シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

浅野中学校

2021年11月掲載

浅野中学校【算数】

2021年 浅野中学校入試問題より

(問)円周率とは、アの長さがイの長さの何倍かを表す数のことをいいます。
ただし、ア、イはそれぞれ漢字2字で答えなさい。
次に[図1]のように、半径1cmの円と一辺の長さが1cmの正六角形をかきました。[図1]を参考にして、円周率が3より大きい理由を説明しなさい。

図1

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この浅野中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

ア 円周
イ 直径
(理由の説明)
(例)正六角形の周りの長さは1×6=6(cm)となる。
円の直径は2cmなので、6÷2=3より、正六角形の周りの長さは直径の3倍とわかる。円周の長さは、正六角形の周りの長さより長いため、円周率は3より大きい。

解説

アイ 円周率とは、円周の長さが直径の長さの何倍かを表した数のことです。円周率は、どんな大きさの円でも一定の値をとり、3.1415926535…とどこまでも続く数です。数学ではπという記号を用いて表します。

(理由の説明)
正六角形の周りの長さは1×6=6(cm)となります。
また、円の直径は1×2=2(cm)です。
よって、6÷2=3より、正六角形の周りの長さは直径の3倍となります。
次に正六角形の周りの長さと円周の長さを比べます。
下図のように、正六角形の各頂点を結び、正六角形を6個の正三角形に分けます。

解説図1

下図のように、正三角形と扇形を取り出すと、中心角60度の扇形の弧の長さは、正六角形の1辺の長さより長くなります。(この関係は、円の中にかいた正多角形が正何角形になっても、つまり扇形の中心角が何度になっても変わりません。)
ですから、円周の長さは、正六角形の周りの長さより長くなります。
正六角形の周りの長さは直径の3倍だったので、円周の長さは直径の3倍よりも大きくなります。つまり、円周率は3より大きいことがわかります。

解説図2

日能研がこの問題を選んだ理由

「円周率とは?」「円周率って何でしょう?」と問われると、「3.14」という数を思い浮かべる人が多いかもしれません。この問題では、円周率とはどのような数なのかを問うています。

この問題では、まず円周率の定義を明らかにします。算数・数学における定義とは、算数・数学で使う用語を規定する文章や式です。例えば、円は「1点から等しい距離にある点の集合」と定義されています。小学校で学ぶ算数では厳密に定義しないこともありますが、数学では用語を定義して学び進めていきます。

定義を明らかにした後、円周率が3より大きい理由を、円周率の定義を用いて説明します。これは、数学で学ぶ証明につながっているといえるでしょう。円周率を入口とし、数学で学ぶ定義や証明に親しむ、そんな中等教育・高等教育につながる学びがこの問題を通して感じられます。

また、円周率は、ずっと続くのに分数で表せないという性質があります。このことからも、円周率は子ども達にとって不思議な数でしょう。今後、負の数や無理数というように、数の世界を広げていく子ども達に、改めて円周率を見つめ直してほしい、そんな作問者の想いがあるのではないでしょうか。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。