出題校にインタビュー!
世田谷学園中学校
2022年08月掲載
世田谷学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.宇宙では太陽系が少数派とわかる
インタビュー1/3
テーマは系外惑星。読み応えのあるリード文
柏原先生 私は生物が専門ですが、元来「宇宙」への関心が高く、普段から宇宙に関するニュースに注目したり書籍を読んだりしています。2010年代から、系外惑星(太陽系の外にある恒星を周回する惑星)が次々と発見されており、いずれは入試問題のテーマにしたいと考えていました。
リード文がとてもおもしろく、読み応えがあります。文中の「ハビタブル・プラネット(生存可能惑星)」は宇宙に興味のある子どもは知っているので、そうした子どもは入試でも楽しくリード文を読んだのではないでしょうか。
理科/柏原 康宏先生
天体と生命を結びつけて考えてみよう
柏原先生 惑星探査の目的の一つは生命の起源を探ることにあります。どんな星なら生物が存在するか、ひいては地球の生命はどのように誕生したのか、地球の生命を理解しようと地球外生命の探査が続けられ、生命が存在する可能性のある星が発見されるようになってきています。そうしたことを織り交ぜてこの問題のリード文を作りました。
この問題では聞いていませんが、生物の担当教員としては天体(地学)と生命(生物)を結びつけて考えてもらいたいところです。同じ生物でも環境が違えばどう違ってくるのか、想像がふくらむと思います。読みながら「こういうこともあるんだ」と思いながら解いてくれたり、入試が終わって「おもしろいことを知った」と思ってくれたりしたらうれしいですね。
合格者の6割以上が正解
正答率はいかがでしたか。
柏原先生 この問題の前に「A~Hのうち『地球型惑星』をすべて選びなさい」という問いを出しています。正答率はその問題と合わせて、受験者が47.9%、合格者が62.7%でした。地球型惑星を選ぶ問題は採点していてさほど間違えていなかったと思うので、後半のこの問題の方で差がついたと思います。合格者で6割正解できたのは想定内です。
世田谷学園中学校 校舎
図から読み取れる選択肢を選ぶ
柏原先生 この問題は文章をよく読めば正解を導き出せると思います。「図からわかること」として正しいものを2つ選びます。(イ)は、図から読み取ることはできません。(ウ)は、図と照らし合わせると正しくないと判断できます。間違いのタイプは違いますが、(イ)と(ウ)は除外できるように作ったつもりです。
小学生はそのあたりを区別するのが難しいですね。事実かどうかではなく、提示された情報から明らかにわかるかどうか。また、情報を読み取って正誤の判断ができるかどうか。これらの視点があいまいになりやすい。理科的な視点で考えることが身についているか、考え方の“くせ”があぶり出されたかもしれません。
柏原先生 (イ)は、太陽系のイメージにとらわれていると選んでしまう選択肢かもしれません。図から、太陽系がむしろ少数派であることが何となくわかるのではないでしょうか。
それは子どもにとっては意外なことだと思います。「こういうものだ」と思い込んでいると、正しい思考を妨げてしまうかもしれません。
柏原先生 データは地球と全く異なる惑星を含みます。この問題を含む大問は、地球や太陽系の常識にとらわれないことをテーマにしています。自由に考えてもらいたいという意図で作問しました。
対数軸のグラフを見てイメージできるかどうか
このグラフは軸が対数目盛りになっていますね。
瀬川先生 対数軸のグラフは初めて見るでしょうから、理数的な解釈も必要になります。
柏原先生 対数軸のグラフを使うかどうか、入試問題検討会でも議論になりました。受験生にとって対数軸のグラフは当然初見ですが、惑星の半径と惑星からの距離の関係性は対数軸でなければ表現できません。細かく説明することも考えましたが、あえて「グラフの目盛りは等間隔ではありません」の一言で済ませて、グラフを見てどう思うか受験生に委ねました。
軸の目盛りにふられた数字を見て、頭の中でイメージできるかどうか。1目盛りにつき数が10ずつ増えるのではなく、10倍ずつ増えるグラフを見て、「10倍ということは結構遠く離れているんだな」とか「1より小さいということは、恒星からの距離が太陽と地球より近いんだな」というように、論理立てて意味づけできる子どもはきちんと考えられるのではないかと思います。
世田谷学園中学校 校舎内
インタビュー1/3
学園の理念である“Think&Share”は、お釈迦様の「天上天下唯我独尊」に基づく。「Think」は知的好奇心をもって思索する力を極限まで深め、自己の確立をはかること、「Share」は人の意見に耳を傾け、助け合う心を育てること。仏教の精神に立脚し、生徒に人間として生きることの尊さを自覚させ、国際的視野に立って、積極的に行動できる人間形成を目指している。