出題校にインタビュー!
自修館中等教育学校
2023年02月掲載
自修館中等教育学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.理解・整理・表現の力を試す
インタビュー2/3
大人の気持ちの読解は想像力を働かせる
入試問題では受験生のどんな力を見ていますか。
鈴木先生 オーソドックスな出題ですが、相手(著者、登場人物)の考えを正しく理解できるか、筋道立てて整理できているか、論理的に思考できるかを見ています。最後の条件作文は自分の考えを正確に伝える表現力を見ています。理解・整理・表現というところを、言葉を使ってできるかどうかを意図して出題しています。
読解は、子どもだけでなく大人の立場で考える問題も出します。特にエッセイは子どもとは異なる立場で書かれているので、使われている言葉や表現から想像力を働かせて読み取らなければなりません。そこは大切な力だと思います。
2022年入試ではLGBTがテーマの文章を取り上げていますね。素材文選びで意識されていることはありますか。
鈴木先生 純粋に読んでいてワクワクする、楽しくなるような文章を選びたいと思っています。また、時事的なテーマや今の小学生が興味を持っていそうなこと、関心を持ってほしいことを取り上げるようにしています。
自修館中等教育学校 いろり
根拠が傍線部から離れると正答率が低くなる
受験生の解答を見て、何か気になることはありますか。
鈴木先生 読解については、文中の傍線部の近くに根拠があるような問題はそれなりに解けるのですが、離れているところに根拠がある問題は正解率が低くなる傾向があります。全体を見渡して読むことができるかというと、部分でしか読めない受験生が多いですね。ということは、文章をきちんと読み込めていないということです。
読解力の差はそうしたところに表れます。読める受験生は、エッセイなら著者は何を言いたいのか、物語ならここでは何が描かれているのか、全体を通して理解することができます。部分ごとにとらえてしまうと、事柄の関係性を逆にとらえたり、目についた単語を拾って安易に答えてしまったりしてしまいます。
筋道を立てて考える読解力は入学してから鍛えますが、時間がかかります。日ごろの読書量は間違いなく読解力に影響します。活字に触れてインプットの機会が多ければ多いほど言葉も知識も増えますし、例文にも触れるので真似しやすくなります。
自修館中等教育学校 生徒作品
国語の書写の授業で手紙の作法を習得
毎年、貴校に進学した日能研出身の生徒さんから手紙(手書き・縦書き)をいただいています。
大藤先生 国語の「書写」の授業で手紙を書きます。そのとき、敬語の使い方など手紙の作法を指導しています。
鈴木先生 毎年12月頃に、お世話になった方に年賀状など季節のお手紙を出しています。今は手紙を書く経験がない生徒もいますから、宛名の書き方から教えています。
手紙を読むと、「ここまでできるようになったんだ」と嬉しくなります。
鈴木先生 本校の探究は、地元の公共機関や大学、企業など外部の方に取材することがあるので、生徒は目上の人に対する言葉遣いを意識していると思います。教員とアポイントの電話をかける練習もしています。また、プレゼンテーションなど第三者に発表する機会も多く、その場にふさわしい言葉遣いが中学生でもできているように思います。そうした実践を積み重ねることで、場面や立場に応じた言葉遣いができるようになっているのかなと思います。
教頭・教務センター室長/大藤 行央先生
インタビュー2/3