シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

白百合学園中学校

2023年05月掲載

白百合学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.文章記述は因果関係を明確に示す

インタビュー2/3

根拠なく結論だけの解答が目立つ

この問題のように、毎年、受験生の考えを引き出す自由度のある文章記述問題を出題されていますね。

鈴木先生 自分の考えを文章化できる力のあるお子さんに入学してもらいたいと思っています。基礎知識の獲得はもちろんですが、自分の言葉で答えられる力も大切にしたいと思っています。
文章記述問題はいろいろな分野から、時事問題をテーマに出題できればと思っています。普段見聞きするニュースを、理科的な視点でとらえられるといいですね。

理科の記述力として、小学6年生の段階でどのようなことを求めていますか。

鈴木先生 「○○だから、××だ」という因果関係を押さえることです。これは意外とできていません。因果関係が明確な文章は読み手も納得しやすくなります。

白百合学園中学校 図書室

白百合学園中学校 図書室

どっちがどっち?省略しすぎは伝わらない

自分はわかっているから、相手もわかっていると思って省略してしまうのかもしれませんね。主語は省略されがちです。

鈴木先生 キーワードさえ押さえればいいと思うのか、省略しすぎる傾向があります。どちらがどうなのか、書かれていないことがよくあります。
例えば、「AとBはどのように違うのか」の問いに対し、「Aが大きい」「Bが小さい」というように書いてほしいところを、「大きさが違う」だけでは、どちらがどうなのかわからないので正解にできません。

これは中高生にも見られます。例えば中1のフックの法則の実験の考察は、「ばねののびと力の大きさが比例する」と書くべきところを、「比例する」としか書かない生徒がいます。生徒には、「自分だけでなくみんなが読んでわかるように書かないと、考察がきちんと書けたことにはならない」と繰り返し話しています。

国語以外でも文章記述力が重要視されるようになり、何も書かない無答は少なくなってきたと思います。次のステップが、伝わる文章かどうかですね。

鈴木先生 主語・述語の関係がねじれない、主語を省略しないといった文章記述の基本を身につけて、日ごろから相手に伝えることを意識して練習してほしいと思います。

白百合学園中学校 聖堂

白百合学園中学校 聖堂

取り組みやすい問題から解いて構わない

鈴木先生 問題は得意な分野から解いてくれていいのですが、小学生は素直なのか、ほとんどが大問1から順番に解きますね。

わかっていても、いざ試験となるとなかなか実践できないのでしょうか。

鈴木先生 試験監督した教室で1人だけ、他の問題から手をつけた受験生がいましたが、ほぼ大問1から解いていました。始めに問題を一通り見る時間すら惜しんでいるのかもしれません。
分野の順番はランダムです。2023年度入試の大問1は物理分野(てこの問題)です。文章記述がなく、決まりきった計算で解けると思ったのですが、受験生は大問1で結構時間を使っていてハラハラしました。それでも最後の問題まで“完走”してくれてホッとしました。

考えを視覚化する作図的な問題も出題

鈴木先生 出題は全部で5題、各分野1題ずつではありませんが、配点は4分野が同じくらいになるようにしています。読む力、書く力、グラフや作図で視覚化する力を測る問題をバランスよく出題するようにしています。

作図的に視覚化するのは、文章化以上に内容を理解していないと表現できません。受験生の取り組み具合はいかがですか。

鈴木先生 例年、作図形式の問題は難しいのかなと思います。それでも出題するのは、本校に入学したら「こんなことを学びますよ」というメッセージでもあります。中学・高校の理科では概念図を理解することが大切になります。

文章量も多く、最後まで解くには読む力も求められます。

鈴木先生 大学入学共通テストがかなり読む力が必要になっています。知識がある上で、膨大な文章を読み取って考える力が求められています。中高で読む力、書く力、考える力をどのように育てるか試行錯誤していますが、中学入試でも意識して問いたいと思っています。

貴校の実験の問題は、どんな目的で、どんな実験を行ったか、状況設定が具体的でイメージしやすいと感じます。

鈴木先生 実験の問題は意識して出すようにしています。本校では実験・観察に数多く取り組みます。実験の目的を理解して、結果から因果関係を明示した考察を導いてもらいたいので、入試問題も実験の流れに沿うように作問しています。実験しているつもりで読んでくれたらうれしいですし、実験が好きなお子さんに入学していただきたいと思っています。

白百合学園中学校 図書室

白百合学園中学校 図書室

インタビュー2/3

白百合学園中学校
白百合学園中学校1881(明治14)年にカトリックのシャルトル聖パウロ修道女会を設立母体として創立。校名に冠している白百合の花は聖母マリアのシンボル。「キリスト教の精神に根ざした価値観を養い、神と人の前に誠実に歩み、愛の心をもって社会に奉仕できる女性の教育」が教育目的。勉強だけではなく部活動も委員会活動も行事にも力一杯取り組みながら、この目的達成を目指すのが白百合学園の教育方針である。校訓である「従順・勤勉・愛徳」の精神をあらゆる場で実践する。
多くの文教施設に囲まれ、緑豊かな靖国の森と隣接し、九段の閑静な住宅街に厳粛で落ち着いた風情が漂う。聖堂、講堂、図書室、体育館など施設・設備は充実しており、校内は整然とした美しさを保つ。併設の大学はあるが、純然たる進学校としてのカリキュラム編成。当然学ぶべき基礎教養を身につけることが、結果として進学実績を高めている。高2から大幅な選択制に。難関大学への現役合格率は高い。理系志向も強い。
一日は朝礼での祈りに始まる。社会奉仕も行う小百合会、ボランティア委員会などの活動は盛ん。クリスマスの時期に1日かけて、全校生徒が校内・校外にわかれ、奉仕活動を行う。週5日制だが、土曜日は行事などにあてられることもある。学園記念日ミサ・合唱祭、高原学校、球技スポーツ大会、学園祭、クリスマスミサなど行事も多種多彩。「修養会」では、心静かな祈りや講話、友人との話し合いなどを通じて、人生の根本問題を深く考え、自分で自分の心を育てる喜びの体験をしている。