シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

世田谷学園中学校

2022年08月掲載

世田谷学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.理科の本質は実験・観察にある

インタビュー3/3

2021年度から「理数コース」を新設

2021年度に新設した「理数コース」の取り組みについて教えてください。

瀬川先生 月曜日から金曜日までは本科コースと同じで、土曜日に理数コースならではのプログラムを実施します。1年間やってみて、みんな楽しそうに取り組んでくれており、実験や実習が好きな生徒が集まっていると感じました。
プログラムは、理数コースのアドバイザーをしていただいている東京理科大学教授による特別講義や、稲作体験、植物と地層の自然探究(城ヶ島)、江戸時代から続く三富新田(埼玉県)の循環型農業などのフィールドワークを学年ごとに組んでいます。

自主研究は継続して取り組みます。夏休みに理科または数学のテーマを選び、研究したことを夏休み明けに教室で発表します。
研究テーマは身近なところから見つけています。例えば、お父さんがうちわをあおいで風が横にもれているのを見て、どんなときに風が横にもれるか、どうすればあまりもれなくなるかを調べた研究がありました。また、お母さんが洗濯物を干しているのを見て、部屋干しを乾きやすくするにはどうすればいいか、市販の家の模型を使い、風通しのパターンを比べた研究もありました。何かしら自分が興味のあるものを見つけて取り組んでくれています。

世田谷学園中学校 掲示物

世田谷学園中学校 掲示物

自分の興味・関心を究める人物に

理数コースの生徒はどのような人物になってもらいたいとお考えですか。

瀬川先生 理数系に興味があると思うので、何かしらその道を究めていってほしいなと思います。「医師になりたい」と明確な目標がある生徒もいれば、「とりあえず理数系の何か」という生徒もいます。中1から自主研究に取り組んでもらうので、自分が興味・関心のあることを追究していってもらえたらと思います。
既に簡単なプログラミングを組める生徒もいれば、2のn乗を自分の頭の中で計算しているようなマニアックな生徒もいます。やるからにはとことん突き詰めてほしいですね。

実験・観察を通して多くの本物に触れる

生徒さんに理科に興味を持ってもらうために、どんなことを工夫されていますか。

瀬川先生 できるだけ実物を見たり触れたり、やってみたりするようにしています。中学では多くの実験に取り組みます。中学受験で知っていることでも、実験をやってみると、生徒は「おおっ!」と驚きます。

柏原先生 知っていることでも、いざ実験をすると「初めて見た」ということが結構あって興味を示します。ブタの心臓の実物を見ると生徒は目を輝かせます。
実験が教科書通りの結果にならないと生徒は固まってしまいますが、なぜ予想通りにならなかったのか、考えてもらいたいですね。

体験を通して当たり前に知っていたことが、体験しなくなったために知っている子どもと知らない子どもが極端になっています。オール電化の普及もあって、日常生活で火を見ない子どもは炎の色がピンときません。今の時代だからこそ、実物に触れることが一層大切になりますね。

柏原先生 コロナ禍になってから、だ液の実験は胃腸薬で代用していますが、だ液だから見られる反応があります。本物の大切さを改めて感じています。

世田谷学園中学校 掲示物

世田谷学園中学校 掲示物

理科への興味・関心を持ち続けてほしい

中高6年間でどんな理科の力を身につけてもらいたいですか。

瀬川先生 高校になり大学受験が迫ってくると、授業は実験・観察よりも座学が中心になります。でも、頭の中の理解だけで満足してほしくありません。理科の本質は実験・観察にあります。入試問題が解けるからといって、理科の力があるとは思わないでもらいたいですね。
高校生に「これは中学で実験したよね」と言うと、忘れてしまっていることがあります。実験や観察を「楽しかった」でその場限りにせず、理科の基本を着実に積み上げてほしいと思います。受験に関係のない教科・科目は勉強しなくなりますが、ニュースを気にしたり関連する書籍を読んだりして、理科全般への関心を保ち続けてくれるといいですね。

柏原先生 世の中にはいろいろなニュースやデータが出回っていますが、鵜呑みにしないで「本当かな?」と疑問を持つ姿勢を持ってほしい。そうした素養があれば、世の中の情報に踊らされることは少ないでしょう。自分で調べてみようと行動に移したり、自分で考えて判断したりできる力を育てたいと思います。

世田谷学園中学校 生徒作品

世田谷学園中学校 生徒作品

インタビュー3/3

世田谷学園中学校
世田谷学園中学校学園の理念である“Think&Share”は、お釈迦様の「天上天下唯我独尊」に基づく。「Think」は知的好奇心をもって思索する力を極限まで深め、自己の確立をはかること、「Share」は人の意見に耳を傾け、助け合う心を育てること。仏教の精神に立脚し、生徒に人間として生きることの尊さを自覚させ、国際的視野に立って、積極的に行動できる人間形成を目指している。
1592(文禄元)年創始の曹洞宗吉祥寺の学寮“旃檀林”が前身。1902(明治35)年曹洞宗第一中学林と改称。1947(昭和22)年、世田谷中学校開設。1983年、現校名に改称。積極的な国際交流を推進するとともに、1995(平成8)年には高校募集を停止し(スポーツ推薦を除く)、1998年完全中高一貫体制を固める。2001年に創立100周年を迎えた。駒澤大学は系列校。
都内校のなかでは校地は比較的広く、放光館(理科実験室や講義室、音楽室)や修道館(総合体育館)、三心館(食堂)、グラウンドなど施設も充実。修道館には柔・剣道場、温水プールなどが完備されている。2001年、創立100周年を記念して建設された新校舎には、学園が誇る禅堂や、図書館・コンピュータルームなどもある。
世田谷学園では、2021年度から「本科コース」「理数コース」の2コースを募集している。本科コースは、じっくりと幅広く学び、高校2年次に文理選択をする。理数コースは、中学入学段階から理系学部進学を決めている生徒を対象に、理系プログラムを充実させたコースである。カリキュラムでは中1・2を前期、中3・高1を中期、高2・3を後期と位置づけ、効率的な先取り教育を行っている。本科コースでは、中3から学年ごとに特進クラスが1クラス設けられ、進級時に入れ替えが行われる。夏期集中講習、放課後のステップアップ講習も実施。毎年、難関大学へ多数の合格者を出し、現役合格率も高い。
クラブ活動は盛んで、なかでも空手道部は全国大会で数多くの優勝経験をもつ。硬式野球部も甲子園出場経験がある。活躍は運動部だけにとどまらず、吹奏楽部はアンサンブルコンテストで全国大会の金賞を受賞したこともある。
国際交流にも力を入れ、希望者は中学2年でシンガポール研修、高校1年では全員参加のカナダ研修が行われる。また、希望者は選抜で3ヵ月のニュージーランド派遣留学がある。
12月には有志の生徒たちが約1週間の早朝坐禅を行い、仏教・禅の心にも触れる。