シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜創英中学校

2021年09月掲載

横浜創英中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.興味をもつきっかけさえあれば、社会科の学びはおもしろくなる。

インタビュー2/3

1つの出来事から派生したことを知ってイメージが広がった

社会で起きていることを自分事として考える、というのは難しいことですよね。

津田先生 そうですね。中学生や高校生でも自分事として考えることは難しいです。私たち教員もゴミの山を見たことがないですから。

子どもたちが当事者意識をもつ、あるいは社会に興味をもつには、どうすればいいでしょうか。先生方はどのように社会に興味を持ったのですか。

大森先生 私は毎年刊行される小学生向けの年鑑(その年の事件や統計を掲載、解説した刊行物)が好きでした。それを読んでおもしろいなと思ったことが社会科に興味をもったきっかけです。中学受験をしてカトリック系の学校に入りました。当時、社会科は覚えることが主流でしたが、教科書よりも資料集を読むことが好きで、1つの出来事から派生したことを知ることによってイメージが広がったような気がします。新聞も好きでたくさん読みました。

また、ボランティアの方や施設の方から話を聞く機会がたくさんありました。東南アジアで活動しているシスターの話などの実感がこもった話を聞いて、国際的な格差の問題にすごく興味を持ちました。

横浜創英中学校 教室

横浜創英中学校 教室

フィールドワークが大切。机上の学習ではわからないことがある

津田先生 私は幼いころから地図が好きでした。本はあまり読まなかったのですが、小3あたりからは図書館に行って地図を借りて、ずっと読んでました。

高2の修学旅行で沖縄へ行くと、ショックを受けました。行くまでは、沖縄といえば海があり、楽しい場所というイメージでしたが、戦争の時に逃げ込んだガマ(自然洞窟)に入ると、戦争があったことを生まれて初めて実感しました。洞窟から出ると、アメリカ軍の飛行機が空の低いところを飛んでいました。現実を目の当たりにし、ショックを受けました。その瞬間がターニングポイントになりました。

今になっても戦争は完全に終わったとは言えず、困っている人がいるということは、地理や歴史の授業には出てきませんでした。自分の足で現地へ行き、そこで生活している人と話したり、共に同じものを食べたりしなければわからないのです。そうした体験から、フィールドワークが大切だと思っています。

横浜創英中学校 掲示物

横浜創英中学校 掲示物

社会科の知識はさまざまなことにつながる

井元先生 私はかなり早い段階で教員になろうと思っていましたが、社会科に決めたのは大学に入学してからです。中高の社会、英語、国語、あるいは小学校…、どの教員免許を取得するかを考えた際に、当時、勉強嫌いだった自分が社会科は嫌いではなかったことから、中高の社会科を選びました。自分はなぜ、社会が嫌いではなかったのだろうと考えていました。思い起こしてみると、私は中学受験をしてないのですが、兄が受験するので親子で問題を出し合っていました。そこに私は入れないので、聞き耳を立てながら、その中に入れるようなチャンスを探しながら勉強していました。そして、海外の文化に興味を持つようになり、大学時代から海外旅行をして現地の人と話をするうちに、さまざまなもの・ことをつなげる役割を果たす学問が社会科なのではないか、と気づきました。それが社会科に興味をもった一番大きな理由だと思います。

英語に社会科的な知識が加わると、海外の人と深い話をすることができます。社会問題や事件が起きた際は、その問題や事件がなぜ起きたのかがわかります。オリンピックの開会式を見ていても、参加している国々の背景を重ねることができます。歴史を学ぶことも、自分たちの次の行動につながると思いますし、自分たちの可能性を開くことにもつながると思います。そこに他の教科にはない、社会科の魅力があるのではないか、と感じています。最近は、そういうことを生徒にも理解してもらいたいと思っています。

社会科・入試広報部副部長/井元 秀哉先生

社会科・入試広報部副部長/井元 秀哉先生

歴史が好きな生徒が多い

生徒さんは地理・歴史・公民、どれが好きですか。

津田先生 知識をよく知っている、ということでいえば、歴史好きの子が多いです。辞典のようなものを持ち歩いている子もいます。「歴史の授業はいつから始まるんですか」と聞いてくる子は、毎年います。
逆に「社会でどの分野が好き?」と聞いた時に、「公民」という子はまずいないんですよね。「公民ってどんなことを学ぶの?」と、結構聞かれます。

社会科の先生方は歴史、地理、公民と、専門に分かれていますか。

津田先生 一応分かれていて、高校生は専門分野の教員が教えますが、中学生は分野にかかわらず教えています。

学ぶ前に興味を持たせる

中1の社会科は地理から始まるのですか。

津田先生 そうです。地理が好きではない子が多いことはわかっているので、導入では自分の生活と、今、学んでいることがいかにつながっているかを意識して授業を組み立てるようにしています。そこで反応を見て、関心の高いところから進めていくことが多いです。

授業の工夫を具体的に教えてください。

津田先生 例えば「アジアを学ぶよ」と言うと、「やだー。ヨーロッパがいい」という生徒がいます。ですから、今、教室の中にある自分の持ちもので「made in…」と書いてあるものを探させることから始めています。生徒が探し出した物のほとんどがアジアで作られています。しかも最近は、マレーシアやベトナム…など、チャイナ以外で作られている物がすごく多いので、アジアとかかわりを持たなければ私たちの生活は成り立たちません。そういうことを知ってもらってから本題に入ると興味をもってくれます。

生徒さんはおもしろがりそうですね。

津田先生 どんどんアジアのものを見つけたくなってしまい、「もういいよ」と言っても探し続ける子がいます。
私は教員になった当初、地理を完璧に教えたいという気持ちが強過ぎて、地図を見て国名を覚えることから始めていました。地理の授業で地図を覚えることは当然だと思っていたのですが、そういう授業では誰も興味を持たないですしテストも嫌がるので、だいぶ変えました(笑)。

横浜創英中学校 校舎内

横浜創英中学校 校舎内

インタビュー2/3

横浜創英中学校
横浜創英中学校1940年の開校以来、横浜の地に根ざした学校として、高校が開設され、中学は2003年に開校された。建学の精神は「『考えて行動のできる人』の育成」。学習はもちろんのこと、学校行事や部活動においても、「考えて行動する」ことが実践されている。この建学の精神の具現化により、深く思考し、判断し、表現する力が育成される。2020年には創立80周年として新校舎が完成した。
学習習慣の定着を図るため、一人ひとり学習記録ノートを作成。定期テストの前には目標や学習計画を、実施後には振り返りと結果を記入し、PDCAサイクルを意識して学習に取り組めるようにする。担任と家庭が一緒になって学習方法を考えていくためのツールとして活用し、また5教科の学習法なども詳しく記される。3年にわたるポートフォリオを作成することで、自分を多角的に見つめ、これからの国際化社会に必要なスキルを高めていきます。
令和4年度よりサイエンスコースを新設することになった。次世代で活躍する子どもたちに必要不可欠な科学リテラシーを身につけ、仮説を立てて科学的に検証し、色々なことに好奇心をもって接し、解決する力を育てていくことを目標とする。様々な社会課題に対して大学や企業などの民間のリソースを利用し「自律的な学習者」になることを目指していく。