シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

昭和女子大学附属昭和中学校

2022年05月掲載

昭和女子大学附属昭和中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.学び合いが刺激になり互いに成長

インタビュー3/3

多面体の模型を作って空間図形の感覚養う

「考え方を書きなさい」といっても、小学生の段階では式だけになりがちです。その点、中学ではどのように指導されていますか。

豊後先生 「○○だから××」というように言葉を添えて説明できるように、授業中に生徒を見回りながらノートも見て、「ここは説明が足りないから、言葉を足して書きましょう」とアドバイスします。テストの振り返りでは、「○○といった言葉がなかった解答は減点しました」と採点基準を明らかにして、言葉で説明する習慣をつけるように促しています。

中1の授業の様子を教えてください。

豊後先生 空間図形は平面上では理解に限界があるので、多面体の模型を作り、図形を一方向からだけでなくさまざまな角度から見る能力を身につけます。実物を作って見て触れることで、なぜ正多面体は5種類しかないのかということも自分たちで発見することができます。
3~4人のグループワークは「楽しいからずっとやっていたい」という声も。模型を教室に置いたら、休憩時間などにそれで遊んでいたようです。

杉村先生 これは生徒同士が学び合いをするシカケの一例です。一人で問題を解く時間も大切ですが、学び合い、教え合いの時間も積極的に設けています。教わった生徒は自分に近い視点から理解することができ、教えた生徒はさらに理解を深めることができます。こうした機会をどれだけ多く設けられるか、あれこれ知恵を絞っています。

数学科/豊後 遥先生

数学科/豊後 遥先生

リトライテストで解き直し、知識の定着を図る

豊後先生 数学は積み重ねの教科なので、積み残しを防ぐにはこまめな確認が大切になります。そのために単元ごとに小テストを行っています。
生徒全体の出来が良くないときには、問題が同水準の「リトライテスト(再テスト)」を実施します。こちらの点数がよければ点数が上書きされるので、生徒は必死で頑張ります。

杉山先生 それまでは小テストで解き直しをさせて、そのノートを提出してもらっていましたが、中には解答を写すだけの生徒もいます。生徒をやる気にさせる方法はないかと思い、上書きするシカケを設けました。点数が上がった生徒もいて、効果を実感しています。
大学入試は一発勝負ですが、普段のテストは定着することが目的です。わからないままにしておかないで、しっかりと自分のものにしてもらいたいですね。

ノート作りは得意な生徒を真似るのも一手段

杉山先生 数学に限らず、生徒には「メモを取る習慣をつけよう」と言っています。単に板書を写すのではなく、教員が話したこと、気になったことなどをメモして、それを基に勉強する習慣をつけるように取り組んでいます。

杉村先生 最近、方眼ノートを使っている生徒が増えています。縦に罫線があるので行の頭が揃えやすく式が書きやすいので、見直しがしやすいようです。
ある生徒は、段落をつくるような感覚で、文章の先頭を1字下げて計算の“固まり”をつくって自分の考えを整理していました。どうやら数学が得意な友達のノートを真似たようです。よいものは積極的に取り入れて、自分なりのメモの取り方、ノートづくりをできるだけ早い段階で身につけてもらいたいですね。

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎内

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎内

自分を疑う目を持てば間違いに気づきやすい

杉村先生 定期テストの試験監督をしていると、高得点の生徒とそうでない生徒では修正のスピードが違うとわかります。つまり、見直したときに間違いに気づけるかどうかです。
途中式に言葉を添えたり、式のまとまりがわかるように記述したりしている生徒は、間違いに気づきやすく素早く修正しています。答案を見ると書き直して正解することも結構あります。不正解の答案は大抵、修正した跡が見られません。
個数を聞いているのに、マイナスや分数の数を答えていてもおかしいと思わない生徒もいます。テスト中に間違いに気づけるかどうかは、自分を疑えるかどうかです。それは、自分のことをどれだけ知っているかということでもあります。
それなりに準備をして、それなりに集中しても間違えるということは、何か間違えるクセがついているのかもしれません。例えば、そそっかしくて分数のかけ算や割り算でミスが多いとわかっていれば、そうしたところはより気をつけて見直しをするでしょう。
中学の授業では隣の生徒と答え合わせをし、間違いについても話し合ってもらいます。自分が間違えても目線が近い友達の指摘なら受け入れやすいと思います。

できることをやる予習主義で主体的に学ぶ

杉村先生 本校は昔から「予習主義」を掲げています。教わる前に予想して、それを授業で確かめます。知らないからやらないではなく、知らなくてもできることをやろうという姿勢を大切にしてほしいですね。これは中学入試でも求めているところです。
日ごろから予習をして自分の勉強が管理できているかどうかは、コロナ禍でオンライン授業になって顕著に差が出ました。予習をして「どういうことだろう?」という“モヤモヤ”を1つでも2つでも持って授業に臨むことで、主体的な学びにつながると思います。受け身で教わったことより、自分で気づいたことの方が記憶に残ります。

活発な生徒が増えて学校が活性化

杉村先生 ここ数年の入学者を見ると、自分の意見を発信できる活発な生徒が増えてきた印象です。学校見学会に来た小学生に自ら進んで受験勉強のアドバイスする姿を見ると、受験勉強を頑張ったという自信を持って、生き生きと学校生活を送ってくれていると感じます。
その背景には共感できる仲間の存在があると思います。授業でも「私もそう思った」「そうだよね」という共感の声が増えています。共感できる仲間の存在は心強いことでしょう。
学校生活について楽しそうに話す在校生と接した受験生が、「私もあんなふうに楽しく学びたい」と思って本校を受験してくれているように思います。本校の取り組みが在校生を通して受験生や保護者に伝わることで、学校全体が「プラスの方向へ進んでいる」という確かな手応えを感じています。

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎内

昭和女子大学附属昭和中学校 校舎内

インタビュー3/3

昭和女子大学附属昭和中学校
昭和女子大学附属昭和中学校1920(大正9)年に人見圓吉が創設した、日本女子高等学院が前身。建学の精神である「世の光となろう」のもと、「清き気品、篤き至誠、高き識見」の言葉を掲げ、人格と能力を兼ね備えた、社会に貢献する人材の育成をめざしています。
都心に位置しながら、豊かな緑に恵まれた広々とした構内には、式典・講演会のみならず、外部の利用からも高い評価を得ている人見記念講堂、人工芝グラウンド、可動式スタンドを備えた新体育館、年間を通して利用できる温水プール、54万冊もの蔵書を有する大学図書館、日本文化の授業や音楽・国語の授業で使用される茶室があります。
昭和女子独自の中高一貫積み上げ教育を実践し、高2年で高校課程を修了。その後は、高校に籍を置いて併設大学で学ぶ「五修生制度」や、併設大学への被推薦権を得たまま他大学受験も可。併設大学への内部進学率は低下していて、2016年は30%でした。
週6日制で授業時間を確保し、多様な進路に対応できるカリキュラム”SHOWA NEXT”を展開。朝読書、3~4分間のスピーチを行う「感話」、個人研究の「私の研究」、クラス研究の「昭和祭研究」があります。また、中学校の生徒全員が3年間にわたって行う「ザ・ボストンミッション」は、中学1年~2年で準備研究、中学2年の終わりにアメリカキャンパス「昭和ボストン」で12日間の海外研修を経験。帰国後、その成果を英語で発表します。アメリカの歴史や文化を学びながら、現地の生徒とも交流し、国際感覚や英語運用能力を養っていきます。さらに、キャンパス内にあるブリティッシュ・スクールとの交流もあり、文化の違いを体験しながら、コミュニケーション力や協調性を養っていきます。
「ユネスコスクールプログラム」では、思考力・応用力・表現力を磨く取り組みが行われています。高校3年では、第2外国語(6カ国語)を選択することができます。
上級生と下級生が一緒に清掃や作業を行うことで、思いやりや協調性を育てる「朋友班活動」、企画から運営まですべて生徒たち自身で行う「感謝音楽祭」、中学1年~高校2年生が学年ごとに学校所有の宿泊施設で3泊4日の共同生活を送る「学寮研修」など、昭和ならではの独自の取り組みがあります。
木曜日の必修クラブのほかに、課外クラブ活動もあり、放送部が全国大会、水泳、書道、陸上部なども大活躍。珍しいドッジボールもあります。