シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

フェリス女学院中学校

2022年08月掲載

フェリス女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.中1次に「文法」「読解」「作文」と切り分ける授業スタイルがフェリスの特色

インタビュー3/3

中1の授業と中1、中2の読書で学びの土台と情熱を育む

御校の国語のカリキュラムの特徴はどういったところにあるのでしょうか?

先生 国語科のカリキュラムは非常に体系立てられています。中1は「文法」(週2時間)、「読解」(週2時間)、「作文」(週1時間)となります。最初の段階であえて切り分けて、それを専門とする教員がついて1年間教えることにより、すごく力になります。例えば、ロジックの基礎を作る「文法」の授業では、言葉に対する緻密さが積み重なるとともに、言葉に対する感性が磨かれます。中2以降は、それらの技能を統合して進んでいくことになります。「読書」に関しても、中1、中2の2年間はいわゆる日本近代文学の中でも文豪と言われている人の作品を多読します。その中で、いろいろなものに対する眼差しや知の体力のようなものが磨かれます。

「文法」「読解」「作文」とあえて切り分けてスタートするところがフェリスの特色であり、大きな違いになっていると思います。学びに対する気概というか、気骨というか…。学びに対する情熱のようなものが、生徒の中にも育まれていると感じます。
この考え方は、フェリスの伝統ですね。厳格なことを大切にする、という考え方は昔からありました。古典文法も早いうちから学べる環境にありました。

抽象的な思考ができるところも大きな特徴です。具体的なものはわかりやすいですが、抽象的なものは目に見えず、わかりにくいので、具体例に着目し、抽象的なところは飛ばすことがあると思いますが、そういうところにもきちんと向き合える体力が育まれていくのだろうと思います。文章全体の論理的構成や、1つ1つの言葉へのこだわりなどに加え、比喩や抽象の部分に対しても豊かな感性で読み取ることができます。完成された文章であればあるほどそういう力が必要になると思うので、土台ができるのは大きいと思います。

フェリス女学院中学校 ラウンジ

フェリス女学院中学校 ラウンジ

中高6年間で「知のベース」を作ろう

先生 そう考えると哲学や思想を中高生のうちに読むということはすごく大切だなと思います。評論では現代思想を扱うことが多く、この時期にこのテーマで、と計画的に進めていきます。文章がいいものでないと意味がないと思うので、そこにこだわっています。

自分の生き方に関心をもつためには、教養が必要だと思います。現代の社会では実践的なものが優先されて、教養が軽視されていると思います。目先のことに役立つかどうかよりも、どう生きていくか。それを考えるために教養は必要だと思います。
いますぐ社会で役立つかどうかということばかりを気にしても、時代が変わればすぐに陳腐化します。ですから、どんな時代になったとしても役立つ、知のベースみたいなものを中高の間に築かなければいけないと思っています。

フェリス女学院中学校 広島研修旅行

フェリス女学院中学校 広島研修旅行

入試は通過点。入学してからどう芽を伸ばすかが大事

入試において考えていることはありますか。

先生 植木屋さんは枝が伸びた時にどういう形になるだろうかと考えて剪定すると聞いたことがあります。私たち教員や学校も同じで、こういうものの見方、考え方ができると伸びるだろうななど、そういうところに意識を向けて問題作成に取り組みたいと思っています。フェリスの良いところはいろいろな人がいて、いろいろな伸び方をしていくところだと思います。1つのパターンに限らないのです。

ですから入試でパーフェクトな力を発揮した子だけでなく、そこでは未完成だったけれども、この先、どう成長していくのかなというおもしろさというか、そういうところも問える問題を出すことが大切だと思います。

第一志望でなかったとしても、がっかりする必要はありません。「今、考えるとフェリスに入学してよかったと思います」と言って卒業する子がたくさんいます。私たち教員はその言葉にとても救われます。生徒にそう言ってもらえる要因の1つは、キリスト教系の学校だからだと思います。現実が今その人にとって最善と思えなくても、神様がその人にとって最も良い道を用意していてくださったのだ、と思うことができる校風なのです。

他者を思いやる力を、文章を読むことで伸ばしていく

最後に子どもたちへ、メッセージをお願いします。

先生 世の中の傾向として、他人のことに気づけない人が増えているように思います。それは想像力(イマジネーション)がないからだと思います。でもその想像力は空想ではありません。周囲のいろいろな状況から考えて、それを材料にして、想像を広げていく力です。私は文脈を読む力に想像力を養い、他者の痛みを理解する力を獲得する鍵があるのではないかと思います。そういうことを通してイマジネーション(思いやる力)を育てていきたいなと思います。

たしかに、人の痛みがわかるには想像力が必要ですよね。

先生 自分がその状況に置かれていなくても、その状況に置かれた人がどのようなことを考えているのか、ということがわからないと何もできませんから。おそらくいろいろな教科がその教科なりの手段で取り組んでいると思います。国語科では論理を通してそれを実践できると思います。私見ですが、人の痛みがわかる人は「読み取る力」が備わっているので、人の個性を大切にできる、と思うのです。個性を大事にすることが、結局、人の痛みがわかる、というところにつながると思います。自分の主義主張が正しい、と言い張り、違うことをしている人がいると攻撃し合うということが、コロナ感染が広がるとともに顕著になっていると思います。ですからより人の痛みがわかる「想像力」が大事になるのではないかと思います。

フェリス女学院中学校 体育館

フェリス女学院中学校 体育館

インタビュー3/3

フェリス女学院中学校
フェリス女学院中学校フェリス女学院の教育理念“For Others”は、誰か特定の人によって提案されたものではなく、関東大震災後に、誰が言い出すともなくキャンパスに自ずとかもし出され、フェリス女学院のモットーとして自然に定着したものだということです。フェリス女学院では、“For Others”という聖書の教えのもと、「キリスト教信仰」・「学問の尊重」・「まことの自由の追求」を大切にしています。そして、生徒一人ひとりが、6年間の一貫教育を通して、しなやかな心を育み、つねに与えることができる、“For Others”の精神を持った者へと成長することをめざしています。校章には、盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字がデザインされています。盾は外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白・黄・赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。
外国人墓地や歴史的な建造物の多い異国情緒あふれる地域にある、落ち着いた雰囲気の学校です。創立者メアリー・E・ギターがこの地に開学して以来の歴史が、校舎を包む木々などから感じられます。2000年の創立130周年において新校舎建築となり、2014年には新体育館、2015年夏には新2号館が完成しました。中高の図書館には、図書・視聴覚資料・雑誌・新聞などの94,000点を超える資料があります。授業の課題制作や調べものや自習のほか、昼休みや放課後にも多くの生徒が利用しています。書庫は開架式で、図書を手に取って自由に選ぶことができます。
クラブ活動がたいへん盛んで、同好会、有志も合わせると約60近い団体が活動しています。中学生では、ほぼ100%の生徒がクラブに参加しています。ほとんどのクラブが中1から高2まで一緒になって活動し、同学年だけでなく、先輩・後輩という他学年との人間関係が築かれています。中3からは、クラブ以外でも、気のあった仲間同士で同好会や有志を結成して文化祭に参加するなどの活動もあります。