シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

世田谷学園中学校

2021年07月掲載

世田谷学園中学校【社会】

2021年 世田谷学園中学校入試問題より

紙面の都合により日能研がキーワードを抜き出しました。
先生による想いがこもった原文もぜひご覧ください。
→原文(実際の入試問題【3】と問3)

(問)「貧困の悪循環(じゅんかん)」を止めるためには、どのような政策が必要だと思いますか。下の図を参考にして、あなたの考えを2つ説明しなさい。

問題図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この世田谷学園中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

①親世代に対して、育児手当を充実させる。
②学習支援金や奨学金制度を充実させる。

解説

「図を参考にして、あなたの考えを2つ説明しなさい。」という設問文から、図に書かれた「親の経済的貧困」「学校外の教育機会の差・大学への進学が困難」「不安定な仕事・安い賃金労働」の3つが考えるための手がかりとなります。例①は「親の経済的貧困」、例②は「学校外の教育機会の差・大学への進学が困難」に対しての政策ですが、「不安定な仕事・安い賃金労働」に対しては、非正規雇用から正規雇用に移りやすい法律を整備する、などが考えられます。図のどの部分を手がかりに考えるにしても、解答は1つではありません。

日能研がこの問題を選んだ理由

ポスターでは紙面の都合上、割愛することになってしまいましたが、実際の入試問題では格差社会をテーマにした文章を読んでから取り組む形式になっています。文章では、格差が「若者世代に広がる経済格差」「男女の格差」「都市と地方の格差」の3つに分けられ、その原因や背景、格差が生じることによる影響などが語られています。

今回取り上げた問題は、「若者世代に広がる経済格差」から派生した「若者世代の貧困」について、「貧困の悪循環」を止めるための政策を自分なりに考えるものでした。私立中学を受験する生徒の多くは、おそらくこの悪循環の中にはおらず、学校外の教育機会(習いごとや塾など)にも比較的めぐまれているといえるでしょう。そのような生徒たちが、この悪循環を止める政策を考えるというのは難しいことだとは思いますが、自分とは異なる立場の人の状況をイメージしながら試行錯誤することは、今後の学びにもつながるはずです。

また、ポスターに掲載した図からわかるように、この問題では原因と結果を一方通行でとらえるのではなく、循環するものとしてとらえていることが、これまでの入試問題にはあまり見られない点です。世の中のさまざまな課題は、原因と結果が1対1であることはほとんどなく、複数の原因と複数の結果が相互に関連し合っています。「原因がひとつでない」もしくは「原因の原因がある」ような場合、この相互の関連のどこにどのようにアプローチしていけばよいのでしょうか。大人である私たちも深く考えさせられる問題です。

このような理由から、日能研はこの問題を□〇シリーズに選ぶことにいたしました。