出題校にインタビュー!
函嶺白百合学園中学校
2021年08月掲載
函嶺白百合学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.少人数制の函嶺白百合学園だからできること
インタビュー2/3
試験問題は素直な形式
では次に試験全体のことをお聞きします。
文字数を指定している問題とそうでない問題の違いは何かあるのでしょうか?
関田先生 ある程度こちらで「ココが欲しい!」という部分については字数指定をしていますが、子どもたちの自由な発想を求める場合には、字数指定をせずに自由に書かせています。それは教科会議の中で決めています。
子どもたちの表現・工夫をご覧になりたいということですね。
SDGsは割とどの教科の問題でも取り上げられているので、こういう問題は理科や社会で出されていてもおかしくない問題に感じます。
柳先生 SDGsに限らず、子どもが小学校6年間で見聞きしているトピックを中心に、受験勉強していなくても興味関心があれば解ける問題を用意しています。受験では一筋縄では行かない問題や凝った問題が出される学校もありますが、それに比べれば本校では圧倒的に素直な問題が多いと思いますよ。
学校で様々な総合学習がなされているようですが、国語科において包括して大切にしていることはありますか?
関田先生 「少人数だからできること」をしようとしています。
たとえば、「他者の意見に耳を傾ける」「違う価値観を認める」「異なる意見や多様性を許容する」というのを大切にしています。クラスによって違うのですが「〇〇さんの意見をどう思いますか?」と聞くと、中学校の授業ではどんどん意見が出てくるので、オープンエンドで意見交換や話し合いをしていますね。
前に環境問題について話すことがあったのですが、「”地球の水がお風呂一杯分だったら、人間が使える量はスプーン1杯分である”というのを、みんなに伝えるにはどうしたらいいかな?」という問いに対し、「ずらずらと文章を書くだけではわからないのではないか?」「紙芝居にする」「図だけでは分かりづらい」「動画を撮ったらいいのでは」など結構色々な意見が出ました。
このように他者に向けた意見を、中1では言えなかった子も中3になると言えるようになったりしていく姿を見ると日々成長していると感じます。
教頭/柳 宣弘先生
書くチカラ・人とやり取りするチカラを育てる
一番根本にある力は「人とやり取りする力」を国語科として育てているという印象を受けました。
関田先生 そうですね。もう一つは「書くこと」を大切にしていて、たとえば国語の授業で短歌を作ったり、友達の書いた短歌への評価を書いたりといったこともしています。人数が少ないのでこまめに添削ができますしね。あとは色々なコンクールに応募して子どもたちに達成感を得てもらえたら良いな、とも思っています。
書くことや他者とのやり取りを通して、自分の内側を育てる時間が多いような印象を持ったのですが。
関田先生 必ず「自分はどう思うか」という視点と「〇〇さんの意見についてはどう思うか?」という視点を大切していて、自分の考えをまとめたり文章に表したり、ということを通じ、生徒たちには自分のことを客観的に見られるような大人になってくれたらいいなと思いますね。
最近話題となっている「メタ認知」にも繋がる話ですね。
柳先生 先生達は添削を苦にしないでやっています。大人数の学校だと難しいと思いますが、その点では本校の生徒は恵まれていると思います。いい意味で「寺子屋」のような感じです。
授業で一方的に先生が伝えるというよりも、生徒たちとのやりとりを重視されているのがいいですね。
関田先生 できるだけやりとりができるように、なるべく意見を引き出すようにしているのですが、それはかなりの程度カタチになっていると思います。
函嶺白百合学園中学校 マリア寮外観
先生と生徒が1対1で授業が出来る環境
よく学校に入ると「試験の順位を気にする」といった生徒もいるようですが、函嶺白百合学園では競争みたいなのはあまりないのでしょうか?
関田先生 中にはテストが終わると「順位何位でしたか?」と聞いてくる子もいますが、学校の中だけで競うのではなく、もっと広い視野で見ようと話していて「模試などで全体を把握するようにしよう」「世の中の中学生の中に自分を置いてみなさい」とは伝えています。
本校では1点2点を周囲と争うという感じではなく、のんびりとした子が多い印象です。
特に最近入ってきた子たちはのんびりしていて、「自分の力に合わせて伸びていこう」「みんな違ってみんないい」といった雰囲気で、いい意味で自分中心というか「私はここができないから」「あの子はこれができるから」といった差別的な感覚はないですね。それぞれが自分の力を伸ばしていくという感じの学校なのかな、と思います。
柳先生 上智大や白百合女子大をはじめとする指定校推薦を利用することを第一に考えるならば、人間の幅が豊かなほうが良いわけです。
今年医学部に行った生徒はもともと出来の良い子でしたが、指定校推薦枠がない国立大学志望だったので、先生と通年1対1で物理を習うなど、その子に特化したプログラムを作って応援しました。
このように先生と生徒が1対1で授業ができるというのは他の学校では難しいですから、とてもレアな環境だと思います。
また本校では、中国語や身体を使ったコミュニケーション講座も中1~中3まで必修でやっているので、その体験がしっかり身体に身についていきます。高校では社会人教育も行っていますし、コミュニケーションにおける「思いやり」や「マナー」はできていると思います。
本校では、思いやりを持つことの大切さなども授業で伝えているので、大学からその先の社会でもきっと役に立つだろうと思います。
函嶺白百合学園中学校 授業風景
クラスメイトはずっと一緒に行動
1学年30人前後というお話ですが、いつも生徒は一緒に行動するのですか?
関田先生 学校生活においては、英語や数学で2クラスに分かれることはありますが、いつもクラスメンバーとは一緒に居ることになります。集団の中で何かがあれば担任の教員はすぐに気がついて「今日は電車でお友達と別々だったよね?」「何があったの?」と状況を聞いてみたりすることはあります。
柳先生 学校全体の人数が少ないので、生徒たちの状況はみんなよく分かっていますね。また、卒業してから先生と生徒の関係が長く続いているのも特徴の一つかもしれません。
函嶺白百合学園中学校 図書館
インタビュー2/3