シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大宮開成中学校

2023年04月掲載

大宮開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.考える楽しさと基礎力養成を両立

インタビュー3/3

授業以外のところでも考える機会を設ける

入学後、数学の「考える力」をどのようにして伸ばそうとしていますか。

松田先生 例えば廊下にパズルの問題を掲示して、生徒にチャレンジしてもらっています。答えは1つですが、解き方は1つとは限りません。生徒に自由に解いてもらったものを見ると、おもしろいアプローチをしていたり、間違ってはいるけれど「なるほど」と思うところがあったりします。図形なし、文章だけのパズルの問題は「読み取る力」を鍛えるのにも役立ちます。
また、数学オリンピックにも積極的に参加しています。11~12月はそのための補習をしてサポートしています。高校受験がない中学生は時間的な余裕があり、好きなことに取り組みやすいので、いろいろなことをやってほしいと思っています。

大宮開成中学校 掲示物

大宮開成中学校 掲示物

計算テストで数学の基礎体力を鍛える

松田先生 考える機会を設ける一方で、計算の小テストで数学の基礎体力を鍛えることにも力を入れています。どちらかに偏ることなく、両方取り組むことで総合的に数学の力を伸ばしていきたいと思っています。定期試験や模擬試験では計算力の達成度も測っています。

小テストはどれくらいの頻度で行っているのですか。

松田先生 週1回実施しています。合格ラインに達しなければ合格するまで再テストします。10分20問、8割正解すれば合格です。方程式20題というと生徒はひるみますが、とにかくやってもらいます。コツコツ取り組むことで計算力は確実に身についてきます。
こうした計算力テストは、2005年中高一貫部開設の1期生から実施しています。卒業生から「小テストがよかった」という声をよく聞きますし、先輩から後輩へ、「小テストをちゃんとやれば、力がつく」ということが伝えられています。
4月初めに、中1と高2が合同で参加する「フレッシュマンキャンプ/ジュニアキャンプ」があります。座談会では「ついていけるか不安です」と心配する中1に、高2が「小テストをちゃんとやっていれば大丈夫だよ」とアドバイスしています。高2は自分の経験から自信を持って中1に伝えています。先輩の話は説得力がありますね。

大宮開成中学校 教室

大宮開成中学校 教室

「楽しい」からアプローチして文章題を克服

松田先生 計算は得意だけれど、文章題がからきしできない生徒が入学してきました。2行までの文章題はほぼできるのですが、3行以上になると拒否反応なのか全くダメです。そこで、パズルの問題を友達と一緒に解く、私がヒントを出して問題を解く、私と数学に関する雑談をする、数学の書籍を紹介するなど、違う角度からアプローチをしてみました。国語も苦手だったので国語の勉強もやりながら、「楽しい」と思ってもらえるような取り組みを心がけました。
すると、1月の模試で学年2番の成績を取ったのです。問題を解くのが楽しくなったら、文章量の長さは気にならなくなったのかなと推測します。自分で壁を作っていたのかもしれませんね。よい結果が出たことでその生徒は自信になったでしょうし、私にとっても自信になりました。
「楽しくやっていて、結果がついてくる」タイプと、「結果が出るから楽しい」タイプの両方あると思います。どちらか一方だけでなく、いろいろな生徒の力を伸ばせるようにしたいと思っています。
数学のつまずきを早い段階で気づいて対処するために、私は毎日宿題を提出させてチェックしています。毎日見ていると、その生徒の間違いの傾向が見えてきます。

生徒さんも、先生が自分のことを見てくれているという安心感があるでしょうね。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

TクラスとSクラスの違いは演習量

松田先生 2019年から、特に英語・数学に注力することを明確にするべく、全て「英数特科」とし、2コース制(Tクラス・Sクラス)を設けています。授業時間や内容等は両者共通です。テストも同じです。
違いは演習量にあります。Tクラスは難易度が高い問題に取り組む演習の授業を、土曜日に90分設けています。一方、Sクラスは基礎・基本を繰り返します。Tクラスでは宿題を出すところを、Sクラスは授業で解説してサポートします。
成績によって進級時にTクラスとSクラスの入れ替えがあります。きちんと取り組んでいる生徒は成績が伸びますね。

中高6年間を均等割し、中2で中3の内容修了

松田先生 中2までに中学段階の学習を修了しますが、駆け足でやっているわけではありません。公立の場合、中学の数学学習のゆとりのしわ寄せが高校にきてしまって忙しくなりますが、中高の数学を6年間で均等割すると、中学の数学は2年間で修了できる内容です。その分、高校で余裕ができるので演習に取り組む時間を確保できます。
中3で高1の内容を、高1で高2の内容を学習します。文系クラスの生徒は、2年間かけてそれまでの復習や過去問に取り組みます。理系クラスの生徒も高2で高校の数学を修了し、1年かけて数学の力を磨くことができます。
高2のときに大学入学共通テストを同じようにやってみることもできます。1年かけて対策することができる点は中高一貫のメリットだと思います。

大宮開成中学校 体育館

大宮開成中学校 体育館

「知りたい」思いが学びの原動力になる

中高6年間でどんな力をつけて卒業してもらいたいと思っていますか。

松田先生 一つは、大学入試に対応したしっかりとした学力を身につけること。もう一つは、数学のおもしろさに少しでも気づいてもらえたらと思っています。成績が上がらなかったとしても、「数学、おもしろかったな」と思ってもらえれば、私個人としては十分だと思っています。

長谷部先生 数学に限らず、知らないことを知りたいと思う知的好奇心を養えれば、どこかのタイミングで学力が自然と上がってくるのではないかと思っています。生徒が興味を持ちそうな話題を投げかけるなどいろいろなシカケを用意して、生徒の知的好奇心を刺激したいと思います。

インタビュー3/3

大宮開成中学校
大宮開成中学校1942年設立された大宮洋裁女学校が創設し、7年後に大宮開成高等学校が設立された。中高一貫部が開校したのは2005年。大宮駅からバスで7分、徒歩19分のところに位置する。2016年の新図書館につづき、2018年、新体育館が完成した。
校訓「愛・知・和」のもと、「調和の取れた人間教育」を実践している。中学からの生徒は「英数特科コース」で、中高6年間を見通したカリキュラムで学ぶ。第1ステージ(中1・中2)基礎学力の完成、第2ステージ(中3・高1)では進路意識の確立、第3ステージ(高2・高3)では現役合格力の完成を目指す。
クラスに応じて「アドバンスト演習」で応用力を養成、「スタンダード演習」で基礎力の定着を図る。英語は、中1から高1で「NEW TREASURE」を使う他、ネイティブの先生による英会話、中2はオンライン英会話も導入され、4技能をバランスよく育成する。
校内外行事としても、中2「奈良京都伝統文化研修」・中3「GVS」などで語学力・グローバル感覚を段階的に養い、高1の「オーストラリア海外研修」で集大成としている。任意参加で「短期ホームステイ」(中3~高2対象)、「3ケ月ターム留学」(高校生)なども用意されている。
4月の「フレッシュマンキャンプ・ジュニアキャンプ」は、高2・中1の合同行事で、高2が主体となって親睦を深める。クラブは中学は全員参加。高校でのアーチェリー・チアダンスや吹奏楽は、関東大会レベル・全国大会レベルである。中学段階は学校給食で、成長期に必要な栄養バランスを満たしているのはもちろん、郷土や季節にちなんだメニューも用意され、好評である。