「2次元コード」について調べています。
まこと君は、下のような50マスの「オリジナルの2次元コードの枠(わく)」を考え、それぞれのマスに□か■のどちらかを配置することで、何種類のコードが作れるかを計算しました。
この50マスの2次元コードの場合、約【 】種類のコードが作れます。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この攻玉社中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
チ ……1000000000000000(0が15個)
解説
1マスごとに白か黒かの2通りの色の選び方があります。そして、色の選び方は他のマスの色に影響されません。
よって、2マスでは2×2=4(通り)、3マスでは2×2×2=8(通り)、4マスでは2×2×2×2=16(通り)、…と、1マス増えるごとに、場合の数は2倍になります。
したがって、50マスでの場合の数は、2を50個かけあわせた数になります。
2を50個かけあわせた数を実際に計算するのは大変です。
そこで、【 】の前に“約”という言葉があることに着目して、2を10個かけあわせると1024、つまり「およそ1000」であることを利用します。
これより、正しい数に最も近いのは、チです。
(実際に計算すると、1125899906842624(1125兆8999億684万2624)通りとなります)
- 日能研がこの問題を選んだ理由
近年、さまざまな所で「2次元コード」が利用されているのを見かけます。この問題では、そんな「2次元コード」を題材にしています。
この問題は「場合の数」として出題されています。しかし、この問題の答えとして用意された選択肢には、見たこともないような数が並んでいます。ふだん「場合の数」の問題として用意される答えは多くても数千~数万通りで、一億を超えることはめったにありません。この問題に取り組んだ子どもたちも、きっとびっくりしたことでしょう。
この問題の仕組みは、「1マスごとに2通りずつある」という単純な場合の数の構造です。しかし、白か黒かの2通りの塗り方であっても、50マスにもなれば、その場合の数は人間が1つ1つ計算するのが困難なほど膨大な数になります。「50マスですら膨大な数になるのなら、実際に存在する「2次元コード」はいったいどれだけのパターンがあるのだろうか。」と、この問題に取り組んだ受験生の中には調べてみたくなった人もきっといるのではないでしょうか。
現代の情報化社会において、データの容量などは一昔前と比べると、文字通り“けた違い”に増えています。この問題では、そんな膨大な量を扱う情報の世界に触れる意図もこめられていそうです。この問題を通して、算数で学んできたことが実生活とどのようにつながっているのかを味わってほしい、という学校の先生方の思いが感じられました。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。