シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

獨協埼玉中学校

2022年03月掲載

獨協埼玉中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.中学は先取りよりも足元を固める

インタビュー3/3

サイコロを投げて確率6分の1を実感

母里先生 中学では高校の範囲の先取りはせず、中学の範囲だけをしっかり取り組みます。自分で考えることができるように、帰納的手法、つまり実体験を伴う学習を積極的に取り入れています。
例えば、中2の確率の授業では、実際にサイコロを投げて1の目が出る割合と、確率が「6分の1」で等しいかを検証しました。まず生徒1人あたり200回投げてその値に近づくか、次にクラス40名ではどうなのか、さらに中2の生徒全員ではどうなるかを見ていきました。
「Googleスプレッドシート」(表計算ソフト)を使ってみんなの作業状態を共有。数値がリアルタイムで変化して6分の1に近づいていくのを実感しました。計算結果と経験がつながることで納得感があると思います。

獨協埼玉中学校 掲示物

獨協埼玉中学校 掲示物

具体例を地道に積み重ねて抽象化につなげる

母里先生 中1の正の数・負の数の単元では、トランプを使ってグループワークをしました。黒のカードが正の数、赤のカードを負の数とし、ババ抜きのように取り合います。手持ちのカードの黒の絶対値と赤の絶対値の差から、プラスかマイナスか目に見えてわかります。トランプを通して足し算におけるマイナスの感覚を持てるようになっています。

具体的な体験から予想して、抽象的な論理に結びつけるわけですね。具体的に考えられなくなったとき、どのようにして論理につなげていますか。

小田先生 難しいところですね。簡単な例は、1個100円のものを、2個、3個……と買う場合、金額は100×2、×3……となるので、個数をxの文字に置き換えて金額を100xで表すと、算数が数学になります。
100×5と100×xは、中1の頭の中では別ものになっているので、具体と抽象の橋渡しは丁寧に、根気強く行うように心がけています。

苦手な生徒は模範解答を写して「型」を覚える

記述問題の説明の書き方はどう指導されているのですか。

母里先生 地道にコツコツやるしかありません。例えば一次方程式では、一言、説明を書いてから計算式を書くように指導します。
それでも身につかない場合、中1の補習では、私が丁寧に書いた板書をかき写してもらったり、「なぜ、ここでこの言葉が必要だと思う?」と聞いたりします。説明できないとなかなか手を動かさないので、中1は真似させていました。型にはめるのはよくありませんが、苦手な生徒はまず型を覚えて解答の流れをつかむことを優先しています。

獨協埼玉中学校 掲示物

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補習は罰ではない。知識が増えるチャンス

補習は定期的に行っているのですか。

母里先生 単元終了時に行う10分間の小テストごとに、定期試験後もやっています。
生徒には「補習を受けたから、わかるようになった」と思ってもらいたい。やらされている補習は単なる“罰”でしかありません。私はいつも「補習は罰ではないよ」と言っています。補習は、自分が間違えたところをもう一度見直して身につけるチャンスです。親御さんにも「補習は罰ではありませんから、怒らないでください」と伝えています。

難易度が違ってもやることは同じ

母里先生 成績上位の生徒は、これがわかったらこれができる、それは難易度が違ってもやることは同じだと気づけます。すると、自分でどんどん学び進みます。方程式を習ったら二次方程式を、一次関数を習ったら二次関数をやってくるというように、難しいことに挑戦します。
オンラインで30人くらいの成績上位者のGoogle Classroomを作り、今習っている分野の発展問題を毎週配信しています。例えば、答えが出ない二次方程式(答えが虚数)がなぜ解けないのか、例を出して理由を考えてもらいました。「√(ルート)内が負になると、まだ習っていない数字になるから」というように、自分の考えを説明する力がついています。

獨協埼玉中学校 掲示物

獨協埼玉中学校 掲示物

獨協医科大学医学部の推薦枠が拡大

小田先生 中高大連携の強化として、昨年度から獨協医科大学医学部への系列校の推薦枠が新設され、推薦枠が拡大しました。医学部志望の高校生にとっては進学のハードルが少し下がりますから、学校の勉強を頑張ろうという意識は確実に高くなっています。

母里先生 中学にも医学部進学を考えている生徒が数名います。何より親御さんが「可能性が広がった」と喜んでいます。埼玉県内には医大の附属校は本校だけということもあり、最初から医学部を志して入学してくる生徒もいます。彼らの期待に応えたいですね。
また、中3以上が対象の中高大連携プログラムも実施しています。医学部だけでなく、薬学部を含む医療系、あるいは研究職を目指している生徒(希望者)向けに、月1回、土曜日の午後に、獨協大学医学部の教員が本校で講義をしてくれています。基礎医学、最新の内視鏡手術など医学部の講義の先取りのような内容です。講義がおもしろく、「絶対、医療系に進みたいです!」という生徒もいて、大いに刺激になっています。

獨協埼玉中学校 図書館

獨協埼玉中学校 図書館

将来いつかどこかで出会うときのために

中高6年間でどんな数学の力をつけてもらいたいと思っていますか。

小田先生 進学先に限らず論理的な思考力を身につけてほしいですね。数学の問題を考えることで、どの条件が当てはまるかなど情報を整理する力は、社会に出て仕事をする上でも役立つと思います。課題解決の最善策を導き出すのに数学的な考え方を生かしてほしいなと思います。

母里先生 生徒に「何のために勉強するのか」とよく聞かれます。私が若いとき、先代の校長に「念のためだ」と言われました。数学を学ぶ理由は、論理的思考力は当然として、どこかで使うことがあるかもしれないそのときに備えて、数学を勉強してほしいという気持ちで教えています。
社会人になって数学と出会ったとき、「知らない」ではなく、「知っている」人であってほしい。「どこかで見たな」と頭の片隅に数学の知識が残っていてくれたらいいですね。

インタビュー3/3

獨協埼玉中学校
獨協埼玉中学校1881(明治14)年にドイツを主としたヨーロッパ文化を学ぶことを目的とした獨逸学協会としてスタートし、以後120年間のうちに獨協大学、獨協医科大学、姫路獨協大学、獨協中学・高校を有する総合学園に発展。獨協埼玉高校は1980(昭和55)年に開校。2001(平成13)年に待望の中学校が開校した。
都内と違い、まだまだ多くの自然が残る環境のなか、約8万m2の広大な校地をもつ。300mトラック、サッカー・ラグビー場、図書館棟、和室棟などがある。中学開校に伴い、中学の校舎を新築。普通教室のほか、カリキュラムで使い分ける選択教室が8教室、250名収容の多目的ホールや、各階の談話コーナーのほか談話室を兼ねた食堂もあり、弁当、パンや飲み物を販売する売店も備えている。
教育方針は、自ら考え、判断することのできる若者を育てる。中学では、様々な体験を通じて、自分の目でみて確認する「帰納法的手法」を重視している。
併設大はあるが、他大学進学へのウエートが大きい。英語は中1では週6時間、そのうち2時間は外国人教師による授業で、1クラス2分割の少人数制。指名制・希望制の補習が放課後あり、定期考査後や、学期末にも特別補習を実施する。中3で卒業論文発表に取り組む。毎日10分間の朝学習では、読書、学習チェックの2つの内容で行われる。高校の英・数は習熟度別・少人数授業。伝統のドイツ語は高1から自由選択科目となる。外部進学生とは高2まで基本的に別クラス。
中学のクラブの活動日は週4日で、完全下校を中1は5時半に設定。運動部は陸上、軟式野球部など13、文化部は吹奏楽、演劇部など7、文芸、サイエンスなど7つの同好会がある。授業のほか体、心を鍛える総合学習プログラムがあり、中1では地域の農家の協力を得て稲を育てるネイチャーステージ、中2では将来の進路や就業について調べるキャリアステージや、朝から晩までアメリカン・カウンセラーと生活する「英語ですごす3日間」を体験するコミュニケーションステージ、中3ではボランティアステージなどが用意されている。学校行事は、文化祭、修学旅行、マラソン大会など多彩。希望者対象に中3はニュージーランド、高校はアメリカ語学研修、オーストラリア・ドイツとの国際交流がある。