シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜創英中学校

2021年09月掲載

横浜創英中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.小学生も社会の一員。社会課題を自分の課題としてとらえ、考えよう。

インタビュー1/3

社会問題を自分事としてとらえ、考えよう

まず、この問題の出題意図からお話いただけますか。

大森先生 昨年、レジ袋が有料になりました。なぜ、有料になったのか。背景について考えたことがある小学生はどのくらいいるのだろう、というところから、発想した問題です。世の中全体に関心を持っていなければSDGsにも気づかないと思いますから、身近なものに興味を持ちながら、社会全体にも興味を持っているか、というところを問いたいと思い出題しました。各目標に関する資料があるので、資料を読み解きながら課題と関連づけて、それを表現できるか。それも見たいと思いました。

入学後の学習にもつながる問題なのではありませんか。

津田先生 そうですね。本校に入ってからもSDGsをテーマにこういう学習をする、というメッセージでもあります。また、国連はSDGsの啓蒙をずっと行ってきて、かなり一般化しています。すでに啓蒙は終わって、2020年からは行動の10年とされています。ですから「SDGsを知っているよ」というだけでなく、自分ならどう行動するか、ということを考えてほしいという願いも込めました。

その背景には、本校が大切にしている当事者意識があります。全員が当事者です。小学生も社会の一員ですから、社会課題に対して誰かのせいにするのではなく、自分の問題としてとらえて、何ができるのかを考え、実行してほしいと思っています。

横浜創英中学校 メディアセンター

横浜創英中学校 メディアセンター

目標14「海の豊かさを守ろう」を選ぶ子が多かった

世界の人々が合意したターゲットを情報として載せています。手がかりとして使えるところだと思うのですが 、それを活用していた受験生はいましたか。

大森先生 知識はなくてもここを見れば想像がつくかなと思って資料を出したのですが…。

津田先生 それはあまりなかったです。

どの目標を選んだ受験生多かったですか。

大森先生 海の豊かさを守る、14番の目標が多かったです。これは小学生に馴染みがあるのでしょうか。マイクロプラスチックゴミが話題になっているので、それと関連つけて答えたのかなと判断しています。

そうですね。環境問題でよく出てくるのはスーパーのゴミ袋をウミガメが食べてしまう話などが多いです。他校の過去問をやる際にも触れることが多いのかもしれませんね。

大森先生 問題を作る際に、プラスチックゴミの問題を出せば海の豊かさと関連つける解答が多くなるかもしれないと思いました。ただ、それだけではなく、選択して自分で考えて書いて欲しいと思ったので選択肢を作りました。SDGsは何にでもつながっているので、そこさえ整理できればどれを選んでも書けると思います。時間がない中で、もっとも書きやすい14番を選ぶ子が多かったのではないでしょうか。

津田先生 中学生に聞いても14番を選ぶ子は多いと思います。

自分で考えて行動できる人になってほしい

数多く見られた解答を教えてください。

津田先生 やはりマイクロプラスチックのことを書いている受験生が多かった印象があります。おそらく「SDGsが出る」と予測して準備をしてきたのではないでしょうか。そんな印象を受ける模範的な解答を書いている受験生が目立ちました。その解答が○か×かと聞かれたら○なのですが、私たちとしては、自分がどう動くか、というところを重視していますので、入学してからでも自分で考え、実行できる人になってほしいと思っています。

おもしろいと思った解答はありましたか。

津田先生 すごい!と驚くような解答まではなかったのですが、それは、「プラスチックゴミを減らす」と限定していることもあると思います。しかも限られた時間の中で考えなければいけないので、難しかったのかもしれません。

採点基準を教えてください。

大森先生 どのような答えが出てくるかわからないので、①自分の意見を書いているか。②論理的に(根拠に基づいて)書いているか。この2点をポイントに採点しました。自分の考えを書こうとする姿勢を評価したいので、うまく書けていなくても、こういうことを言いたいのかな、と、できるだけくみ取って採点しました。表現が曖昧な解答に関しては、複数の教員で話し合って点数を決めました。

横浜創英中学校 建学の精神

横浜創英中学校 建学の精神

資料を読み取りその場で考える問題を出題したい

社会科の入試問題を作成する上で意識していることを教えてください。

津田先生 構成としては歴史、地理、公民、プラスアルファで思考力を問うような問題の4題の構成になっていることが多いです。今回のSDGsの問題のように公民の中にボリュームのある問題を入れて3題で構成する場合もあります。基礎知識は必要だと思いますが、細かい知識を知らなければ解けない問題は作っていません。資料を読み取って自分で考える問題をなるべく出題したいと思っています。

大森先生 公民分野では、社会問題に興味関心を持ってほしいというメッセージを入試問題に込めています。リード文については、ニュースなど時事的な記事を引用するケースもあります。身近なところから気づいてもらいたいと思っているからです。この問題も、レジ袋が有料になったことをニュースなどで知っていれば、問題文を読んで「あったな」と気づくと思います。 そこを起点に自分の問題をどう見つけていくか。それが社会課題とどうつながっているのか、ということを考えてほしいという思いがあります。

横浜創英中学校 賞状・トロフィー

横浜創英中学校 賞状・トロフィー

細かい知識よりも、知識を活用する力を重視

入試問題を見ると会話式の出題が目立ちますが、どのような意図があってのことですか。

津田先生 歴史は毎年、会話形式で出題しています。大学共通テストの会話形式の問題を意識しています。会話の中で出てきた問いかけに対して、生徒が調べたり、考察する探究的な場面を設定しています。

今回は歴史の会話文で疫病をテーマにしていますよね。今、起きていることが、過去にはどうだったのか、ということを、入試問題を通して興味をもってもらえる問題になっています。解きながら、読んで楽しめるので、社会を好きになる問題なのではないかと思います。

津田先生 先ほどもお話しましたが、本校に入学してくる子に、社会の知識をたくさん覚えてきてほしいとは、思っていません。それは入学後も同じで、何年に誰がどうした、ということよりも、自分たちで考えて話し合い、プレゼンをしてさらに考えを深める、ということを重視しているからです。ですから自ずと入試問題でも、知識ばかりを問うのではなく、しっかり考えられるかを問う問題が多くなる傾向にあります。

インタビュー1/3

横浜創英中学校
横浜創英中学校1940年の開校以来、横浜の地に根ざした学校として、高校が開設され、中学は2003年に開校された。建学の精神は「『考えて行動のできる人』の育成」。学習はもちろんのこと、学校行事や部活動においても、「考えて行動する」ことが実践されている。この建学の精神の具現化により、深く思考し、判断し、表現する力が育成される。2020年には創立80周年として新校舎が完成した。
学習習慣の定着を図るため、一人ひとり学習記録ノートを作成。定期テストの前には目標や学習計画を、実施後には振り返りと結果を記入し、PDCAサイクルを意識して学習に取り組めるようにする。担任と家庭が一緒になって学習方法を考えていくためのツールとして活用し、また5教科の学習法なども詳しく記される。3年にわたるポートフォリオを作成することで、自分を多角的に見つめ、これからの国際化社会に必要なスキルを高めていきます。
令和4年度よりサイエンスコースを新設することになった。次世代で活躍する子どもたちに必要不可欠な科学リテラシーを身につけ、仮説を立てて科学的に検証し、色々なことに好奇心をもって接し、解決する力を育てていくことを目標とする。様々な社会課題に対して大学や企業などの民間のリソースを利用し「自律的な学習者」になることを目指していく。