シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題意図

大妻多摩中学校

2023年05月掲載

「こんなチカラを持った子どもに来てほしい」
「こんなチカラを持った子どもを育てたい」
私学のメッセージ(=アドミッション・ポリシー)はココにあった!

大妻多摩中学校の国語科が求めているチカラとは?

大妻多摩中学校/先生
1与えられた文章を読み解くチカラ

記述問題は問いの中にある条件を満たして解答を書くことが求められます。この問題では、まず素材文をよく読んで筆者の考えを読み解くこと。続いて、問題文をよく読んで記述の条件を読み解くことが、最初のステップになります。問題文が長く、しかも問われている内容が難しいので、少しとまどったかもしれませんが、そういう問題こそ文章としっかり向き合い、正しく読み解くことが正答への近道となります。

2柔軟に考え、編集するチカラ

「役に立つことは大事」という考え方は、多くの受験生がもっている考え方だと思います。「役に立つかどうか、だけではない価値基準にも目を向けるべき」という筆者の考え方は、受験生にとっておそらく新しい考え方であり、既存の考え方と、その場で出会った新しい考え方の組み替えが必要となる問題でした。同時に、素材文の「科学」ではなく、「文学」に置き換えて考えなければならず、本質をとらえる力も求められました。こうした問題に対応するには、日頃から新しい考えや概念を柔軟に受け入れて、既存の考え方とつないだり、組み替えたりする力を養うことが大切です。

3自分の意見を論理的に説明するチカラ

この問題では「文学は実学ではないから役に立たない」と判断する人に対する反論が求められています。そこだけを切り取ると、「文学は役に立つ」という立場に立てばいいんだな、と考えがちですが、筆者の考え方に沿うとなると、求められている意見がそこではないことに気づくと思います。記述問題では、自分の意見が定まったら、その意図が採点者に伝わるように、筋道を立てて説明しなければいけません。字数を意識しながら、伝えたいことが伝わるように文章を構成する力は中学校に入学後も役に立つ力です。