シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

浅野中学校

2022年11月掲載

浅野中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.他者の論理を読み取れる生徒を育てていく

インタビュー2/3

浅野中学校の算数の問題全体に関する意図やお考えがありましたら、ぜひ教えていただけますか。

山崎先生 我々としては、設問の分野が偏らないようにしていますし、難易度も差がつくように幅を持たせることは意識して行っています。というか、正確にいうと、選んでいます。我々、数学科全員で問題作成をしています。分野別で指示を出して、何問か、みんなで作ります。そして、作問会議にて問題を選んでいく。構成上、うまくいくものをどんどん選んでいくという感じです。

また、こちら側が「いいね」っていう問題ばかり選んでしまうと50分の試験時間では収まりきらないですから、塾の問題集にあるような定番問題も何問か入れるようにして、きちんと勉強してきた子が点数を取れるようにも配慮しています。浅野に入学してからも、きちんと勉強をしているかどうかを見る先生は多いですね。ですから、テストさえ出来ていれば宿題も出さず何も言わない、といった先生はほとんどいないです。

変化させた最初の頃と今で、子ども達の書く量などに変化はありますか?

山崎先生 生徒のレベルも少しずつ上がってきています。10年前と比べて全体的に問題は、多少、難しくなっていると思います。計算問題が昔は2問あって、今は1問にしているのもその影響ですね。浅野の計算問題は裏を返せば後半部分で時間を取られないよう「計算ができるかどうかは前半部分で見ますよ」という構成にしているところはあります。ですから、考え方も難しくて計算量もたくさんある、といったものはあまり出さないようにしています。

浅野中学校 地学教室

浅野中学校 地学教室

限られた時間の中でポイントが見えているか

他者の論理を読み取ることを大切にされているような印象を持ちました。

徳山先生 受験生が「どこまでが誘導で、どこからが考えないといけないか」を的確に判断し、限られた時間の中で「問題文の濃淡が見えているかどうか」というのが勝負のポイントになるのではないか、という気がします。特に算数と理科ではそういうことがあり得えます。情報を整理させるタイプの問題が、算数に限らず、全体的に増えている傾向にありますね。
学校として聞きたい力として「なんでだろう?」と考えていくことは、どこの教科も大切にしているので、論理的な力をを問う一つの手法として、今後も時々切り込んでいくことはあり得ると思います。

入試広報部長/徳山 直先生

入試広報部長/徳山 直先生

本質的な部分を理解しないと勉強が難しくなる

先ほど「きちんと勉強する力を見たい」というお話がありましたが、受験生の保護者の方から「子ども(特に男の子)がきちんと勉強しない」という悩みをよく相談されるのですが、先生から見て受験生はきちんと勉強しているように感じられますか?

山崎先生 たとえば定番問題みたいなものはかなり出来が良いですので、おそらくパターン化されてるものについては、浅野を受験する生徒であれば「きちんと学習してきているんだろうな」と思います。しかし中学に入ると、本質的な事も理解してやっているのであれば良いのですが、当然分からないままの子もいます。そういう生徒は中学に入ってから苦労している気がします。

基礎的な部分は徹底的に鍛えていく

今のお話から、本質を分かっている子と分かっていない子がいた場合、そこに対して数学科としてどのような取り組みをしているか、実際に先生が行っている事があればぜひお聞きしたいと思います。

山崎先生 まずは、基礎的な知識がないと何もできないので、まずはその部分を徹底的にやってもらうことはありますね。定期考査などでは答えのみを書かせるような問題はほとんど出しません。文章を書かせる問題が多いです。計算一つとっても、答えだけで〇というのはなく、その点は、どの教員でも共通しているところです。

あとは、授業時に当てて答えさせるというよりも、低学年の場合には前に出て黒板に書かせるということが多いですね。「間違ってもいいから書いて」と。自分の言葉でいいから他の人に説明できる力って、数学に限らずだと思うのですが、問題の構造に対して何がポイントかを見極める上ではとても大事です。人との会話の中でも必要なものなので、そういうことを養っていけるようになるべく対話したり、言葉で対話しなくても解答用紙で対話できたりするような問題や授業を意識しています。

掲示物(高校一年生書道)

掲示物(高校一年生書道)

インタビュー2/3

浅野中学校
浅野中学校1920(大正9)年、事業家・浅野總一郎によって創立。当初はアメリカのゲイリー・システムという勤労主義を導入し、学内に設けられた工場による科学技術教育と実用的な語学教育を特色とした。戦後間もなく中高一貫体制を確立し、1997(平成9)年に高校からの募集を停止。難関大学合格者が多い進学校として知られているだけでなく、「人間教育のしっかりした男子校」としても高い評価を受けている。「九転十起・愛と和」を校訓とし、自主独立の精神、義務と責任の自覚、高い品位と豊かな情操を具えた、心身ともに健康で、創造的な能力をもつ逞しい人間の育成に努めることを教育方針とする。校章は、浅野の頭文字で「一番・優秀」の象徴である「A」と「勝利の冠」である「月桂樹」から形作られており「若者の前途を祝福する」意味が込められている。
横浜港を見下ろす高台にある約6万平方メートルの広大な敷地の約半分を「銅像山」と呼ばれる自然林が占めている。Wi-Fi環境が整い、中学入学後に購入するChromebookで授業や行事、部活動を展開している。2014(平成26)年には新図書館(清話書林)、新体育館(打越アリーナ)が完成、2016(平成28)年にはグラウンドを全面人工芝とし、施設面が充実している。
中高6年間一貫カリキュラムを通して、大学受験に対応する学力を養成することが目標。授業を基本とした指導が徹底している。中学の英語では週6時間の授業に加えて、毎週ネイティブスピーカーによるオーラルコミュニケーションの授業もある。数学では独自の教材やプリントが使われていて、中身の濃い授業が展開されている。高校2年から文系・理系のクラスに、高校3年では志望校別のクラスに分けてそれぞれの目標に向けた授業を行う。進路選択は本人の希望によるが、理系を選択する生徒の方が多くなる傾向がある。全体的にハイレベルな授業が展開されているが、高度な授業展開の一方で、面倒見のよいことも大きな特徴。授業をしっかり理解させるために、宿題・小テスト・補習・追試・夏期講習などを行い、授業担当者が細かく目を配っている。一歩ずつゆっくりと、しかし、確実に成長させるオーソドックスな指導方針が浅野イズム。
「大切なものをみつけよう」ーこれは学校から受験生へのメッセージ。生徒にとって学校は、一日の内の多くの時間を過ごす場所。勉学に励むことはもちろん、部活動や学校行事にも積極的に参加して、その中で楽しいこと、嬉しいこと、悔しいことや失敗をすることも含めて多くのことを経験してもらいたいと考えている。学校でのそのような経験が、学ぶことの意味、みんなで協力することの大切さと素晴らしさ、生涯、続いていくような友人関係、そして、決して諦めない強い心を育んでいくことになる。浅野中学校、高等学校という場を思う存分活用して、人生において大切なものをたくさん見つけ、成長してほしいとの願いが込められている。
部活動と学習を両立させる伝統があり、運動部の引退は高校3年5~6月の総合体育大会、野球部は甲子園予選までやり通す。中学では98%の生徒が部活動に参加している。ボクシング、化学、生物、囲碁、将棋、ディベート、演劇が全国レベル。柔道、ハンドボールやサッカーも活躍している。また、5月の体育祭と9月の文化祭を「打越祭」として生徒実行委員が主体となって運営する。これをはじめ、学校行事も盛んで生徒一人ひとりが充実した学園生活を送っている。
「銅像山」は、傾斜がかなりきつく、クロスカントリーコースとして運動部の走り込みに使われるだけでなく、中学生たちの絶好の遊び場所となっている。また、各学年のフロアに職員室を配置してオープンにすることで、生徒と学年担当の先生が日常的に対話を行っている。こうしたメンタルケアにも力を入れている。