出題校にインタビュー!
目白研心中学校
2022年01月掲載
目白研心中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.先取りをしない余裕のあるカリキュラムで時間をかけて学ぶから身につく
インタビュー3/3
余裕のあるカリキュラムで学力が向上
齋藤教頭 各教室に電子黒板がありまます。生徒は全員iPadを持っています。実演して見せることもありますが、回転体などは実際に回転する動画を自分のiPadで見て、学ぶこともあります。そういうことができるのも、カリキュラムに余裕があるからです。
また、本校では先取りを一切しません。中学校の間は中学3年間の内容しか扱わないので、なぜそうなるのか、というところに時間を割いても進度的に全く困らないのです。昨年の4月、5月はオンライン授業でした。6月に学校を再開した時に、4月、5月の内容はできていることを前提に授業を進める学校が多いと思いますが、本校ではもう一度4月の内容から授業を行いました。それでも1年分の単元を余裕をもって終わることができました。
いつからカリキュラムに余裕をもたせたのですか。
齋藤教頭 先取りをしない、というのはずっと前からですが、カリキュラムは今年からです。余裕あるカリキュラムについては中学校の説明会でもアピールしていて、今の中2が抜群の成果をあげています。高校の数学ってどんな感じなのかな、と、いう好奇心でやってみるのはいいことです。そういうことからも、カリキュラムに余裕をもつことの大切さを感じています。
目白研心中学校 図書館
考えたことを日本語でしっかりと残すことが大切
齋藤教頭 僕のオリジナルではないのですが、「解答は手紙」と教わったことがあり、それを活用しています。手紙の宛名は2人いて、1人は採点者、もう1人は自分です。その問題を解いて、わからないと他の問題へ行きますよね。未来の自分がその解答を見た時に、過去の自分は何を書いていたのか、わからなくなるといけないので、考えたことを日本語でしっかりと残して他の問題に行く、ということをしてほしいと思っています。また、授業中のノートは、友だちが見ることもあるでしょう。その時に「わかった」と言ってもらえれば面白くなるに違いありません。この部分は算数特別の作問に通じる部分も少しあって、独りよがりにならない文章が書けるといいと思います。今は「手紙」という表現で、中1には丁寧に教えています。先生(採点者)に対する手紙なので、「円柱の体積はこうなります」というように全部敬語になるという事象(笑)等が起きていて、「それは敬語じゃなくていいんだよ」と言っているのですが、なかなか難しいようです。
授業では数学を歴史的に紐解く
齋藤教頭 授業全体としては、単元が始まる時にその物語はどこから始まるのか、という成り立ちのところから入るようにしています。そもそも算数・数学は何の役に立つのか、という否定的な声がたくさんあるので、ここから始まっている、という歴史的な話は必ずしますし、数学者の良いところだけでなく失敗した話もします。また、この学びが今、どのようなところで使われていて、将来的にどのように使われるのか、という話も必ずする、ということを教科内で共有しています。
星野先生 僕は連立方程式の授業で設定を作りました。「星野先生が明日のテストのために問題を作ろうとしていましたが熱で倒れてしまいました。みなさんが代わりに問題を作ってください」という設定で、「答えが整数になるように連立方程式を作って計算しなさい」という問題です。答えから作らないとうまくできないので、「これではだめだ」「答えが出ない」など結構盛り上がりました。研究授業などでやると生徒のテンションもあがって、4360x+○○など、すごい問題を作るのです。特に男子は「あいつよりも難しい問題を作ってやろう」と、今の言葉で言うとマウントを取りたがるので、その辺をくすぐってあげると面白い取り組みになります。
目白研心中学校 掲示物
数学の楽しさは生徒に伝わっている
数学の楽しさが生徒さんに伝わっている実感はありますか。
齋藤教頭 もともと数学が好きな子や得意な子は楽しんで取り組んでいると思います。ただ、中学受験に向けた勉強の中で算数嫌いになっていても、中1の先生方が一生懸命見て、まずは計算から「できた」「わかった」「楽しい」という気持ちが芽生えるように指導しています。ですから、私のところに入ってくる情報は「わかりやすい授業をしてくれている」という声が多いです。それは恐らく生徒がわかるようになったという証であり、数学が大嫌いだった子も嫌いか普通ぐらいにはなっていると思います。嫌いな子が、もっと嫌いになるというようなことはないと思っています。
先生方が数学を楽しんでいますからね。
齋藤教頭 それを見せているというところもあると思います。「勝負だ」と言って、難しい問題を生徒と一緒に解くこともあります。早く正確に解かなければいけないので大変です(笑)。たまたま高3の数学の授業に自習監督で行ったら、整数の大学入試問題演習のところで、「簡単だよ」と言いながら生徒が生徒に対して黒板で説明していました。決して簡単ではないところなのですが、「簡単だよ」と言われると教わるほうもそうなのかな、と思えるので、それはいいことだと思いました。
幅を広げて物事を考える習慣をつけよう
最後に受験生や保護者に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
星野先生 計算力や知識をしっかり身につけてきてほしいのですが、あまり固めすぎてしまうとパターン化してしまうので、少し幅を広げて物事を考える、ということを大切に学習してほしいと思います。「こんなバカなアイデアある?」というところまで広げて、その中で取捨選択をする、ということですね。今は、正解のないところで何かしらの答えを出さなければならない時代なので、考えられるかぎりアイデアを広げる、という経験は、この先の未来に向けても必要な力になると思います。
また、初見の問題で全く手がつかない時には、知っている何かしらの知識から広げていく。あるいは図を描いてみるなど、手を動かしながら考える、ということを意識してほしいですね。そういうことは、入学してからも教えていきたいと思っています。
齋藤教頭 本校には自習を促す学習支援センターという場所があります。それが今、大学進学実績が伸びている理由の一つだと思います。学習にしても、他の活動にしても、自ら積極的に取り組む姿勢は力を伸ばす上で非常に重要であり、この問題もそういう姿勢で取り組まなければ解けない問題です。過去問を解く時に作業的ではなく、この問題を作った人はどんなことを考えて作ったんだろう、などと思いを巡らせて、解くことを楽しめる受験生にぜひ目白研心を受験していただきたいと思います。
目白研心中学校 教室
インタビュー3/3