シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

世田谷学園中学校

2021年07月掲載

世田谷学園中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.主体的に学ぶ姿勢が身についている子が伸びていく

インタビュー3/3

教室から出て学ぶことは大事

高瀬先生が歴史に興味をもったのはいつ頃ですか。

高瀬先生 私は幼い頃から父親が全国の史跡に連れて行ってくれたこともあって、歴史が好きになりました。中学高校は本校に通いましたが、その時の社会科の授業も好きで、特に歴史は先生からストーリー的なものを聞くことが楽しかったのです。ただ、在学中から生徒がもっと楽しめるもの、例えばその当時なら調べ学習などをやればいいのになぁ、と思っていました。

先ほど、話に出て来た小論文はご自身の思いが形になったものなんですね。他にも、教員として母校に戻ってきて、実現したことはありますか。

高瀬先生 「これやりましょうよ」と、まず提案したのは鎌倉散策です。私が生徒の時はあったのですが、教員として戻って来た頃には実施していなかったので、「絶対におもしろいからやりましょうよ」と言いました。現地に行って生のものを見たり、感じたりすると、強く記憶に残りますし、受ける印象が異なります。現地に行って初めてわかることもあるので、教室から出て学ぶことは大事だと思います。

世田谷学園中学校 掲示物

世田谷学園中学校 掲示物

歴史を作ってきた人への思いを感じてほしい

高瀬先生 調べ学習にしても、私が歴史を担当している時は、夏休みの宿題として郷土資料館や博物館に行ってレポートにまとめる、ということをしました。我々が習っている歴史には、源頼朝、坂本龍馬など有名な人たちが出て来ますが、教科書に載らない人たちも歴史を作ってきました。その人たちが作ってきた土台の上で我々は今、生活しているので、そういう人たちへのリスペクトであったり、より良い社会を築いていくという意志を感じてもらいたいという思いで、身近な場所の歴史を調べてまとめるということをしてきました。趣味として、将来歴史を楽しむ際にも、そういう経験が生きるのではないかと思います。

現地に行くことにこだわるのも、ご自身の経験に基づいているのですね。

高瀬先生 そうです。私はあと鹿児島県に行けば、47都道府県を全部回りきります。実は昨年、鹿児島に行く予定でしたが、コロナ禍で行けなくなってしまったので、収まり次第、行こうと思っています。旅行は歴史がメインで多くの史跡を訪れます。 だから授業の中でリアルな話ができます。

世田谷学園中学校 禅堂

世田谷学園中学校 禅堂

社会に目が向くのは中3、高1あたりから

小学生は歴史が好きな子が多いですが、中学、高校と上がるにつれて変化は見られますか。

高瀬先生 私は今年、高1の担任で「現代社会」を担当しています。その中でTPPを調べさせました。各産業で働く人々の意見や、TPPを実施するメリット、デメリットをすべて調べさせて、二人一組になって相手を交換しながらディベートを行いました。おそらく中1、中2では、それだけ調べさせても議論が深まらないと思いますが、高1になると言いたいことが積もっていて議論が白熱しました。
高校生あたりになると、公民や現代社会に熱心に取り組む生徒が増えてきます。普段の生活で真剣に政治の話をすることはありませんが、授業では言いたかったことを言えます。普段はおとなしくて黙々と勉強するような子も、議論になると「僕はこう思う」と、熱く自分の主張をしていておもしろいなと思いました。

アイデンティティが確立されると大きく変わる

成長が関係しているのでしょうか。

高瀬先生 それもあると思います。私は中学歴史と、高2・高3の日本史を主に担当してきましたが、高2になった彼らに会うと全然違います。中2の頃、このままで大丈夫かな?と思っていたような子が、高2になるととてもしっかりしていて驚かされました。
男子ですから中1、中2は落ち着きがありません。喧嘩もありますが、中3、高1になるとパッタリなくなります。中学時代でアイデンティティが確立されると、他人との距離がわかってきたり、相手の良くないところも許容できるようになったりするからでしょう。社会科の授業に限らず、学園内でのいろいろな活動を通して、考えることが増えることも要因の1つだと思います。

世田谷学園中学校 掲示物

世田谷学園中学校 掲示物

教員主導で教科横断講習も実施

貴校では「仏教と世界史」「仏教と美術」など、教科横断型の授業や講習も行っていますよね。

山岸先生 そういったことが得意な教員が中心となってコラボレーション授業や講習を行っています。到達するところは、知識の習得だけではなく、多面的な視点で物事をとらえ、より深い学びにつなげて欲しいという思いで実施していると思います。

最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

山岸先生 本校には素直な子が多く、指示されたことを着実に行い成績を伸ばしていく生徒が多くいます。そこからさらに力を伸ばして難関大学に合格した先輩たちは、指示されたことをやるだけでなく、自ら課題を見つけ、主体的に勉強できる生徒でした。主体的な姿勢をもつことが自らの可能性を広げ、夢を実現させる大きな一歩になりますので、ぜひともそういう意欲的な気持ちを持っているお子様に入ってきていただきたいと思っています。

インタビュー3/3

世田谷学園中学校
世田谷学園中学校学園の理念である“Think&Share”は、お釈迦様の「天上天下唯我独尊」に基づく。「Think」は知的好奇心をもって思索する力を極限まで深め、自己の確立をはかること、「Share」は人の意見に耳を傾け、助け合う心を育てること。仏教の精神に立脚し、生徒に人間として生きることの尊さを自覚させ、国際的視野に立って、積極的に行動できる人間形成を目指している。
1592(文禄元)年創始の曹洞宗吉祥寺の学寮“旃檀林”が前身。1902(明治35)年曹洞宗第一中学林と改称。1947(昭和22)年、世田谷中学校開設。1983年、現校名に改称。積極的な国際交流を推進するとともに、1995(平成8)年には高校募集を停止し(スポーツ推薦を除く)、1998年完全中高一貫体制を固める。2001年に創立100周年を迎えた。駒澤大学は系列校。
都内校のなかでは校地は比較的広く、放光館(理科実験室や講義室、音楽室)や修道館(総合体育館)、三心館(食堂)、グラウンドなど施設も充実。修道館には柔・剣道場、温水プールなどが完備されている。2001年、創立100周年を記念して建設された新校舎には、学園が誇る禅堂や、図書館・コンピュータルームなどもある。
世田谷学園では、2021年度から「本科コース」「理数コース」の2コースを募集している。本科コースは、じっくりと幅広く学び、高校2年次に文理選択をする。理数コースは、中学入学段階から理系学部進学を決めている生徒を対象に、理系プログラムを充実させたコースである。カリキュラムでは中1・2を前期、中3・高1を中期、高2・3を後期と位置づけ、効率的な先取り教育を行っている。本科コースでは、中3から学年ごとに特進クラスが1クラス設けられ、進級時に入れ替えが行われる。夏期集中講習、放課後のステップアップ講習も実施。毎年、難関大学へ多数の合格者を出し、現役合格率も高い。
クラブ活動は盛んで、なかでも空手道部は全国大会で数多くの優勝経験をもつ。硬式野球部も甲子園出場経験がある。活躍は運動部だけにとどまらず、吹奏楽部はアンサンブルコンテストで全国大会の金賞を受賞したこともある。
国際交流にも力を入れ、希望者は中学2年でシンガポール研修、高校1年では全員参加のカナダ研修が行われる。また、希望者は選抜で3ヵ月のニュージーランド派遣留学がある。
12月には有志の生徒たちが約1週間の早朝坐禅を行い、仏教・禅の心にも触れる。