シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

渋谷教育学園渋谷中学校

2022年06月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分のやりたいことを見つけて、できる環境が整っている

インタビュー3/3

生徒同士が風通しのいい関係を築いている

学校生活についてはいかがですか。

小野先生 生徒たちを見ていると楽しそうでうらやましいです。僕も、学生に戻れるなら本校に入って国語などの授業を受け直したいです。

その気持ち、わかります。私たちが学生の頃は、質問したくても言える雰囲気ではなかったですからね。

小野先生 働いている自分が言うのはおかしいかもしれませんが、本当にいい学校だなと思うんです(笑)。生徒を見ていると良い友だちがたくさんいますし、部活などにも生き生きと取り組んでいます。

たしかに、先ほど生徒さんが下校する姿を拝見しましたが、男女関係なく仲睦まじい様子でした。

小野先生 本当に友だちとの関係性がすごくいいです。人に対して触れてはいけないところをわかっていて、そこには触れないのです。例えば、教員が家庭の事情でお休みした時に、代わりにそのクラスに行くと「先生、どうしたんですか」などと聞くじゃないですか。「ちょっとおうちの事情で…」などと言うと、それ以上は聞いてきません。それは友だちとの関係の中でも変わりないようです。そういう意味ではすごく大人です。私は今年中1を担当していますが、1年生でも大人だなと感じます。子どもらしさがない、というわけではありません。男女関係なく、本当に楽しそうです。

理科/小野先生

理科/小野先生

コロナ禍で化学研究は縮小、今後に期待

理科部の活動にはかかわっていらっしゃいますか。

小野先生 理科部は化学、生物、物理(ロボット)に分かれて活動しています。私は化学が専門なので、化学分野を担当しています。理科部全体の登録部員数は3桁を超えますが、実際に活動している部員はそこまで多くありません。どの分野も同じくらいの部員数です。掛け持ちしている部員もいます。ロボットは若干男子部員が多いですが、女子部員もいます。コロナ禍で、工場見学は自粛していますし、研究活動も縮小しているので、これから活発に活動してほしいです。

研究活動は縮小しているのですか。

小野先生 自然科学系はあまり多くありません。実験を行うとなると時間と手間がかかるからです。ただ、教員がフォローする中で、肉をやわらかくする方法を調べたい、みかんのリモネンの洗浄能力を調べたいなどと言って、取り組んでいる生徒は何人かいます。相談してもらえれば、大学さんなど学外に協力をお願いすることもできるので、もっと取り組んでほしいです。

渋谷教育学園渋谷中学校 実験室

渋谷教育学園渋谷中学校 実験室

自分がやりたいことを見つける6年間を送ろう

卒業生で印象に残っている生徒さんはいますか。

小野先生 1人は宇宙飛行士を目指している生徒ですね。中学生の最初の頃から「宇宙飛行士になりたい」と言っていた生徒がいました。正直なところ、ちょっと難しくない?と思っていたのですが、卒業後にその道に進んで、今度、宇宙飛行士の応募があったら本当になるんじゃないか、と思うくらい力をつけています。やりたい、という気持ちが強ければ強いほど、かなう確率は高まるのではないか。そう思わせてくれる卒業生がいます。

日本テレビのアナウンサー、岩田絵里奈さんも本校の卒業生です。私も何回か担任を持たせてもらいました。中学時代から芸能活動をやっていて、当時から元気でしたね。今もちょこちょこ学校に来てくれます。中3の東京研修で日テレにも行かせてもらったこともあります。

東京研修はキャリア教育の一環ですか。

小野先生 そうですね。自分がやりたいことを探して、どこならそれを実現できるのか。それをしっかり調べて見つけなさい、というスタンスで行っています。

進路部ではロードマップを作っています。高1で適正検査のようなものを行い、そこでいろいろな職業があることを知って、そういうところから興味を持ってもらうなど、ところどころで生徒自身が考えるタネを蒔いています。

 

身近なものに目を向けて疑問をもつこと、考えることが大事

最後に、小学生に向けてアドバイスをお願いします。

小野先生 身近な現象に目を向けて、疑問に思ったら調べる習慣を身につけてほしいです。お子さんが気がつかなければ、保護者の方が「なんだろう?」と、気づきのきっかけを作ってあげてもいいのかもしれません。そして一緒に考えられるといいと思います。

本校には、教員の想定を超えていく生徒がいます。例えば、すごく理科ができるので、将来研究者になるのかなと思っていたら、文系に進んで、理科の教員としては「好きなのは文系のこの分野だったのか。残念だな」と思う生徒や、先ほどの宇宙飛行士を目指している卒業生のように、自分がやりたいことを目指して突き進んでいる卒業生を見てきて思うのは、自分が本当に惹かれるものを見つけることが大切である、ということです。そのためには、何にでも興味や疑問をもって調べる、考える習慣を身につけてほしいですし、自分がやってみたい、と思うことがあれば、無理だと思わずに挑戦することが大切だと思います。

渋谷教育学園渋谷中学校 校舎内

渋谷教育学園渋谷中学校 校舎内

インタビュー3/3

渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園渋谷中学校地上9階・地下1階の校舎は、地域との調和と快適な環境をコンセプトとして設計されており、都市工学の先端技術が駆使されています。これからの新世代にふさわしい、充実した学校生活を提供されています。教育目標は、21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため「自調自考」の力を伸ばすことを根幹に、国際人としての資質を養う、高い倫理感を育てる、という3つです。
学習面における「自調自考」を達成するために、シラバス(学習設計図)が活用されています。シラバスは、教科ごとに1年間で学習する内容と計画が細かく書かれたもので、家づくりにたとえるならば設計図にあたるものです。シラバスをもとに、生徒自身が「いま何を学んでいるのか」「いま学んでいることは何につながるのか」ということを常に確認し、自ら目標を設定することで学習効果が上がるように指導されます。「何を学び、学んでいることは何につながるのか、全体のどのあたりを勉強しているのか」を確認しながら、授業に目標を持ち積極的に参加して、毎日の学習に取り組むことができます。外国人教師による少人数英語教育が実践され、さらに、中学3年生から、希望者は英語以外にもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。ネイティブの教師と一緒に自分の世界を広げてみましょう。開講講座は、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。海外研修は希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。研修の目的は若者交流です。異文化理解や語学研修など、さまざまな経験を通して交流の輪が広がります。海外からの帰国生も多数在籍しており、留学生も受け入れています。
自分を律する心を養い、一人ひとりの人生をより豊かにし、人のために役に立ちたいと思う人間を育むため、生徒の発達段階に合わせたテーマで、6年間で30回にわたる「学園長講話」が行われています。