シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

頌栄女子学院中学校

2021年08月掲載

頌栄女子学院中学校【理科】

2021年 頌栄女子学院中学校入試問題より

(Ⅰ)図のように、くぎに細い糸を結び、糸の反対側の端(はし)におもりを取り付け、糸がたるまないようにして、図のA点までおもりを持ち上げ、手を離(はな)したところ、おもりはA点とF点の間で振(ふ)り子運動をはじめました。

(Ⅰ)図

(Ⅱ)次の図のA〜Eは、斜面(しゃめん)上のA点に置いた球から静かに手を離して転がしたときに、手を離してから1秒ごとの球の位置を示したものです。

(Ⅱ)図

A点で手を離してからの時間と転がった距離(きょり)の関係を表に表すと次のようになります。

  A B C D E
手を離してからの時間[秒] 0 1 2 3 4
A点から転がった距離[m] 0 1 4 9 16

地下鉄をつくるとき、比較(かく)的新しく建設された路線では、省エネを目的として線路と駅の配置に工夫(くふう)をしているケースがあります。ここまでの(Ⅰ)(Ⅱ)で考えたことを参考に、次の問いに答えなさい。

(問)あなたが鉄道会社の社長になって地下鉄をつくることになったと仮定して、線路と駅をどのようにつくると電車を運行するときの電力(エネルギー)の節約につながるか考えて、右の断面図(垂直断面図)に線路と駅のようすを図示(し)しなさい。ただし、駅は3つ書き込(こ)み、また、なぜそのように考えたのか、説明も図の中に書き込むこと。

問 図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この頌栄女子学院中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

解答図

解説

まず、(Ⅰ)の図のような振り子が動くときの速さに着目してみましょう。振り子のおもりをA点まで持ち上げて手を離すと、だんだん速くなるように動き、もっとも低いB点を通過するときに振り子の速さがもっとも速くなります。また、おもりがB点を通過した後は、だんだん遅くなるように動き、A点と同じ高さにあるF点にきたときに一瞬停止します。次に、(Ⅱ)の図のように斜面を球が転がるときの速さに着目してみましょう。表からもわかるように、球はだんだんスピードを上げて転がっていきます。

これらの振り子や球の動く速さと高さの関係を、電車の動きに結びつけると、電車が駅を出て加速していくときには、地下の深いところへ下がっていき、次の駅に近づき減速していくときには、地上の方へ上がっていき、駅をもっとも高い位置に配置すれば、加速や減速のために使う電力の節約につながると推測することができます。

なお、地上を走る電車の場合には、地理的な環境などから、多くの場合、駅と線路の位置に高低差をつけることが難しいと考えられます。地下鉄でも地形や埋設物による制約があるものの、近年では可能な区間でこのような工夫を取り入れているケースがあるようです。

日能研がこの問題を選んだ理由

地下鉄の線路と駅をどのように配置すれば電力の節約につながるのかを、読み取った情報を手がかりにして考え、図で説明する問題です。

子どもたちは、問題に示された文章、図、表などから、おもりや球が動く速さと位置の関係を読み取っていきます。読み取った情報と電車が地下を走っていくようすをイメージし、駅や線路をどのように配置すれば電力を節約することができるのかを筋道立てて推測していきます。

この問題に取り組んだ子どもたちは、理科で学ぶことがらが、世の中で実際に役立てられている一場面を知ることができることでしょう。科目の世界で学ぶことがらと身のまわりの生活が結びつくことを体験し、さまざまな現象の理由やしくみに興味を持つきっかけになるかもしれません。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。