シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

鎌倉学園中学校

2021年10月掲載

鎌倉学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.複数の情報を結びつけて明確に書かれていないことを読み取る力をつける

インタビュー1/3

その場で対応して考える問題を3、4年前から出題

この問題の出題意図からお話いただけますか。

吉原先生 本校の入試問題は小説と論説の出題が中心でした。しかし3、4年前に、国語科内で「(小説と論説に加えて)違う形式の問題も出してみよう」という話が出て、文章と図表などを絡めた問題を出すことになりました。この問題も、新たに加わった形式の問題です。その背景には、大学入試改革がありました。実際のところ、今年の入試は従来のセンター試験とあまり変わらなかったのですが、今後はさらに変化していくだろうと思います。

出題の形式を変えて、どのような力を問いたいと考えたのですか。

吉原先生 前もって準備をする、いわゆる知識を問うタイプの問題ではなく、純粋に受験生が持っている思考力を問う問題を出したいと考えています。文章を読むという決まりきった頭の使い方ではなくて、その場で複数の情報を結びつけて考える問題を出したいと考えて、この問題も作成しました。

国語科/吉原 将行先生

国語科/吉原 将行先生

正答率は約8割

題材はどのような意図をもって選びましたか。

吉原先生 最後の問題形式にふさわしい題材を探していたところ、偶然見つけた、というのが正直なところです。「図表やグラフを用いて問題を作る」ということを大前提に新聞や本をあたっていく中で、これなら小学生にふさわしい問題が作れそうだな、と思ったことが、この題材を選んだきっかけです。

小学生が企業の中で起きていることをイメージできるのかな?と思いましたが、その点は問題なかったですか。

吉原先生 正答率は高かったです。8割くらいできていましたし、できていない受験生も、白紙ではなく何かしら書いていました。

その正答率は想像どおりでしたか。

吉原先生 本来、文章も図表も読まないとわからない、そういう問題を作ることが理想なのですが、今回の問題は、文章(新聞記事)と図表を関連づけることが難しく、問1は図表を、問2は文章を読み解けば解答できてしまう問題にとどまったため、受験生にとっては優しい問題になってしまいました。本音を言えば、文章と図表を連動させて深く考えるような作り込みを、もっとしたかったです。文章と図表を関連づけた理想とするような問題を作ることができれば、正答率はもう少し下がったかもしれません。

問2(新聞記事の内容を選択肢から選ぶ問題)はできていましたか。

吉原先生 選択肢の文章をきちんと読まなければいけない問題ですが、この問題も意外とできていました。

鎌倉学園中学校 校舎

鎌倉学園中学校 校舎

50字以内は、端的にまとめる力を見たかったから

情報を読み取る力、解釈する力が問われる問題ですが、記述する上で「50字以内にまとめる」というのが、小学生には難しいのではないかと思いました。そこにはどのような狙いがあるのでしょうか。

吉原先生 端的にまとめる力を見たいという意図がありました。「要するにどういうことか」ということを書けるかどうかですね。

採点基準を教えてください。

吉原先生 2つあって、1つは「会議を積極的に行うと業績が上昇する」もう1つは「会議が長すぎると業績が下降する」。どらかが読み取れていれば正解としました。表現は異なっても、意味がどちらかと一致していれば正解となります。

鎌倉学園中学校 掲示物

鎌倉学園中学校 掲示物

文章を正確に最後まで読み切る力をつけよう

社会科のような問題ですよね。

吉原先生 一見、そう見えますが、僕はこの問題も、小説や評論の問題も、突き詰めれば問いたい力は同じであると思っています。問題の形式が違うだけで、実はどちらも異なる情報を結びつけてどう解釈するかを問うているのです。
たとえば小説や評論では、傍線部の解釈を問う問題を出しますが、解く上で重要になるのが、文章の中の情報や自分の持っている情報を結びつけて解釈することです。その「結びつける力」が解釈であり、「文章を読む力」なのです。この問題も「業績」という情報と「会議の時間」という情報。2つを結びつけて、何が言えるか、ということを問うています。複数の情報を結びつけてはっきりと書かれていないことを読み取る力を問いたいという意図は、実は小説や評論の問題と同じなのです。

確かにそうですね。

吉原先生 小説の問題では、登場人物の行動に傍線を引いて、その行動にいたる理由の部分を探す問題を出しましたが、実は周辺を読んだだけでは全然わかりません。理由の部分は傍線部からかなり離れた、(出題した小説の)最後のほうに出てくるからです。この問題の正答率はよくなかったです。おそらく、文章をしっかり最後まで読んで、全体をとらえることができていない受験生が多かったからだと思います。本校の生徒の中にもそういう生徒がいるので、受験生には文章と向き合う時には、最初から最後まできちんと正確に読み切ってほしいと伝えたいです。

鎌倉学園中学校 掲示物

鎌倉学園中学校 掲示物

慣用句は覚えるだけでなく使えることが大事

文中の傍線が引かれた部分と同じ意味の慣用句をひらがなで書く、という問題も、おもしろいなと思いました。「間違えないように念を押しておく」=「くぎをさして」という例のように、解答になるのは一般的な慣用句ばかりなのですが、意外と難しかったです。

吉原先生 この問題は、すごくできていた、という感じではなかったです。正答率は半分から半分よりも少し上くらいだったと思います。この問題には知っているかだけではなく、使えるかどうかを見たいという意図がありました。傍線部だけで考えずに、文脈の中で意味を考えていくことが大切であることが伝わるように問題を作成しました。

インタビュー1/3

鎌倉学園中学校
鎌倉学園中学校鎌倉五山の第一刹建長寺が、宗派の師弟教育のため設立した「宗学林」を前身とし、昭和22年(1947年)学制の改革により法人名を鎌倉学園とし、鎌倉中学校と鎌倉高等学校が併設されました。「質実剛健」の武士の魂と、「自主自律」の禅の精神を現代に受け継いで、知・徳・体のバランスのとれた教育を目指しています。校訓は『礼義廉恥』で、教育のモットーである『文武両道』は、今までも、そして未来へと鎌倉学園が追い求めていく姿です。
礼義廉恥を校訓としての人材が育成されています。「礼義廉恥」とは、中国の古典「菅子」という書物の中に出てくる言葉からとられたもので、「礼」とは「節度を守ること」。「義」とは「自分を実際以上に見せびらかさないこと」。「廉」とは「自分の過ちを隠さないこと」。「恥」とは「他人の悪事に引きずられないこと」。教育目標は、父の厳と母の慈を根本として、知徳体一体の教育を行うことです。殊に現代社会の進歩に適応できるように進路指導を特に重視し、適性・能力に応じて指導をすると共に、生徒会活動・クラブ活動・ホームルーム等を通じて、社会の一員として理想的な生活態度を養い、情操豊かな人間の育成に努めてきました。校風は、豊かな宗教的環境の中で、学校全体が家庭的友愛精神に結ばれ、誠実の気風に満ち、生徒達は明朗な生活を楽しんでいます。
生徒の学力と適性に応じた指導や基礎学力の充実に重点をおいた指導が心がけられており、英語、国語、数学、理科、社会等基本科目はもとより、国際化に向けた「話せる英語」の修得をめざし、外国人教師による英会話プログラムを実施、年一回の英語検定も行っています。土曜日には「鎌学セミナー」3時間と通常授業1時間の授業が行われます。「鎌学セミナー」とは、国語・数学・英語の特別授業のことで、通常授業とは一線を画した1回完結の内容となっており、多角的な視点から学力の向上を図ります。
広大な建長寺の境内に隣接して建つ鎌倉学園。静寂な環境の中、集中して自己研鑽に励むことができます。古都鎌倉との調和を図りながら整えられた教育環境に包まれ、日々の生活の中で四季の移り変わりが感じられます。