シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大宮開成中学校

2023年04月掲載

大宮開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.数学が「楽しそう」な問題を出題

インタビュー1/3

未解決問題に挑戦、数学の世界に踏み出そう

長谷部先生 この問題のように、本校の入試問題の大問5は、何か公式を使って解くのではなく、与えられた情報を基に、頭を使い、手を動かして考えてもらおうと、毎年出題しています。
「考える問題」として数学の未解決問題の「コラッツ予想」を取り上げたのは、単に問題が解ければいいと思ってほしくない、数学のおもしろさ、奥深さに触れて、中学入学後の数学の学びのきっかけにしてほしいとの思いからです。

「未解決」の問題に、ワクワクして解いた受験生もいたのではないでしょうか。

松田先生 受験した生徒のみなさんが入学したら、聞いてみたいですね。
昨年度以前の問題でも、大問5ではゲーム的な問題などを出しています。在校生の新中2の生徒に入試問題について聞くと、やはり、大問5が印象に残ったようです。入試問題は入学後を見据え、「数学って楽しそう」と思ってもらえるように、心に残るような問題を出題したいと思っています。

数学科/長谷部 弘幸先生

数学科/長谷部 弘幸先生

問2のポイントは逆算の発想ができたかどうか

出来具合はいかがでしたか。

長谷部先生 問1の正答率は74.2%でした。これはひたすら手を動かす問題です。提示されたルールに則って、計算間違いをしなければ正解できたと思います。
「23」は15回の操作で1になりますが、途中で「5」になります。例に「5」は「5回の操作で1になる」とあるので、多少計算を省略することができます。このことに受験生が気づいてくれたらいいな、ヒントにしてくれたらと思い、「5」が途中に出てくる数字を問題にしました。
一方、問2の正答率は16.5%でした。難易度が高い問題なので、正答率がこれくらいになることは予想していました。無答が結構ありましたが、「逆算する」という発想に至らないとどう考えていいかわからず、手をつけられなかったのではないかと想像します。

松田先生 途中式を書かせていませんが、誤答は計算間違いもあったのではと思います。この問題は単純ですが繰り返し計算しますから、正確かつスピーディーな計算力も求めています。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

難しい問2はチャレンジする姿勢も求める

問1と問2は難易度が大きく異なりますね。

松田先生 どちらかというと、難易度の違いはねらって出題しています。この問題のように、大問5の問1は基本的に解きやすい問題を、問2は簡単には解けないような問題、正解できれば得点を伸ばせるようなイメージで出題しています。
難易度が高い問2は、チャレンジする姿勢も求めています。パターン化されていない初見の問題に対して、見たことがないとあきらめず、どん欲に挑戦してもらいたい。そうしたお子さんの入学を期待していますし、「数学が楽しい」という生徒が多ければ多いほど授業は盛り上がります。

あえてプラスアルファの情報を入れる理由

この問題は、リード文の「数学の未解決問題として~」や「現在、コンピュータによる演算で~」という文章がなくても、問題として成立すると思います。あえて入れたのはどんな意図があるのでしょうか。

長谷部先生 算数・数学の問題は、どちらかというと蛇足を嫌うというか、必要のない情報は載せない傾向にあります。あえて問題を解くのに“余計な”情報を載せたのは、問題の背景も知った上で解いてもらいたいからです。なぜ世界中の数学好きが夢中になるのか、解ける・解けないだけではない数学の魅力に気づいてほしいですね。
2021年度入試の図形問題で「ルーローの三角形」を取り上げたときは、リード文に「自動掃除機ロボットなどの図形のデザインにも図形の性質が活かされています」という一文を入れました。これは、私たちの日常に数学が密接に関わっていることに気づいてほしいという思いからです。日常生活を送る中で興味・関心を持って、ものやコトを数学的視点で見てほしいですし、そうしたメッセージを入試問題になるべく入れたいと思って作問しています。

大宮開成中学校 教室

大宮開成中学校 教室

インタビュー1/3

大宮開成中学校
大宮開成中学校1942年設立された大宮洋裁女学校が創設し、7年後に大宮開成高等学校が設立された。中高一貫部が開校したのは2005年。大宮駅からバスで7分、徒歩19分のところに位置する。2016年の新図書館につづき、2018年、新体育館が完成した。
校訓「愛・知・和」のもと、「調和の取れた人間教育」を実践している。中学からの生徒は「英数特科コース」で、中高6年間を見通したカリキュラムで学ぶ。第1ステージ(中1・中2)基礎学力の完成、第2ステージ(中3・高1)では進路意識の確立、第3ステージ(高2・高3)では現役合格力の完成を目指す。
クラスに応じて「アドバンスト演習」で応用力を養成、「スタンダード演習」で基礎力の定着を図る。英語は、中1から高1で「NEW TREASURE」を使う他、ネイティブの先生による英会話、中2はオンライン英会話も導入され、4技能をバランスよく育成する。
校内外行事としても、中2「奈良京都伝統文化研修」・中3「GVS」などで語学力・グローバル感覚を段階的に養い、高1の「オーストラリア海外研修」で集大成としている。任意参加で「短期ホームステイ」(中3~高2対象)、「3ケ月ターム留学」(高校生)なども用意されている。
4月の「フレッシュマンキャンプ・ジュニアキャンプ」は、高2・中1の合同行事で、高2が主体となって親睦を深める。クラブは中学は全員参加。高校でのアーチェリー・チアダンスや吹奏楽は、関東大会レベル・全国大会レベルである。中学段階は学校給食で、成長期に必要な栄養バランスを満たしているのはもちろん、郷土や季節にちなんだメニューも用意され、好評である。