シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

山脇学園中学校

2021年06月掲載

山脇学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.6年間、探究活動に取り組める環境の中で、自分の意思や志をもって巣立つ生徒が増えている

インタビュー3/3

毎年のように多数の生徒が理学部・工学部に進学

アイランド教育の成果として感じていることはありますか。

鎗田教頭 やはり理系の選択者は多いですよね。7クラス編成で、4クラスが文系クラス、3クラスが理系クラスです。毎年、女子校の進路としてはあまり選ばれない理学部と工学部に、多くの生徒が進学しています。今春の卒業生は17名と少なかったのですが、昨年は36名が進学しました。
この進学率の高さには、サイエンスアイランドが深く関係していると感じています。サイエンスアイランドでは「サイエンティストの時間」(中1・中2/毎週)という授業を行っています。そこで探究的な発想の基礎をしっかり教えています。つまり観察して、その気づきから仮説を立てて、実験やデータ収集を行って検証するという、一連の流れを全員が経験するわけです。そういう経験により理系的な発想ができているというところが、理系3クラスにつながっているのは間違いないと思います。

教頭・入試広報部長/鎗田 謙一先生

教頭・入試広報部長/鎗田 謙一先生

大学受験では、自分のために学ぶという発想が大事

砂口先生 教科の枠の中だけで勉強している子は、壁に直面すると「この勉強にどんな意味があるのかな」「いくら勉強しても伸びないじゃない?」などと思いがちです。そういうことを考え始めると伸びが止まってしまいます。逆に、自分の進路を実現するために必要だから勉強する。「どの学部に進んでも言葉はすごく大事だから、言葉を受け止める力を入試までに鍛えてやるぞ」などと思える子は最後まで学力を伸ばして、結果的に自分の志を実現していきます。そういう考え方の転換が高2から高3のどこかでできると、学校の教科としての勉強ではなくて、その先を見据えた勉強ができるようになると思うので、こちらとしてもそういう発想ができるように刺激していきたいと思っています。

山脇学園中学校 サイエンスアイランド

山脇学園中学校 サイエンスアイランド

地方でも羽ばたく意思をもつ生徒たち

砂口先生 今春の卒業生に鹿児島大学に合格した子が2名います。2名とも水産学部です。本校の理系を視野に入れている生徒は、都市部だけでなく地方にも活躍のフィールドを見出そうとしています。

やりたいことが明確だからですか。

砂口先生 そうです。中3の「科学チャレンジプログラム」(希望参加制)では昼休みや放課後に本格的な研究活動を行い、自身の適性を探ります。また「野生生物調査隊」として西表島に行きます。そこで琉球大学の先生にご指導を受けながら、マングローブなどそこに生息している動植物の研究を行います。そういうことを積み重ねた結果として、鹿児島大学をはじめ茨城大学、琉球大学などに進学しています。女子校ですが、地方に羽ばたいて行こうとするところは本校の特色といえると思います。

そうした傾向が見られるのは今春、卒業した学年からですか。

砂口先生 その前の学年にも岩手大学などに進学した生徒がいます。ここ数年の傾向ですね。今春、卒業した学年は、私が高校3年間、学年主任をした学年なんです。探究活動はまだ高校の科目として置かれていませんでしたが、探究活動のオピニオンリーダーのような教員が学年におりました。その先生の働きかけもあって、高1の時から総合の時間で探究的な学習を行ってきました。その学年は高1から文理に分かれていたので、理系クラスは特に探究的な活動に力を入れていました。それが進路にも影響を与えたのではないかと思います。

山脇学園中学校 校舎内

山脇学園中学校 校舎内

「志の育成」を体現できている

堀江先生 現在は、中1・中2の「知の技法の時間」や「サイエンティストの時間」を土台に、中3では「探究基礎」、高校では「総合的な探究の時間」(必修)に3年間取り組みます。今年度の高校3年生は、高1の「総合的な探究の時間」で社会にかかわるテーマを選び、自分事としてとらえて、まとめ、グループで発表しました。高2では個人発表という形で行い、その活動を通して自分の興味・関心に気づき、将来、こういう方向に向かっていくんだという志をもって学部学科を選んでいくところにつなげていきました。高2から文系クラス・理系クラスに分かれますが、発表は文理融合で行い、お互いに評価者となって評価し合ます。そうした経験の積み重ねにより、いろいろな刺激を受けて、多様な進路の実現を可能にしていると思います。

探究活動が体系化して、生徒さんの成長に変化は見られますか。

堀江先生 進路についてはどうなるのかな、という感じではありますが、全員が自分でテーマを見つけて、プレゼンテーションを行っていますので、良い経験になっているのではないかと思います。
高2の終わりに「どんな力がつきましたか」と、自己評価させた時には、9割以上の生徒がなんらかの形で達成感をもっていました。それが本校で過ごす最後の1年間に、良い形でつながっていくといいなと思っています。

自分の興味・関心を明確にするという意味でも、探究活動は重要ですね。

堀江先生 大学の学部ありきで進路を決めるのではなくて、自分の興味・関心につながる学びをするには、どういう選択肢があるのだろうか、と考えることから始めています。本校のアドミッションポリシーにかかわる「志の育成」を体現できていると思います。

山脇学園中学校 校舎内

山脇学園中学校 校舎内

文章をしっかり読んで理解することを意識して学習しよう

最後に、中学校の学びにもつながる、学習へのアドバイスをお願いできますか。

砂口先生 本校の国語の入試問題は、知識問題にしても読解問題にしてもそれほど難しい問題ではないと思いますので、まずはきちんと文章を読むことと、基本的な知識を身につけることをしてほしいですね。
「わかった」というのと、「わかったつもり」というのとでは全く違います。高校生を教えていても、いつまでも「わかったつもり」で、なかなか「わかった」という域まで行かないな、という生徒がいます。そういうところを学習の過程で気づいていける、勉強の仕方をしてきていただければと思います。

インタビュー3/3

山脇学園中学校
山脇学園中学校1903年に山脇玄、山脇房子夫妻により牛込白銀町に設立された。3年後には赤坂檜町に新校舎を建設し、移転とともに高等女子實脩学校となった。1908年には高等女学校令にあわせて山脇高等女学校と改称し、1935年には東洋一の女学校の校舎と称された白亜の新校舎を、現在の地である赤坂の丹後町に建設、移転した。
初代校長山脇房子は、建学の精神を「高い教養とマナーを身につけた女性の育成」とした。創設当時、明治という時代の中にあって、「良妻賢母」が女子教育の目標とされることが多い中、夫妻の理想は、欧米諸国のレディに見劣りしない教養ある女性を育成することにあった。現在では、創設当時の高邁な考えをさらに進め、時代の変化を踏まえ、「社会で生き生きと活躍する女性のリーダーの育成」を教育目標としている。
留学や海外大学直接進学をめざす国際教育や探究的手法を用いた志を育てる教育に力を注いでいる。国際社会で活躍する志と資質を育成する「イングリッシュアイランド」、科学を通じて社会に貢献する志を育てる「サイエンスアイランド」、社会で活きる探究的な学びを模索する「リベラルアーツアイランド」などを設置し、さまざまなプログラムを実践している。この3つのアイランドを通しての学びは、大学入試でも着実に実績を残している。
中学1年では「琴」、中1~3年で礼法・華道を習う。ダンスは体育とは別で6年間必修である。クラブではマンドリンが全国大会、テニス、バトンが関東大会レベルで活躍している。また、特任部(SI部・EI部・LI部)は学校が設定した教育プログラムで、アカデミックなテーマを扱う研究など、高度な教育研究活動を行う。体育祭で踊る、中学3年の「メイポールダンス」と高校3年の「ペルシャの市場にて」は、山脇学園の伝統となっている。