出題校にインタビュー!
江戸川学園取手中学校
2021年12月掲載
江戸川学園取手中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.一人ひとりが主体的、意欲的に日々の放課後をデザインする中高6年間
インタビュー3/3
生徒の夢を教員がバックアップする風土
遠藤先生 医科コースができてから29年目になります。大学進学実績では医学部の実績が注目されがちですが、医学部に合格させることを目指しているわけではありません。医師として、人としてどうかかわるのか、というところまで視野に入れて教育を行っています。
医科コースでは中学時から病院見学を行います。高校では月に一度、医師が来校して講話をしてくださいます。中学生においては本校の卒業生である医師が、医師としてのキャリア教育の一助となる話をしてくださいます。そういうことを通して、生徒はどういう資質が求められるのかを自覚します。コロナ禍でも、医師になりたい、という強い意思をもって勉学に励んでいます。その通過点に大学受験があるのです。
江戸川学園取手中・高等学校 獨協医科大学病院見学ツアー
在校生も卒業生も活躍が目覚ましい
遠藤先生 今、「えどとり」の大テーマはSDGsです。生徒たちはSDGsのどんな部分に貢献ができるかを考えて行動しています。たとえば髪をすごく伸ばしている女子生徒がいたのでその理由を尋ねると、「ヘアドネーションに出したいので」という答えが返ってきました。一方、取手市にパネラーとして呼んでいただき、服のリサイクルについてディスカッションをした生徒もいます。他にもゴミ問題など、17のテーマのいろいろなところに目を向けています。自分に何ができるのか、を考えることによって、夢を見つけることができた生徒もいます。最初、消極的だった生徒も、そうした自ら行動する生徒たちに影響を受けていきます。それが規模の大きな学校のメリットです。アフタースクールは学年限定のものと、中1から高3まで、学年を超えて受講できるものがあり、全部で150講座くらいあります。海外研修も種類が豊富です。そういう環境の中で、一人ひとりが主体的、意欲的に日々の放課後をデザインしています。
松永先生 本校では「生徒の夢は学校の目標」というスローガンを掲げていて、生徒が夢を持てば、教員はそれをバックアップする、という文化があります。40周年以降、生徒がいろいろなところに出て行っても、目標に届くように教員が支えています。これまでの伝統に新たな「主体性を伸ばそう」という雰囲気が混ざり合って、今生徒にとっても動きやすい環境になってきているなと感じます。
遠藤先生 来年の3月で、2万人目の卒業生が出ます。創立44年目。まだまだ歴史は浅いのですが、卒業生がいろいろな分野で活躍してくれているので、「在校生のために」とお願いすると、卒業生が大学キャンパスツアーなどをコーディネートしてくれます。それをきっかけに、東京理科大学の先生がアフタースクールに来てくれることになりました。卒業生が勤務していた千葉県の亀田総合病院には、ドクターが自分のトレーニングのために使う CSS トレーニングセンター があります。本物の針と糸で縫合の練習ができるのですが、本校の生徒はそれを体験できます。中高生の間にいろいろな体験ができるので、医学部に入ってからのミスマッチはなくなります。
江戸川学園取手中・高等学校 亀田総合病院見学ツアー
ICTが進んだおかげで教員間のコミュニケーションも密に
お話を伺っていると、先生方がすごく意欲的で良い関係を築いているように感じます。
遠藤先生 先生に意欲がなかったら生徒はつまらないですよね。自分も楽しんでいるから生徒も楽しめるのだと思います。
松永先生 そうですね。教員によっては、一人楽しくなって興奮して話している時も稀にあるのですが、それも生徒にとってはよいことではないかと思います。「何かわからないけどおもしろい」というところから興味をもつこともあると思うからです。ですから、教員がおもしろいと思ったものを集めて来て、教科の中でもんで、これを扱おうというように進めることも多くなっています。
先生方同士の関係も変わってきたのですね。
松永先生 そうですね。対面でコミュニケーションをとるに越したことはありませんが、教員は授業以外の時間に必ずしも職員室にいるわけではありません。物理的に離れていて、対面ではコミュニケーションを取りにくいところもあったのですが、それをICTで補うことができていることが大きいです。本校ではTeamsというマイクロソフトのアプリを入れているので、Teamsで情報を送り、「時間のある時に見ておいて」という感じのやりとりが簡単にできるので、コミュニケーションを取りやすくなった部分もあったのではないかと思います。
江戸川学園取手中・高等学校 東大キャンパスツアー
学習内容を自分の生活と関連づけてとらえよう
最後に受験生やその保護者の方に向けて、メッセージをお願いします。
松永先生 社会の教科書や教材に載っている出来事や事柄が、今の自分の生活とどのようにかかわっているか、という視点から、ぜひ社会を眺めてほしいと思っています。小学生の歴史でそこまで突き詰めることは難しいと思うのですが、たとえば文化史や政治史などは、今の社会との対比の中で、こういうところは似ている、こういうところは違う、と言える部分があると思います。受験を乗り越えようとすると、どうしても反射的、テクニック的なところに目が行きがちですが、最終的には学んだことが自分に返って来ないと学んだ意味がないと思います。ですから歴史にしても地理にしても公民にしても、常に自分と社会とのかかわりを意識してとらえてほしいと思います。
実際に学校を見て、雰囲気を肌で感じよう
遠藤先生 中高6年間は子どもから大人へ大きく成長する時期です。その期間にどういう人たちと出会えるか、どういう体験ができるのか。それが人生を左右することになりますので、志望校を決める際には、お子さんと一緒に学校に足を運んで、自分の目で見て、肌で空気を感じて、学校選びをしてほしいと思います。Aくんに合う学校であっても、Bくんに合うとは限らないからです。コロナ禍で難しいかもしれませんが、成績で判断せずに、入りたい学校だなと思ったらぜひチャレンジしていただきたいと思います。入学したい学校であれば、入試をぎりぎりで突破しても入学後に伸びると思います。
江戸川学園取手中・高等学校 体育祭
インタビュー3/3