シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大妻多摩中学校

2022年02月掲載

大妻多摩中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.思考や対話の土台となる言葉の力を身につける

インタビュー3/3

言葉の意味を正確にとらえてから精読する

普段の授業は、例えば中1はどのように進めていらっしゃいますか。

井上先生 中1は教科書の読解が中心です。音読できてしまうので「わかったつもり」になりがちですが、実は言葉の意味がわかっておらず、正確に理解できていなかったということがあります。それは高校生でも起こり得ます。
中1には「この言葉をまず調べよう。できれば国語辞典で」と言っています。生徒が自分で調べる言葉を決めることもあります。まず言葉の意味をきちんと理解して、その上で内容をつかみ取るようにします。
小説の読解は意外と難しいようですが、天候の変化が何を暗示しているのかなど情景描写に注目させると、生徒は読解をおもしろいと思ってくれます。

大妻多摩中学校 図書室

大妻多摩中学校 図書室

生徒同士が話し合う場を多く設ける

井上先生 生徒同士が話し合う機会をできるだけ多く設けるように心がけています。自分とは違う考えに触れる、他者の意見に耳を傾けることも勉強の一環です。テーマによっては正解が出ないこともあります。自分たちで考えてわかった、こんな意見が出たという実感を大切にしたいと思っています。

小玉先生 中1でも簡単なディベートを行っています。授業でビブリオバトルを行ったところ、盛り上がりました。国語の授業以外でも人前で話す機会が多くあるので、人前で話すことにはあまり抵抗感がないように思います。

読書は「何を」読むかも意識して選びたい

小野先生 読書量が多いと語彙や表現の引き出しを増やせます。小学生のときに「本をたくさん読んだ」という生徒は多くいます。でも、大事なことは「何を」読んだかです。中学生になっても、小学生向けからなかなか抜け出せない生徒がかなりいます。
タイミングを見計らって「新書を読もう」とは言いますが、大人が読む本も読んでほしいという教員の“下心”が見えると押しつけになってしまうので、そうならないように気をつけています。

大妻多摩中学校 図書室

大妻多摩中学校 図書室

連句を作ってオンライン授業でつながる体験

井上先生 昨年度の中1は、入学当初からオンライン授業で、クラスメイトと顔を合わせることがなかなかできませんでした。それでも何とかして心がつながる体験ができないかと思い、連句の授業で、ある生徒が作った上の句に、別の生徒が下の句を付けることをやってもらいました。
生徒は直接会ったことはない相手のことを思いやって作ってくれました。よく知らない相手だからこそ、相手の思いに寄り添う姿勢が感じられました。このような言葉のやり取りを通して、相手の気持ちを想像する力が磨かれていくのではないかと思いました。
散文は苦手だけれど、韻文は感性の豊かさ、鋭さを感じさせる生徒がいるので、詩や俳句などの韻文も大切にしたいと思っています。

型にとらわれず自分らしい表現を大切に

小玉先生 今、中3は卒業文集の作文に取り組んでいる最中です。担任が一度チェックするのですが、私は「誤字・脱字や主語・述語のねじれ、話し言葉、ら抜き言葉・い抜き言葉は、国語科の教員として赤字は入れたけれど」と前置きして、「この文集を10年後、20年後に読み返したとき、このままの方が中3のときの心持ちがわかるから、直さなくてもいいよ」と言いました。
国語科の教員が担任だから、きっと修正が多いと思っていた生徒たちは、驚いていました。でも、返却してからは生き生きと書くようになりました。
正しい日本語を使ってほしいと思っていますが、あまり型にはめすぎてしまうと、場合によっては表現の自由さ、その子らしさを失ってしまいます。自分が伝えたいこと、自分らしい伝え方を大事にして、自分の思いを表現できる喜びや、相手に伝わる楽しさを忘れないでほしいと思います。

明晰な日本語を使えるようになってほしい

中高6年間でどんな国語の力を身につけてもらいたいと思っていますか。

井上先生 言葉は、思考やコミュニケーションの土台となるものです。言葉があるから理解できるし、ときに誤解することもあるけれど、それを解消するのもまた言葉です。物事を考え、理解し、相手に伝え、よりよい関係性を結べるように、しっかりとした言語力、表現力を身につけてもらいたいと思っています。

小野先生 明晰な日本語を使えるようであってほしいですね。明晰な日本語とは、論理的であることに加え、「聞き取りやすい日本語」ということです。話す相手(大人か幼い子どもかなど)による語彙選びも含みます。
8m40cm四方の教室にいる30数名全員に聞こえる音量で、聞き取れるスピードで話すことがコミュニケーションの基本ですし、社会人としても必要な素養です。そうした土台を中高6年間で身につけてほしいと思っています。

大妻多摩中学校 掲示物

大妻多摩中学校 掲示物

インタビュー3/3

大妻多摩中学校
大妻多摩中学校国際化と女性の社会進出が求められる時代を背景に、大妻多摩は「わたしの力を、未来のために」をスローガンとして、「社会と世界に貢献できる女性の育成」を目指している。「世界」を視野に入れた活躍を目指すべく、多彩なプログラムで構成された「英語・国際教育」を実施。
5ラウンドシステムを導入した習熟度別の英語教育から始まり、中学2年生必修でのオーストラリア研修やグローバルインタラクションチャレンジ、約50名が参加可能なターム留学制度、そして海外大学進学説明会など、6年間を系統立てて準備された国際プログラムを実施している。
また、「科学は世界の共通語」という考えのもと、理数教育にも力を入れ、大妻多摩独自の授業である「数学探究」や、立地環境を存分に活かした「理科教育」は生徒に人気の授業だ。
中学生を対象に実施している「理系を知るガイダンス」は東京農工大学と協力して実施しており、理系への好奇心をかき立てている。
2021年度には東京薬科大学と高大連携協定を締結し、理数教育のさらなる発展が期待できる。2023年度には成蹊大学とも高大連携協定を締結。さまざまな交流や連携事業を推進していく予定だ。
大妻多摩のキャンパスは駅徒歩7分に立地している。東京都にありながら自然豊かで広大なキャンパス、5つの理科実験室と3つのCALL教室、森の図書館をイメージした約200席の自習室をもつ図書館、人工芝の大きなグラウンドなど、世界基準で見ても素晴らしい教育環境である。四季を感じることができる広々としたキャンパスは、生徒の心を豊かに育んでいる。
キャンパスには体育館が3つ・グラウンドが3つ・照明付きのテニスコートが6面あり、運動をするにも恵まれた環境で、バトン部・ラクロス部・バレーボール部・バスケットボール部・テニス部などが活発に活動している。
併設大学への推薦制度はあるが、多数の生徒が他大学へ進学している。3割強が理系に進学し、ここ数年は医学部への進学者が増加している。早稲田・慶應・上智など難関大学への進学者も多い。