シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

函嶺白百合学園中学校

2021年08月掲載

函嶺白百合学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.受験生に向けての国語科からのアドバイス

インタビュー3/3

失敗しても大丈夫という環境をつくってあげる

ここからは受験生に向けてとなりますが、困難や壁にぶつかったときにどう対処すればよいと思われますか?

関田先生 「失敗しても大丈夫だよ」ということを分かってもらえたらいいかな、と思います。
入試直前に塾のクラスが落ちたり、テストの結果が悪かったりすることもありますが、「どこでもいいから合格できたという達成感をもたせてあげなきゃいけない」という話を、とある中学校の校長先生のお話で聞いたことがあります。塾に行っている子どもたちは1月くらいから生きた心地がしないと思いますが、ここに来てせっかく合格したからにはその学校で6年間を通じて達成感を味わってもらえたら良いのかなと思います。
自分も子どもに中学受験をさせた経験があるので、受験生の親御さんの思いはすごくわかります。

国語の勉強のしかたがよくわからない受験生もいると思います。学校や受験勉強などで時間が限られている中で、日々本を読むというのもなかなか厳しいのが現状です。何かアドバイスをもらえたら幸いです。

柳先生 受験における国語の試験は「受験の合否を決めるために解答能力を見るテスト」なんですよね。結局熟読できるかどうかが重要で、「ここ(文章・問題)に書いてあることをわかろうとする」「段落に区切って何を言いたいのかを徹底的に考える」というのが大切です。

たとえば東大の問題でも、段落ごとで設問が用意されていて、その後に全体を問う問題が出題されていますよね。つまり「その段落の話をしっかりわかっているか?」ということが問われているわけです。段落ごとの設問が解けなければ、最後のまとめ問題(記述式)でも点数が取れないんです。

また、要素が足りなくて減点となるのはやむを得ないと思いますが、分かっていないのに余計なことを書いて減点になるのは残念ですね。まずは要点をしっかり捉えましょう。

函嶺白百合学園中学校 校舎

函嶺白百合学園中学校 校舎

本に限らず沢山の文章を読むことは大事

柳先生 文学教材は評価の定まった作品の方が内容も構成もしっかりしていて良いのですが、評論教材はできるだけ新しいもののほうが子どもも食い付きやすい、という傾向があると思います。

確かに本が好きな子どもばかりではないので、「塾テキストを積み重ねたら読書をしなくても多読になる」ということは塾でも伝えています。素材の力は強いですからね。

関田先生 たくさんの文章を読んでどう思ったかをメモに書いておくことも大切かなと思います。じっくり読みはしなくても、たくさん本を買っておいて、様々な本の中身を少しでも眺めたり見たりしておくことで、「この本知っている」「この作者知っている」って思うのも、試験に同一の作者や本が出た際の安心感に繋がるかもしれませんね。

函嶺白百合学園中学校 図書館

函嶺白百合学園中学校 図書館

インタビュー3/3

函嶺白百合学園中学校
函嶺白百合学園中学校箱根強羅の地で70余年の歴史を刻むカトリック女子校・函嶺白百合学園の朝は、箱根の森の小鳥のさえずりとともに、生徒・教職員の、「ごきげんよう」の挨拶から始まる。
教育理念である「一流の国際人におなりなさい」は、社会に奉仕するために、「国や人種を超えて互いの違いを認め合い、愛しあうことの出来る人」、そして、「自己の才能を伸ばす努力を怠らない人」のことを表す。学園の初代校長である山本ムメ先生が、いつも生徒たちに「一流の国際人におなりなさい」と呼びかけていたことから、本校の教育の理想として大切に受け継がれている。
創立当初より少人数制を導入しており、中学校では基礎学力の充実を目指し、英語・数学で習熟度別授業やティームティーチング(TT)を実施。高等学校では、学力の応用と発展を追及した選択授業を実施し、特に高校2・3年では各自の進路に応じて、ごく少人数でも開講される選択授業を行っている。
カトリック学校として、毎日の学校生活の中で祈りの時間は大切にされている。朝礼・昼食前・終礼時には必ず祈りをささげる。中1~高3まで、週1時間の必修として宗教の時間があり、聖書や講話を通して人間としての生き方を考える。
毎週火曜日はEnglish Day、英語を校内で積極的に使う日。朝礼でのお祈りや聖歌歌唱、先生のお話が英語であるほか、職員室での挨拶や授業・ホームルームでの挨拶、お昼のお祈り、終礼のお祈りも英語で行う。中学生は、週1回iPadを活用し、フィリピンの先生とオンライン英会話を行う。とっさの英会話力やコミュニケーション能力が自然に養われる。
高校2・3年生は、選択授業でフランス語を受講することができる。フランス語独自の文法や発音を身につけ、フランス語検定に挑戦する生徒も少なくない。また、中国語圏の地域・人々とのコミュニケーションに役立つ中国語は、中学校3年間に必修科目として学ぶ。
ボランティア活動も盛ん。毎週水曜日、中学1年生~高校3年生の縦割りグループが分担で強羅駅付近と学校周辺の清掃活動を行う。また、生徒会と宗教委員会を中心に、箱根町社会福祉協議会の方々と協力し、10月に小田原駅と箱根湯本駅にて「赤い羽根共同募金」を行う。また、毎月11日は「節約白百合ランチ」と称し、東日本大震災の被災者の方々が受けた苦しみを忘れないため、おにぎりだけの質素なお弁当をいただき、募金を行う。
「Blue Earth Project」とは、環境問題を切り口に、社会をデザインするキャリア教育の一つ。「女子高生の視線で地球環境を守ろう!」というもので、代々木公園で開催された「エコライフ・フェア」、テレビ朝日主催「六本木ヒルズ夏祭り」、「Blue Earth Project 全国活動報告会 2019in神戸」、「神奈川県知事と対話」などに参加した。