出題校にインタビュー!
山脇学園中学校
2021年06月掲載
山脇学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.この問題は、探究活動の土台となる授業につながっている
インタビュー2/3
教科書を読んで読み方を学習する、それが国語の授業の骨子
通常の国語の授業でも、文章を読んで理解する、ということを意識しているのでしょうか。
堀江先生 教科書を読んで読み方を学習(訓練)することが国語の授業の骨子ですから、中1から高2までは教科書を精読することに力を入れています。高3では問題演習が中心になります。大学入試では、限られた時間の中で初見の文章を細部まできちんと読み取る力が求められるので、そのための知識とトレーニングを5年間かけて行っています。
文章を読むことが苦手な生徒さんに対してはどのような指導をされていますか。
砂口先生 中学入試は中学検定教科書よりもやさしいかというと、意外とそうではありません。ですから入学して間もない生徒でも、中2、中3あたりの文章を読めてしまいます。もちろん中にはわかっているつもり、という子もいますが、本校で顕著なつまずきが見られるのは中学教科書から高校教科書に変わる時です。高校の現代文の教科書は抽象語が増えて、子どもたちにとっては突然わけのわからない言葉が詰め込まれた文章になります。
鎗田教頭 背景に、思想史的なものが入ってくるからです。思想史がわからないと解けなくなります。そのあたりは確かに1つのハードルですよね。
砂口先生 ですから現代文の担当者は、導入時あたりは特に意識して、抽象語を解きほぐしながら、具体例のようなものと結びつけながら説明していきます。
読書にも力を入れていますか。
砂口先生 長期休暇中の課題として、一冊の本を読み通す体験をさせたり、高校生には、自分の志望系統に関連する本を推薦して読ませたりする活動を行います。また、学年の活動として朝読書の時間を設けることはあります。
堀江先生 学年の取り組みでは、記事などを抜粋したものを毎日読む、それを1年間続ける、という活動をしたこともあります。
国語科主任/砂口 義智先生
国語科が行う「知の技法の時間」は探究活動の第一歩
授業における特色や工夫をしているところがあれば教えてください。
鎗田教頭 中学では、「知の技法の時間」(中1・中2/隔週1時間)を設けています。書道と隔週で行っています。
堀江先生 6年間の探究活動の導入的な位置付けで、インプットとアウトプットを行います。「言葉」「人間関係」「文化」などに関連のある文章を読んで、筆者の考えを読み取った上で「あなたはどう考えますか」という問いを投げかけます。生徒は賛成・反対だけでなく、中立、あるいは一部賛成でもいいので、自分の意見を持ちます。それを書いたり、発表したり、ディスカッションしたりして、自分の意見をもつことに慣れていきます。
砂口先生 「知の技法の時間」で出てきた深い意見をピックアップして印刷し、生徒に渡します。その上で「それを読んでどう思った?」とフィードバックしています。
堀江先生 プリントを作る際には、そのクラスだけでなく、すべてのクラスの意見を掲載します。授業では自分のクラスメイトの意見しかわかりませんが、「知の技法の時間」では学年全体の意見がわかるのです。
視点が広がりますね。
堀江先生 今年度からiPadを導入することで、これまでノートやプリントにまとめていた文章をデジタル上の「提出箱」に入れて、全員の文章を画面上で共有するなど、今まで以上に双方向の授業が展開できるようになりました。
評価はどうしていますか。
堀江先生 「知の技法の時間」では、点数で評価するということはしていません。ただ、周りの人の意見を聞いて、影響を受けたかどうか。影響を受けた場合、どのように受けたのか、というところまでは、確認しています。
砂口先生 「知の技法の時間」では、教え合うこと、学び合うことを大切にしたいと思っています。そう考えると今のところ評価は不要であり、オープンな形でやることに意義があると思っています。
山脇学園中学校 教室
次のステップ「探究基礎」は理科と社会科のコラボ授業
砂口先生 中1・中2で行う「知の技法の時間」を経て、中3では「探究基礎」(毎週1時間)に取り組みます。そして高校での探究的な活動につなげていく、というカリキュラムを確立しています。
鎗田教頭 中3の「探究基礎」も本校の特色である「アイランド教育」(イングリッシュ・サイエンス・リベラルアーツ)の1つです。サイエンスアイランドを取り仕切る理科と、リベラルアーツアイランドを取り仕切る社会科とのコラボレーション授業という位置付けで行っています。サイエンスアイランドで遺伝子の取り出し実験をしたら、リベラルアーツアイランドで倫理的な問題はないのか、ということをディスカッションするというように、理科と社会の教員がコラボレーション授業を行います。サイエンスアイランドでは放課後講座として「科学研究チャレンジプログラム」を実施しています。大学の先生や企業の方を招いて行う講座です。
山脇学園中学校 掲示物
インタビュー2/3