シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

芝浦工業大学柏中学校

2022年10月掲載

芝浦工業大学柏中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.正解にとらわれることなく、自分の感性や考えを表現しよう

インタビュー3/3

自由な表現はなぜ難しくなるのか

市川先生 以前、美術科の教員と「個性」について話して、なるほどと思ったことがありました。中学1年生や2年生の作品はおもしろいのですが、学年が上がるにつれてだんだんつまらなくなっていく、という見解です。

なぜ中学1年生や2年生の作品がおもしろいかというと、フィルターのようなものが形成されていないからだと思います。自分で認識していないからこそ、自由に表現できるのです。ところが成長するにつれて、社会性のようなものをまとい、他のまなざしを気にするようになります。他者のまなざしを気にして、自分の意見を客観的に表現するということは非常に大事な発達過程ですが、一方で他者のまなざしを気にするあまり、自分で自分を閉じ込めてしまい、自由に表現ができなくなるということもあり得ます。あるいは、正しい答えを求めることばかりに向き合っていると、無意識のうちに自分を表現してはいけないという戒律を自分に課してしまい、感性豊かな表現ができなくなるということもあるかもしれません。

大人になるにつれて、個性の発揮が先細りするのであれば、そういうフィルターのようなものが形成されていないうちにたくさん表現活動をして、根っこを太くしておくことが大切だと思います。

国語科/市川 昌史先生

国語科/市川 昌史先生

社会に目を向けて視野を広げよう

市川先生 中高生に将来の職業について聞くと、教員になりたいと答える子が結構いますが、それは学校の中での生活が中心になっている面があります。他の社会をあまり知らないのです。そういう世界観の中で生きることは、自分の価値観を閉ざしてしまうことになるのではないか、ということを私は戒めとして持っています。

教員も、学校という閉ざされた社会の中で教育しているということを自覚しながら、学校の外にもいろいろな価値基準があるということを伝えていく必要があると思います。そして生徒にはもっと外に目を向けて、学校ではできない経験をしたり、いろいろな職業の人、いろいろな生き方をしている人の講演を聞いたりして、自分がおもしろいと思う世界をどんどん広げていって欲しいですね。

国語科の取り組みではありませんが、本校では高校生で文系理系に関係なく課題研究に取り組みます。例えばそういう場で人文科学や社会科学に興味を持っている生徒が、自分で問いを立てて研究していく素地ができつつあります。また、その成果を活かして総合型選抜や公募推薦で大学入試を突破する生徒が増えています。画一的な答えをパッと導き出すだけでなく、自分で問いを深めて、自分の思考の足跡をおもしろがる生徒が少しずつ増えてきている感じがします。

中高一貫校として心がけなければいけないことは、大学入試という出口だけにとらわれた教育活動を実践してはいけないということです。

芝浦工業大学柏中学校 論文集

芝浦工業大学柏中学校 論文集

自分の考えを言語化させることが大切

小学生の国語教育には、どのようなことを重視してほしいですか。

市川先生 正解/不正解のどちらに区分けして点数化してしまうことは、一見すると序列をつけて指導しやすいように見えますが、子どもが文章に対してどのように思考したのかに目を向けずに、結果だけで判断してしまうことにつながります。一所懸命に文章を読んで自分なりに考えたにもかかわらず、点数に表れなかったらきっと国語が嫌いになってしまいますよね。そんな時に、文章を読んでどんな風に思ったか、どんなことを考えたのか、どの辺がわかりにくかったのか、などといったことを問いかけて、言語化させることが大切だと思います。

正解できなかったら全否定してしまうというのも、文章を読むことの喜びを奪ってしまうことになりかねません。自由な思考を尊重しつつ、読解に明らかな誤りがあったら、その原因を理解し修正していく。そうした地道な取り組みを続けていくことが肝要です。

最後に小学生や保護者へのメッセージをいただけますか。

市川先生 本校では、建学の精神「創造性の開発と個性の発揮」に基づき、生徒の個を重んじ、創造性を育むような教育を実践しています。具体的には、既存の枠組みにとらわれない自由な発想と、粘り強く考え続ける思考力を大切にしています。豊かな自然環境にも恵まれ、のびやかな生徒が多いです。また、教員も生徒の自主性を重んじ、創造的な取り組みを促すような学校作りに励んでいます。こうした本校の理念に共感してくださる小学生・保護者の皆様の受験をお待ちしています。

芝浦工業大学柏中学校 図書室

芝浦工業大学柏中学校 図書室

インタビュー3/3

芝浦工業大学柏中学校
芝浦工業大学柏中学校芝浦工業大学は、1927(昭和2)年に有元史郎が創設した東京高等工商学校が前身。80年には芝浦工業大学柏高等学校(男子校)が、新しい高校教育を目指して創立。創立10周年には男女共学に。創立20周年を迎える99(平成11)年に中学校を新設した。大学は06年に豊洲へ移転した。04年に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定された。
増尾城址公園に隣接し、自然環境が豊か。全校舎にLANを整備するなど施設面の充実も素晴らしい。
なかでも人工芝グラウンド、グリーンホール、ソーラーハウスプールは自慢の施設。そのほかグラウンド、カフェテリア、売店などを備えている。コモンスペースではインターネットに自由アクセス可。
「創造性の教育」「主体性の教育」「生きる力の教育」「感性の教育」「健康と安全の教育」の5つを教育方針の柱とする。
探究活動に力を入れており、生徒自らが課題を設定し、様々な困難を乗り越え、粘り強く取り組む経験を大切にしている。豊洲の芝浦工業大学中学・高校とは兄弟校。
きめ細かな指導と基礎学力の徹底が特色。一日の始まりは25分のモーニングレッスンで、読書、計算、英読の学習などにあてている。外進生とは高1まで別クラス。放課後は補習や上位者講習などを実施。付属校だが難関大学現役合格を目指したカリキュラム編成で様々な進路に応じたコースを選択することができる。
高校で20年以上の実績をもつ独自教科「総合学習」をさらに充実・発展させるため、中1から「ワールドデイ」を実施。環境・国際などをテーマに自ら問題を発見し、自分なりの答えを出す力を養う。高杖での中1グリーンスクール、中2の京都・奈良研修、中3のニュージーランドホームステイなど、体験学習の機会も多い。1人1台のノートパソコンをもち、中2からは全員が教材Webページ作りのコンテスト「Webコンテスト」に参加するのは、中学校開校時から続く特色の1つ。クラブ活動は、原則として月・水・金・土曜日の活動。野球、サッカー、吹奏楽、演劇、鉄道研究など18のクラブ・サークルがあり、一部を除き中高別に活動する。ノーチャイム制。