今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
西武学園文理中学校
2021年06月掲載
2021年 西武学園文理中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
生き物と温度の関係に興味をもった文太君は、動物と温度、植物と温度、おもしろいと思った生き物についてまとめました。次のまとめを読み、以下の問いに答えなさい。
動物と温度
- 恒温動物……気温などまわりの温度が変化しても体温は一定の動物
変温動物……気温などまわりの温度が変化すると体温が変化する動物- ヒトの場合、さまざまな器官で生じる熱が体温に使われる。
植物と温度
- 植物の発芽には、空気・水・適度な温度が必要となる。
おもしろいと思った生き物
- 生き物の名前「ザゼンソウ」
- 生育場所:北海道や本州の山間の湿地(しっち)や夏でもすずしい谷地に生育する。
- 開花時期:早春(1〜3月)の雪解けのころ
- 開花の特徴(とくちょう):
受粉の方法……ヘチマ・アブラナ・ヒマワリ・カボチャと同じ
開花のときに花のまわりが25℃近くまで発熱し、肉が腐(くさ)ったようなにおいの物質を作る。- ルース・スタイルス・ガネットが書いた『エルマーの冒険(ぼうけん)』に出てくる“りゅう” の食べ物の1つとして登場する。
(問)下線部について、ある研究によると「ザゼンソウが発熱することは効率よく受粉するために必要だ」と言われています。文太君が調べた生育場所・開花時期・開花の特徴を根拠(こんきょ)として、この理由を答えなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この西武学園文理中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
発熱することによって、開花時期に花の周りに積もっている雪をとかしたり、においを拡散させてこん虫をさそったり、花粉を運ぶこん虫の活動を活発にしたりすることができるから。
解説
ザゼンソウがどのような特徴を持つ植物なのかを、問題文から読み取っていきます。問題には、「生育場所・開花時期・開花の特徴を根拠として」説明するように書かれているので、これら3つの項目に着目してみましょう。
ザゼンソウは比較的冷涼な場所に生育しており、開花時期が雪解けの時期と重なることから、開花するときに花が雪に埋もれている可能性があることが考えられます。また、受粉の方法がヘチマ・アブラナ・ヒマワリ・カボチャと同じであることや、肉が腐ったようなにおいの物質を作ることから、ザゼンソウがこん虫によって花粉を運んでもらう植物であることもわかるので、発熱することによってこん虫を誘う効果が高まるのではないかと推測することもできます。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
ザゼンソウが発熱することが、効率よく受粉するために必要であると考えられる理由を、読み取った情報を根拠として説明する問題です。
子どもたちは、問題に示された文章から、ザゼンソウという植物がどのような特徴を持つのかを読み取っていきます。生育場所、開花時期、開花の特徴など、読み取った複数の情報を結びつけることによって、発熱することが受粉の効率を高めることとどのようにつながっているのかを筋道立てて推測していきます。
この問題に取り組んだ子どもたちは、初めて出あう現象の理由やしくみを、読み取った情報を結びつけることによって推測することができることに気がつくでしょう。また、植物が持っている不思議なしくみに目を向けることによって、生物に興味を持つきっかけになるかもしれません。
このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。