シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鷗友学園女子中学校

2023年02月掲載

鷗友学園女子中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.共学では体験できないさまざまな経験を鷗友学園で体験してほしい

インタビュー3/3

社会が変わっていく中、理科の先生をされている上で、どんな人間として育って社会に出ていってほしいというのはありますか?

大内先生 たくさんあります。私は化学の教員なので、今の社会の中で食品や化学物質などに対して、「これは危ない」「これはいい」という非常にシンプルな捉え方しかできていないことに危機感を持っています。濃度であるとか量であるとか、全体の中でどういうレベルで危険なのか?メリットとデメリットを比較して、どちらを選択するか、といった感覚をきちんと身に付けさせたいと思っているんですね。そういう感覚を持っていないと、物事を単純に考えることしかできなくなってしまいます。また、少しでも悪い面があると、そこばかりが強調されがちですが、一方で役に立っている面も考えないといけないと思うんです。それを私は中高の6年間で教えるのが理科の仕事だと思っています。

校長先生から見て、鷗友学園の理科、女子校としての理科はどのように捉えていますか?

大井先生 先生方が生徒たちの発達段階を考えてくれていて、ある意味リーダー的立場を担っているかなって思います。生徒たちがたくさんの実験を経験することで新たな発見があって、そのとき生まれる好奇心が理科好きにつながっていると感じています。実験を一つ例にとっても共学だと、少なからず男女での役割分担が発生してしまう部分もありますし、その結果、経験できないことがあるまま学生生活を終えてしまうこともあります。お互い悪意もないからそれが当たり前になっていますし、そういう文化が経験を半分にしているのがすごくもったいないですね。しかし、女子校の場合は何でも全部やらなければいけない。たくさんの経験ができることが女子校の魅力だと思っています。

最後に鷗友学園にどういう子に入ってきてもらいたいとお考えですか?

大内先生 他者を尊重できるマインドを持つことが大切だと理解して入学してくれると嬉しいです。それさえあれば、苦手な科目があろうがうまくいかない部分があろうが絶対に鷗友の中で育っていけると思います。受験勉強で忙しい時は、忘れがちなことですしね。特に感謝をすることは大事です。感謝というのは、親御さんが子どもに対していつも感謝の言葉を伝えているから、子どもも人に感謝できるようになるのだと思います。そういうことを家庭の中で大切にしながら、入学を迎えてもらいたいなと思います。

また、受験を間近に控えた受験生が最後にどのような学習をするのがよいかアドバイスをお願いしたいです。

大内先生 すべてを完璧に準備することはできませんが、全くできない分野がないように、基本的なことだけはまんべんなく復習しましょう。物理では電気が出るかもしれないし天秤が出るかもしれない。何が出題されるかはわからないですが、どうしても難しい問題に目がいってしまいがちです。しかし、基本的な問題に穴が無いようにすることはとても大事ですし、少しは解けると思えることは受験生にとって自信になります。特に6年生の最後段階では「できた」という自信をつけることが何よりも重要です。

あとはそれぞれの志望校の過去問演習をやると思うんですが、子どもはできたことは見えるけど、できなかった問題はなかったことにしたいんです。でも、そこでできなかった問題をなんとかできる方向に一歩進めるのが合格への近道です。「できなかったね」という結果に対しての言葉ではなくて、「いけそうだね」という、これからにつながる声かけをしてあげることが、重要なサポートになると思います。

校長/大井 正智先生

校長/大井 正智先生

インタビュー3/3

鷗友学園女子中学校
鷗友学園女子中学校1935(昭和10)年、東京府立第一高等女学校(現・都立白鷗高等学校)の同窓会鷗友会により、母校創立50周年事業として設立。今日の繁栄の基礎を築いたのは、女子教育の先覚者で第一高女の名校長とうたわれた市川源三と、内村鑑三・津田梅子の薫陶を受けた石川志づ。
「慈愛と誠実と創造」の校訓のもと、キリスト教精神を取り入れた全人教育をおこなっている。「女性である前にまず一人の人間であれ」の教えのもと、一人ひとりが自分の可能性に挑戦し、社会の中で自分の潜在的な能力を最大限に発揮することを目指す。生徒・教師が一体となり<よろこび>と<真剣さ>のあふれる日々を送っている。
全館冷暖房完備で、ゆとりと明るさを追求した特別教室・図書室・ホールを整備。非常災害時のための危機管理システムも整った太陽光発電や雨水利用システムなども導入している。実習園、屋外プールなどもある。校外施設として、軽井沢に追分山荘をもつ。
ていねいな指導に定評があり、教師陣はハイレベルな指導のためにカリキュラムの研究検討を重ね、独自の教材を使った授業も展開する。中学では先取り学習をしつつ、聖書・園芸・書道も正課に取り入れている。英語は「使える英語」を目指し、すべて英語で授業を行っている。中2の英・数はクラス2分割。英語と数学は高校で習熟度別授業を導入する。中1では自分レポートを作成。高2で文系(芸術系を含む)・理系コースに分かれ、選択科目を多く設定し、きめ細かく進路に対応している。高3では主に演習を実施。数多くの特別講習や小論文の個別指導など、進学指導も充実している。
2期制を実施。進路指導では、自分史・環境・福祉・職業・平和などに取り組む。社会で活躍する先輩の話を聞く機会もあリ、自分を見つめ、社会を知り、生き方を考える。70年の伝統を持つリトミックを全学年で週1時間実施し、身体表現を豊かにし、運動神経を高める。課外活動として、茶道、華道、書道、手話、英会話、Debate Workshopもある。文化祭や運動会のほか、スクールコンサート、クリスマス会、中1の軽井沢追分山荘生活学習、中2のスキー教室、中3の沖縄修学旅行などの年間行事を実施。チョート校サマースクールやチェルトナム・レディース・カレッジ研修など、国際理解教育にも力を入れている。クラブ活動は、学芸部8、運動部13、同好会15で、中高合同で活躍している。