今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
大妻多摩中学校
2022年02月掲載
2021年 大妻多摩中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。※
※この問いは、子ども達が本の一節を、途中の設問に答えたり、キーワードを自分で抜き出したりしながら読み進み、最後に自分の答えをつくり、表現する問題です。ここでは紙面の都合により、日能研がキーワードを抜き出しました。「子ども達はどんなキーワードを、いくつ抜き出せたのかな?」と興味を持った方は、ぜひ原典(古沢広祐『食べるってどんなこと? あなたと考えたい命のつながりあい』〔平凡社〕)をお読みください。
(問)便利・幸福を求めた行動の結果、矛盾や様々な問題が発生するということが、世の中には多くあります。そのような具体例を一つ指摘し、その問題に対するあなたの考え(どのような理由から、何を優先すべきであると考えるのか)を、百字以内で記述しなさい。なお、解答にあたっては、下の《語群》の中から二つ以上の言葉を選んで使用し、その言葉に 線を引くこと。
《語群》
感染予防 経済活動 持続可能 環境破壊 衛生的 エネルギー 二十四時間営業 自給率 貿易摩擦(まさつ)
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この大妻多摩中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
新型コロナウィルスの感染予防のために外出や店舗の営業を制限すると、職を失い生活が困難になる人が出るという問題がある。だが、私は健康な生命があってこその経済活動だと思うので、前者を優先すべきだと考える。
解説
ポスターには載っていませんが、この問いに取り組むにあたって、受験生は示された文章を読んでいます。その文章では、栽培作物の規格化による規格外品の廃棄問題や、鳥インフルエンザ発生時の鶏の殺処分の問題などが取り上げられており、文章を読むことを通じて、受験生は本問に取り組むにあたってのいくつかの視点を得ることができます。それらのいくつかの視点をふまえたうえで、受験生は、提示されたキーワードをもとに、便利・幸福を求めた行動の結果発生する矛盾や様々な問題の具体例を一つ考えます。具体例を考える際には、まず、提示されたキーワードから、どのような他の言葉が連想されるかを探っていくとよいでしょう。そして、連想された言葉から、どのような矛盾や問題が生まれるかを調べていきます。解答するときには、その問題に対する自分の考えも盛りこんで記述します。必ずしも一文で書く必要はありません。「具体例」で一文、「自分の考え」で一文、というように、二文で書くこともできるでしょう。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
この問いでは、人間が効率的に便利・幸福を求めるために考えた方法(合理化)の矛盾や様々な問題が指摘された文章を読んだのちに、便利・幸福を求めた行動によって生じる矛盾や様々な問題の具体例を一つ挙げ、その問題に対する受験生自身の考えを百字以内で記述することを求めています。その際、具体例を考えるきっかけとなるキーワードを九つ提示して、その中から二つ以上の言葉を使用するという条件をつけることによって、受験生が取り組みやすくなるような配慮がなされています。
文章中では、栽培作物の規格化による規格外品の廃棄問題や、鳥インフルエンザ発生時の鶏の殺処分の問題などが取り上げられており、現代社会で起こっている諸問題を、受験生にわかりやすく伝えています。
また、「感染予防・経済活動・持続可能・環境破壊・衛生的・エネルギー・二十四時間営業・自給率・貿易摩擦」といった、厳選された九つのキーワードは、SDGsにとどまらず、新型コロナウィルス対策や、日本社会がかかえる様々な問題へと受験生の視野を広げ、考えをふくらませるきっかけを与えています。
受験生である小学六年生が、人と物の交わりや人と人の交わりといった社会科的な視点も含まれた問題について自らの考えを表現することを促す本問は、中学受験や、その後の学校生活を通じて、子どもにどのように成長していってほしいかというような未来を志向したものであり、私たちの未来を見すえた視点で作成されています。以上のような理由により、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。