今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
逗子開成中学校
2022年07月掲載
2022年 逗子開成中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)現在、スーパーシティという未来の都市の設計が進められています。スーパーシティとはAI(人工知能)やビッグデータ(人やモノの動きなどさまざまなデータ)を活用して都市の運営を効率的におこない、公共サービスを向上したり、環境に対する影響を減らしたりということを目指しています。世界のいくつかの国で導入が進められ、日本でも国が中心となって導入を検討しています。次の資料はスーパーシティ構想によって実現する社会の一例を示したものです。この例にある「医療・福祉」、「物流・交通」の分野から出される情報を組み合わせることによって生まれる新しいサービスと、そのサービスによってもたらされる利点を資料の内容をふまえて3つ答えなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この逗子開成中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
1. 病院の医者やベッドの数と道路の混雑状況のデータを組み合わせることで、救急車の手配を効率よく行える。
2. 高齢者や障がい者の居住地とドローンによる配送地域のデータを組み合わせることで、交通の便の悪い地域にも速やかに商品を配送できる。
3. 子ども向けの施設の場所と道路の危険な場所のデータを組み合わせることで、保護者に子どもが安全に施設に通えるルートを紹介する。
解説
資料の「医療・福祉」に4項目、「物流・交通」に3項目あげられています。4項目と3項目をさまざまに組み合わせて、新しく生まれるサービスを自由に考えてみましょう。解答例のほかに、「ドローンを使った医薬品の配送サービス」なども考えられます。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
近年の入試問題で、AIを題材とする問題を散見するようになりました。そこでは、AIによって代替できるようになる仕事をテーマにしたり、AIの優れた点を記述させたりするものがありました。この問題は、AIが人間に取って代わる面ではなく、人間がAIやビッグデータを活用して新しいサービスを生み出すことに焦点を当てています。
現在の小中学生が大人になるころには、AIはますます進化していることでしょう。AIやビッグデータを活用して生活をよりよくしていけるのかは人間次第です。「あなたは将来、AIをどう活用していく?」と問われているようです。
逗子開成中学校の入試問題のリード文に、次のような一節がありました。
「現代の社会はさまざまな課題を抱えていますが、課題と向き合って解決策を模索し続ければきっと道は拓けるはずです。10年、20年後の社会を担い、解決策を模索するのは君たち自身です。中学・高校の6年間でさまざまな社会的な課題などについて知り、自分の考えを持って動き出せるように一緒に学んでいきましょう。」この問題は、まさに逗子開成中学校・高等学校の先生方のメッセージを具現化したものだと感じました。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。