シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

市川中学校

2023年04月掲載

市川中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分で情報収集できるようになってはじめてデジタルツールが活きてくる

インタビュー3/3

普段の授業風景について教えてください。

守脇先生 本校は中3から全員タブレットを持たせます。オンラインで生徒とやり取りしています。生徒は日曜日や夜中、年末年始でも関係なく質問してきますが、デジタルツールを導入してからは、非常に生徒と密になりましたね。

長年教員をやっていてわかったのですが、14歳、中学2年ぐらいまでにメタ認知能力が決まるな、と思います。抽象的に脳みそを使うようになる中、メタ認知能力といった持久力や集中力、考え続ける力といったことのハードルが上がっていきます。とはいえ、デジタルツールを最初から使っていると、すぐに検索して調べてしまうので、知識も身に付かないでしょう。ですから中2までは「図書館に行こう」とか「本探してみよう」と言ってみたり、ちょっとした連絡事項であっても「掲示物を見よう」とか「先生に聞きに行こう」と生徒には言ったりしています。自分で動いて情報を収集するということを厭わないようになってはじめて、デジタルツールが有効なのかなと思います。中1・中2であまり楽はさせたくないです。その分教員側も大変ですけどね。

必ずしも便利なものが良いとは限りませんからね。考える時間は必要ですね。

守脇先生 そういうメタ認知能力を発見した子が、デジタルツールを使うと爆発的に伸びますね。なかには、謎のアプリを入れて使っていたり、我々が理解できないぐらいに使いこなしています。

まず、デジタルツールがなくてもやりたいことがあって、コンセプトや学習スキームがあって、それを実現するためにデジタルツールが必要だ、という順番で物事を考えることが大事です。やりたいことが決まっていて、ここまでは紙と鉛筆でできるものの、ここから先は外の世界の人とつながったり、情報収集するのにデジタルツールを使ったり、上手に使い分けています。

市川中学校 教室

市川中学校 教室

「思っていたことが違っていた」という瞬間をストックしていく体験を

これから、どのような生徒に市川中学校に入学してきてもらいたいとお考えでしょうか。

守脇先生 本校の建学の精神に「第三教育」というものがあります。第一教育が親からの教育、第二教育が学校の教育、第三教育が自分で自分を教育するといったもので、生涯教育と言い換えられるのですが、そういう生徒を育てたいですし、入ってきてほしいなと思っています。言い換えると興味関心のアンテナを立てて、それを自分で調べて解決していける子ですね。そこで親や先生の意見を聞いたりすることは当然あると思いますが、自分の頭を使って「課題を立てる」ことがポイントです。課題を立てられないと探究もありませんしね。

親がサポートできることはありますか。

守脇先生 テレビやニュースを見た際に、親御さんが「なんでだと思う?」と聞くことだと思います。

本川先生 「こう思っていたけど違った」といった瞬間が社会を勉強していると必ずあると思います。本校の過去問を見てもらうとそういった逆説の作りをしていることがわかると思うのですが、それが一番面白いなと私が社会を勉強していて思っていることです。「思っていたことが違っていた」という、その瞬間をストックしていくことはとても大事です。当然そこに行くまでは、覚えなければいけない知識はたくさんあります。でも、その体験はたくさん集めてほしいと思いますね。

守脇先生 経済学では「合成の誤謬(ごびゅう)」という概念があるのですが、みんなが良かれと思って個別最適化を求めていくのだけど、社会全体でマクロの視点として捉えた時に、必ずしも全体最適化にならないといった経済学におけるセオリーがあります。

社会科学ってその難題をどう解決していくかが課題なので、先ほどでいう「逆説」が重要となります。「良かれと思ってやっているのに、結果としてなぜ社会は悪い方向に進んでいくんだろう?」っていう、そこが課題発見のポイントだと思っていて、そういう思考で世の中の出来事を見る、つまり順接で捉えないで見るクセを付けてもらいたいです。そのためには、親御さんが普段から「なんでだと思う?」「どうして?」とお子さんに聞くことが大事で、一緒に考えてみrことが良いと思います。

市川中学校 建学の精神

市川中学校 建学の精神

インタビュー3/3

市川中学校
市川中学校1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。女子の1期生が高校へ進学する06年には高校でも女子の募集を開始。昨年4月には校舎の隣に新グラウンドが完成。2017年には創立80周年を迎えます。
創立以来、本来、人間とはかけがえのないものだという価値観「独自無双の人間観」、一人ひとりの個性を発掘し、それを存分に伸ばす「よく見れば精神」、親・学校以外に自分自身による教育を重視する「第三教育」を3本柱とする教育方針のもとで、真の学力・教養力・人間力・サイエンス力・グローバル力の向上に努めている。
効率よく、密度の濃い独自のカリキュラムで、先取り学習を行っていく。朝の10分間読書や朝7時から開館し、12万蔵書がある第三教育センター(図書館)の利用などの取り組みが連携し、総合して高い学力が身につくよう指導している。中学の総合学習はネイティブ教師の英会話授業。2009年度より、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となる。授業は6日制で、中1、中2の英語7時間、中3数学7時間など主要科目の時間数を増やす。ほかに夏期講習もあり、中1・中2は英・数・国総合型講習を実施。高校では、高2で理文分けし、高3ではさらに細かく選択科目等でコースに分かれて学ぶ。授業の特徴としては、インプット型の学習で基礎力を育成するともに、SSHの取り組みとして、研究発表、英語プレゼンなどを行う「市川サイエンス」、対話型のセミナーである「市川アカデメイア」、文系選択ゼミの「リベラルアーツゼミ」といった発表重視のアウトプット型の授業展開を実施している。自らの考えを相手に伝える表現力を、論理的に考え、それを伝わりやすい文章で表現するスキルとしてアカデミック・ライティングといい、「読めて、書ける」を目指し「課題を設定する力」、「情報を正確に受け取る力」、「それを解釈・分析する力」、「自分の考えをまとめ・伝える力」を育てる。
高1の各クラスごとに3泊するクラス入寮は創立当時から続く伝統行事。クラブは中高合同で活動する。行事は体育祭、文化祭のほか、自然観察会、合唱祭、ボキャブラリーコンテストなどもある。夏休みには中1、中2で夏期学校も実施。中3でシンガポールへの修学旅行を実施。また、希望者を対象にカナダ海外研修(中3)、イギリス海外研修(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学中3・高1)、ニュージーランド海外研修(中3・高1)、アメリカ海外研修(ボストン・ダートマス高1・高2)が実施されている。生徒のふれあいを大切にしているが、カウンセラー制度も設けて生徒を支えている。