シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大妻多摩中学校

2022年02月掲載

大妻多摩中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「食べる」から社会の矛盾を考える

インタビュー1/3

便利さを求めた結果、失ったものがある

井上先生 この問題の素材文は、中学生向けに比較的平易な文章で書かれていますが、内容はかなり多岐にわたります。私たちが「食べる」に至るまでのこと(食物連鎖)、今の食生活に至った経緯(歴史)、世界全体のつながりあいなどについて説明しています。農業にも触れており、人間と自然との関係性はSDGsにも当てはまります。小学生・中学生に知ってほしい現代の社会問題が取り上げられており、受験生にもぜひ読んでもらいたいと思いました。

私たちは便利さや幸福感を求めていろいろな技術開発を行ってきました。しかし、それによって矛盾や様々な問題が発生しています。そうしたことに気づいているかどうかを確認して(矛盾や様々な問題の例として適切ではないもの選ぶ選択問題)、この文章記述問題に取り組むように構成しました。

国語科/井上 未由希先生

国語科/井上 未由希先生

読解力、表現力、情報処理力を試す問題

この問題で、受験生のどんな力を見ているのですか。

井上先生 1つは読解力です。「便利・幸福を求めた結果、矛盾や様々な問題が生じている」ことを理解できているかどうか。これは解答の大前提です。
加えて、設問で何を聞かれているのか、解答の条件を正確に読み取る力、すなわち設問文の読解力も求めています。設問文の波線部「どのような理由から、何をすべきであると考えるか」の条件を踏まえて書かなければなりません。

2つ目は、矛盾の具体例を挙げ、それについて自分の意見をしっかり表現できる力です。普段、身の回りで起こったこと、社会の出来事に興味・関心を持って生活しているかどうかも問われます。矛盾の具体例を挙げただけの答案がありましたが、それだけでは正解の条件は満たせません。何を優先すべきかまで考えることを求めています。
もちろん、誤字・脱字がない、主語・述語のねじれがない文章を書く力も試しています。これは国語科の文章記述に共通です。

3つ目は、情報を処理する力です。語群にある言葉を「2つ以上使う」のが解答の条件ですが、組み合わせに無理がある答案がありました。例えば、「感染予防」と「エネルギー」はなかなか結びつきにくい。また、語群の言葉に“踊らされた”印象も受けました。

言葉に“踊らされる”とは、どういうことですか。

井上先生 「2つ以上使う」という条件を意識しすぎたのでしょう、語群の言葉をたくさん使えばいいわけではないのに、3つ、4つ使った答案がありました。そうなると100字以内でまとめにくくなります。

大妻多摩中学校 校舎

大妻多摩中学校 校舎

配点の半分以上得点できたのは全体の45%

出来具合はいかがでしたか。

井上先生 想定通りだったかなと思います。無答は少なく、頑張って表現しようとしているのが答案から伝わりました。
採点基準と配点は、便利・幸福を求めた結果、発生した矛盾や問題点(具体例)が6点、その問題について、何を優先すべきだと考えるか(意見)が6点、合計12点です。
優先すべきことが書かれていないと3点減点、意見の理由が不明確なら3点減点です。語群の言葉を全く使用していなければ得点なし、1つだけなら6点減点で、実際に1つだけの解答がありました。
12点中6点以上取れたのは全体の45%弱、9点以上取れたのが35%強でした。具体例だけ、自分の意見だけという答案が目立ちました。選んだ言葉に傍線を引き忘れた受験生もいました。

「あなたの意見を書きなさい」という問題はありますが、波線部の「どんな理由で、何を優先すべきか」まで指示されている問題はあまりありません。設問文をきちんと読まなければならないのがよくわかります。

大妻多摩中学校 教室

大妻多摩中学校 教室

多かったのは、「感染予防」と「経済活動」の組み合わせ

受験生はどんな組み合わせで解答していましたか。

井上先生 この入試問題を作成していた2020年の秋頃は、新型コロナウイルスの感染が再拡大し始めて、「Go To トラベルキャンペーン」が一時停止しました。「感染予防」と「経済活動」をどのようにバランスを取るか、連日ニュースで報じられていましたから、この組み合わせで書けるだろうと思いました。受験生の答案もこの組み合わせが多かったですね。
また、以前からコンビニの「24時間営業」が問題になっていましたから、子どもも利用しているコンビニについては書きやすいだろうと思いました。コンビニの「24時間営業」の便利さと、深夜営業での「エネルギー」のムダを取り上げた答案が多かったのも予想通りでした。
ほかには、自動車の便利さと排気ガスによる環境問題の弊害に着目して、「エネルギー」と「環境破壊」を取り上げた答案がありました。一方、同じ言葉を選んで、具体例にレジ袋有料化やエコバッグの利用を挙げた答案がありましたが、矛盾点をうまく説明できていませんでした。

受験生の「まとめる力」が印象に残った

井上先生 組み合わせが多かった「感染予防」と「経済活動」、「24時間営業」と「エネルギー」の解答は、高い点数をもらえていました。これらは時事的ニュースであり、小学生にも身近な問題であるので、優先すべき理由を考えやすかったと思われます。
時事的ニュースとは違う切り口として、「自給率」と「貿易摩擦」を語群に入れましたが、この組み合わせの答案はほとんどありませんでした。9点以上得点できていなかったので、難しい組み合わせだったようです。

目を引いた解答はありましたか。

井上先生 解答の条件がいろいろある中で、オリジナリティーを出すのは難しかったようです。ただ、「クリーンエネルギー」のように最新の具体的な取り組みを挙げるなど、勉強しているなと感じた答案がありました。発想のユニークさというよりは、しっかりまとめられた文章が印象に残りました。

大妻多摩中学校 掲示物

大妻多摩中学校 掲示物

インタビュー1/3

大妻多摩中学校
大妻多摩中学校国際化と女性の社会進出が求められる時代を背景に、大妻多摩は「わたしの力を、未来のために」をスローガンとして、「社会と世界に貢献できる女性の育成」を目指している。「世界」を視野に入れた活躍を目指すべく、多彩なプログラムで構成された「英語・国際教育」を実施。
5ラウンドシステムを導入した習熟度別の英語教育から始まり、中学2年生必修でのオーストラリア研修やエンパワメント・プログラム、約50名が参加可能なターム留学制度、そして海外大学進学説明会など、6年間を系統立てて準備された国際プログラムを実施している。
また、「科学は世界の共通語」という考えのもと、理数教育にも力を入れ、大妻多摩独自の授業である「数学探究」や、立地環境を存分に活かした「理科教育」は生徒に人気の授業だ。
中学生を対象に実施している「理系を知るガイダンス」は東京農工大学と協力して実施しており、理系への好奇心をかき立てている。
2021年度には「東京薬科大学」と高大連携協定を締結し、理数教育のさらなる発展が期待できる。
大妻多摩のキャンパスは駅徒歩7分に立地している。東京都にありながら自然豊かで広大なキャンパス、5つの理科実験室と3つのCALL教室、森の図書館をイメージした約200席の自習室をもつ図書館、人工芝の大きなグラウンドなど、世界基準で見ても素晴らしい教育環境である。四季を感じることができる広々としたキャンパスは、生徒の心を豊かに育んでいる。
キャンパスには体育館が3つ・グラウンドが3つ・照明付きのテニスコートが6面あり、運動をするにも恵まれた環境で、バトン部・ラクロス部・バレーボール部・バスケットボール部・テニス部などが活発に活動している。
併設大学への推薦制度はあるが、多数の生徒が他大学へ進学している。3割強が理系に進学し、今春は医学部にも5名が合格している。早稲田・慶應・上智など難関大学への進学者も多い。