出題校にインタビュー!
桐朋女子中学校
2021年12月掲載
桐朋女子中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.生徒たちには意見交換や体を使って考える力を身に付けさせる授業を展開
インタビュー2/3
授業の話に移りますが、普段から対話を重視しているのかな、と思ったのですが、どのような国語の授業をされているのでしょうか?
荒井先生 いくつかあるのですが、まず、中学段階ではなるべく子どもたち同士で意見交換をし、「そうした考え方もあるんだ」ということを受け止めさせながら、考えを広げたり深めたりということを意識しています。
また、書くということは自分の考えを整理することに繋がりますから、学習内容を書いて整理したり、書いたものを説明させたりすることは意識して行っています。たとえば、「羅生門」や「こころ」、「走れメロス」などの作品論は、かなりしっかりしたものを書かせます。
「本物に触れる」ということをパンフレットでも謳っていますが、古典教育では中1から辞書を引かせ、漢文を素読して四コマ漫画を描いてみたり、百人一首の大会を行ったりと、文法から入るのではなく「体で慣れようじゃないか」ということを中学段階から意識しています。
峯先生 百人一首は、中学1年生では何がうたわれているかよく分からないと思いますが、テキストを使ってとにかく唱えることをさせています。最初はカルタ大会で「先輩に勝ちたい」「札を多くとりたい」といったところからのスタートとなりますが、高校段階では「こういう文法的な仕組みなっているんだ」と理解できるようになるので、なるべく早い段階から体に馴染ませることは大事だなと思います。

国語科/峯 和彦先生
通知表がなく面談で評価を伝える
荒井先生 桐朋では「その都度評価」ということをずいぶん前から評価方法として取り入れていて、テストだけでは計れない鑑賞力や語彙を総合的に評価しようとしてきました。また、通知表がないので、面談では成績伝達とともに、各教科の取り組みの振りかえりと今後の学習に向けた方針を担任と相談します。それは入試の考え方と通じるところがあるのかもしれません。
成績の伝達は評価一本で決まるのではなく、各教科担当が寄せるメッセージを踏まえて、担任が子どもたちとやり取りをしながら、今はどの立ち位置にいて次のステップへ踏み出すためには何が必要か考えてごらん、という形で行われます。
良い評価をもらうためにテストがあるわけではありません。テストで80点の生徒がいれば30点を取る生徒もいます。そうした中で「残り20点は何が足りなかったんだろう?」とか「どこで30点取れたんだろう?」と自ら考えることが大切で、そのきっかけを作ることが評価の持つスタンスだと言えます。

桐朋女子中学校 校内
生徒の良さを引き出してあげられる教員
一人一人の生徒をよく見ておられるのですね。
荒井先生 子どものどういう部分を伸ばしてあげられるか、ということは担任でないとなかなか判断できません。何十年も生徒一人ひとりと向き合いスキルを磨いてきた我々だからこそ、個性を伸ばす教育が謳える。口頭試問への自負もそこに発しています。単純に面談によって合否を決めるわけではありませんし、そこに論拠や妥当性が無ければなりません。
先生方の中で、情報共有や評価会などはかなりされているのでしょうか?
荒井先生 学年の打ち合わせや教科会は頻繁に行っています。本校はブロック制を敷いていて職員室もそれぞれのブロックに分かれてあるので、ブロックの会、教育研究所主催の研修会、授業参観などは少なくとも年に1回は行っています。
先生方が教えるだけでなく、グループワークも多く持たれているのですか?
峯先生 講義での知識の伝達も行っていますが、特に中学生は、子どもたち自身が主体的に学習したほうがより深い学びや気付きにつながるので、昔からいろいろな活動を工夫しながらやっています。充分理解している子が分からない子に教えてあげる姿も中には見られますが、経験としてはそういう機会を織り交ぜてやっていくほうがいいと考えています。
生徒のみなさんのようすはどうでしょうか?
荒井先生 学年やクラスにもよりますが、今受け持っている中学3年生は、授業の冒頭などに前回の復習などを質問すると、生徒たちの反応が良く返ってくるなと思います。グループワークやビブリオバトルでは、「私はこう思う!」と発言できる子が多いように思いますね。先日公民館を訪れて地域のお年寄りの前でビブリオバトルの成果を披露してきましたが、自分の意見を堂々とアピールしていました。
クラスによっても反応は異なりますが、場を作ったり発言のためのウォーミングアップをしておいたりするなど、教員の準備も大事だなと思います。
峯先生 国語科は講義だけでは授業を進められないという特質があるので、割と風通し良く教員同士で、「こんなものを作ったんだけれど、どんな反応があるかやってみない?」というような情報交換を頻繁にしています。
タブレットも導入されていますか?
荒井先生 使っています。個人的には子どもたちがやり取りしている姿や、付箋を使ってグループワークを行う姿は好きですね。タブレットですと「一人で作業して解答し、データ送信すれば完結する」みたいな、シーンとしたまま授業が進むというところがあり、使い方次第という面はあるかもしれません。

桐朋女子中学校 掲示物
インタビュー2/3