シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

世田谷学園中学校

2022年08月掲載

世田谷学園中学校【理科】

2022年 世田谷学園中学校入試問題より

図は、これまでに見つかった銀河系の惑星について、大きさ(半径)と、中心にある恒星からの距離(きょり)との関係を表した図です。地球の場合を1とした、相対的な値を示しています。グラフの目盛りは等間隔(とうかんかく)ではありません。四角形の点A〜Hは、太陽系の8つの惑星を表しています。図から、銀河系の惑星にはさまざまなタイプがあり、太陽系には見られないようなタイプもあることがわかります。

惑星の大きさと恒星からの距離との関係図
図 惑星の大きさと、恒星からの距離との関係(NASAのデータをもとに作成)

(問)次の文のうち、図からわかることとして正しいものはどれですか。(ア)〜(エ)から2つ選び、記号で答えなさい。

(ア)太陽系でいえば「水星よりも太陽に近い位置」に、木星のような大きな惑星がある場合が、銀河系の中ではめずらしくない。

(イ)地球と同じくらいの大きさで、同じくらいの公転周期をもつ惑星が、銀河系の中にもたくさん見つかっている。

(ウ)銀河系の惑星で最も多いのは、「木星と海王星の間ぐらいの大きさ」の惑星である。

(エ)太陽系でいえば「海王星よりさらに10倍以上も太陽から遠い位置」にある惑星が、銀河系では存在する。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この世田谷学園中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(ア)、(エ)

解説

太陽系の8つの惑星を太陽から近い順にならべて、A~Hの「恒星(太陽)からの距離」が短いものから順にあてはめていくと、水星(H)、金星(F)、地球(E)、火星(G)、木星(A)、土星(B)、天王星(C)、海王星(D)となります。

選択肢(ア)の「太陽系でいえば、『水星よりも太陽に近い位置』に、木星のような大きい惑星がある場合が、銀河系の中ではめずらしくない」については、水星(H)と同じ距離かそれよりも恒星に近い位置にある惑星の大きさに着目します。水星と同じ距離かそれよりも恒星に近い位置にある惑星の中には、木星(A)よりも大きなものが多くあるので、(ア)は正しいと言えます。

選択肢(イ)の「地球と同じくらいの大きさで、同じくらいの公転周期をもつ惑星が、銀河系の中にもたくさん見つかっている」については、図の「惑星の大きさと、恒星からの距離との関係」からは読み取ることができません。

選択肢(ウ)の「銀河系の惑星で最も多いのは、『木星と海王星の間ぐらいの大きさ』の惑星である」については、惑星の半径に着目します。図をみると、木星(A)より大きいものと、海王星(D)より小さいものが多く分布していることから、(ウ)は正しいとは言えません。

選択肢(エ)の「太陽系でいえば『海王星よりさらに10倍以上も太陽から遠い位置』にある惑星が銀河系では存在する」については、恒星からの距離に着目します。図の目盛で、海王星(D)は横軸の10と100の目盛りの間にありますが、さらに10倍の100から1000の目盛りの間にも惑星があることが読み取れるので、(エ)は正しいと言えます。

日能研がこの問題を選んだ理由

当たり前に存在している宇宙。自分の根源を支えている場所であり、それゆえ認識することがとても難しい場所とも言えるでしょう。子どもたちにとっては初めて出あう対数目盛を用いつつも、これまでの学びとの結びつきを使いながら、宇宙についての自分の考えを整理できる問いかけに魅了されました。選択肢を読みながら問題と向き合っていくことで、「ともに学び合い、伴走する存在を感じながら考え続けていくこと」の大切さや面白さが伝わってきます。

この問題をきっかけにして、自分が生きている場所をこれまでとは違った視点でとらえる。先人が切り拓いた考え方に沿ってものごとを見ることの面白さに気づく。自分を取り巻くさまざまなものの姿を探求していくことにワクワクを感じる……。学びから広がる豊かな世界との出あいを感じます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。