シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜創英中学校

2021年09月掲載

横浜創英中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.社会科は暗記科目ではない。社会を知り、活用する力をつけよう。

インタビュー3/3

社会科ではグループ学習&プレゼンの機会が多数

大森先生 入試問題と同様に、細かい知識のみを覚えるような授業はあまりしていません。
例えば、昨年度は修学旅行の行き先が変わりました。カナダへ行く予定でしたが、国内旅行に変わったため、社会科の授業と絡めて何かできないか、ということになりました。そこで、中2の地理の中でグループ学習を行いました。各グループで1つの地方を担当し、その地方の特色を教科書から学んでテーマを1つ決めて、旅行案を作るのです。プレゼンして高い評価を得られれば、修学旅行のプランとして採用される可能性があるので、生徒たちは一生懸命取り組んでいました。

プレゼンテーションはいかがですか。

大森先生 Google スライドなどを使ってプレゼンテーションさせるということを、ミッションとして数多くやっているので、中2でも上手にできます。

どんなミッションですか。

大森先生 例えば歴史では、江戸時代の侍はどのような生活をしていたか、考えてみようということで、ミッションをいくつか作って提示しました。生徒たちはグループで話し合い、取り組みたいミッションを選んで、一定期間、探究活動を行ってプレゼンテーションしました。そもそも武士って何?というところから調べて、いろいろな武士がいることを知り、それぞれの生活に触れていく中で、生徒はイメージをふくらませることができたのではないかと思います。

横浜創英中学校 授業風景

横浜創英中学校 授業風景

みんなで1つのものを作るプロセスに学びがある

一方通行の授業よりも生徒さんは楽しく学べそうです。

大森先生 ただ、全員がハマるわけではありません。グループ学習などを楽しんでやってくれる子もいれば、そうではない子もいます。それでもグループ学習を取り入れる理由は、葛藤しながら、みんなで1つのものを作るプロセスに学びがあると思っているからです。ランダムにグループを作ると、仲良しの子ばかりではありません。お互いに話して、協力し合える関係を築くとともに、自分が担当する分野を調べて、プレゼン用のスライドを作らなければいけません。そういうプロセスを、なるべく多く経験してもらいたいと思っています。

先生同士で情報交換はされますか。

大森先生 基本的に1人で1学年を持つということがないので、「前の学年でこんなことをしたらすごく反応が良かったらしい」「今度こういうことをしてみない?」などと、ざっくばらんに話し合いながらアイデアを出し合っています。

井元先生 今年は大森先生と一緒に中2の歴史を担当しています。そこでは四大文明を教科書で読み解いてもらった後、四大文明のイメージをレゴを使って表現してもらい、それをスライドにアップして説明する、ということをしています。

横浜創英中学校 メディアセンター

横浜創英中学校 メディアセンター

ハッピーになれる社会づくりの担い手になってほしい

社会科の学習を通して、どのような力をつけてほしいと思っていますか。

大森先生 論理的に考え、自分の意見をもつこと。相手がわかるように、根拠をもって話すこと。それができないと問題を解決できないので、思考力と表現力はすごく重要だと思います。また、自分の話をするだけでなく、人の話を聞くことができないと合意に至りません。今後、何が起きるかわからない中で、ますますみんなで話し合って何かしら納得できる解を作っていかなればいけない場面に遭遇すると思うので、社会科の学習を通して、そういう力をつけてほしいと思っています。対立した後に、よく話し合って合意に結びつく、というところが重要だと思っています。ですから、先生が一方的に「これをやって」と言うのではなく、本校ではさまざまな場面で話し合って決めるということを大切にしています。

また、誰かが決めたことに対して文句を言うのではなく、そこで起きていることを自分事としてとらえて考えてほしいと思っています。違うと思うなら黙っていないできちんと言う。行動に移す。うまくいかなければみんなで話し合って変えていく…。そういうプロセスを踏みながら、自分もみんなもハッピーになれる社会づくりの担い手になっていってくれたらいいなと、個人的には思っています。

実社会はうまくいかないもの、という認識をもってほしい

津田先生 私は、実社会ではうまくいかないことが多々ある、ということを理解してほしいと思っています。例えば紛争地帯があります。領土の取り合いが原因なら半分ずつにすればいいわけですが、そこに住んでいる人にとってはいろいろな問題があります。自分に置き換えて考えてみると、自分にとっても相手にとっても気持ちよい結論を出すためには、相当の対話が必要だと思います。いろいろな問題を1つずつ解決していかないと、どちらかが解決してもどちらかがまた問題を抱えることになります。学校で、生徒同士が何かルールを決める上でも、そういうことがたくさん出てくると思います。絶えず小さな問題はあるものだということを理解して大人になってほしいと思っています。

横浜創英中学校 グラウンド

横浜創英中学校 グラウンド

来年度より探究活動が中心のサイエンスコースが始動

来年度より、サイエンスコースも始まり、学校が進化していくと思いますが、社会科としては新しい取り組みなど考えているところはありますか。

津田先生 今、お話したのは、主に中学校3年間のことです。高校になると受験に向けての学習が多くなりますが、中高一貫のサイエンスコースでは探究活動が学びの中心になります。

大森先生 サイエンスとしてとらえて学びを深めていきます。現在、社会科の授業では表現力に力を入れていますが、サイエンスコースでは授業でも、データを読むなど社会科学の手法を中高通して学んでいくことになると思います。

インタビュー3/3

横浜創英中学校
横浜創英中学校1940年の開校以来、横浜の地に根ざした学校として、高校が開設され、中学は2003年に開校された。建学の精神は「『考えて行動のできる人』の育成」。学習はもちろんのこと、学校行事や部活動においても、「考えて行動する」ことが実践されている。この建学の精神の具現化により、深く思考し、判断し、表現する力が育成される。2020年には創立80周年として新校舎が完成した。
学習習慣の定着を図るため、一人ひとり学習記録ノートを作成。定期テストの前には目標や学習計画を、実施後には振り返りと結果を記入し、PDCAサイクルを意識して学習に取り組めるようにする。担任と家庭が一緒になって学習方法を考えていくためのツールとして活用し、また5教科の学習法なども詳しく記される。3年にわたるポートフォリオを作成することで、自分を多角的に見つめ、これからの国際化社会に必要なスキルを高めていきます。
令和4年度よりサイエンスコースを新設することになった。次世代で活躍する子どもたちに必要不可欠な科学リテラシーを身につけ、仮説を立てて科学的に検証し、色々なことに好奇心をもって接し、解決する力を育てていくことを目標とする。様々な社会課題に対して大学や企業などの民間のリソースを利用し「自律的な学習者」になることを目指していく。