出題校にインタビュー!
栄東中学校
2023年03月掲載
栄東中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.「知っているものの知らないこと」を考える問題
インタビュー1/3
使っていても仕組みは結構知らないことが多い
市原先生 日常生活でも理科に触れてほしいという思いから、身近にあるものを題材にした問題を出題しています。
カセットコンロは家庭で使ったことがあるでしょうし、小学校の実験でも理科実験用ガスコンロが使われるようになっており、受験生にも身近なものだと思います。でも、その仕組みを知っているでしょうか。
この問題は、誰もが見たことがあるけれど、「仕組みはどのようになっているのだろう?」と、一歩踏み込んで考える力を試しています。便利に使えていると仕組みまで考えることはないかもしれませんし、外から見えないことが多い。けれど、どうなっているのか興味を持ってほしいですね。
高橋先生 カセットコンロのボンベのように、「知っているものの知らないこと」にどれだけ踏み込んでいけるか。知りたい、学ぼうとする意欲を大切にしたいと思います。
入試広報部科長・理科/市原 貴紀先生
仕組みがわかると危険を避けられる
市原先生 仕組みを理解すると、なぜこの行為が危ないのかもわかります。入学すると早速ガスバーナーを使って実験しますが、ガスバーナーの構造を理解すれば、突然大きな炎が燃え上がるといったことも避けられます。
また、使っていて「ちょっと不便だな」と思うこともあるでしょう。カセットコンロのボンベのガスの残量が見えたら、調理の途中で火が消えてしまうことは避けられます。「よりよくするのはどうすればいいか」ということも考えてくれたらいいですね。
ボンベは倒して使うことを想定して考える
正答率はいかがでしたか。
市原先生 合格者が約48%、不合格者で約35%だったことから、結果的に合格者と不合格者の間での差がかなりついた問題になりました。ただそうした意図はなく、それほど差がつくとは思っていなかったので、この結果は意外でした。
誤答で多かったのは、(エ)でした。ボンベは「倒して」使います。選択肢の図はボンベが「立った」状態ですが、写真がヒントになっています。実物をイメージして持っている知識を使って考える力も、理科の力としては大切ではないかと思います。
栄東中学校 瑞想庵
家庭の会話を通して子どもの考える力を養う
市原先生 中学受験は多くがご家族で取り組まれているでしょうから、ご家庭で理科の問題を日常生活の会話に落とし込んでいただければと思います。食卓で鍋をつつきながら、「カセットコンロのボンベって、どうなっているのかな」といった会話を通して、お子さんの考える力を養うことができると思います。
おそらく子どもの理科のスタートは、身近な疑問ではないでしょうか。「雲に乗れるの?」といった純粋な疑問は学年が上がるにしたがって忘れがちになりますが、「なぜ?」を探究しようとする気持ちは持ち続けてほしいですね。
高橋先生 そうした疑問が、世の中を便利にするアイデアにつながるのではないかと思います。
栄東中学校 建学の精神
インタビュー1/3