シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

山脇学園中学校

2021年06月掲載

山脇学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.国語の入試はかけがえのない読書の時間。文章をしっかり読もう。

インタビュー1/3

いろいろな意見を聞きたかった

この問題の出題意図からお話いただけますか。

堀江先生 文章と設問の要求をきちんと読み取って解答する、ということはもちろんですが、それだけではありません。例えば答えが1つではない問題なので、文章に書いてあることと身近なことをつなげて、自分事として考える問題を出題したいと考えました。

この文章は国語科の先生が書かれたのですか。

堀江先生 そうです。

中学受験の国語では非常に珍しいと思うのですが、その理由を教えてください。

堀江先生 文脈と絡めた形で知識を問う問題と、今回取り上げていただいた問題のように、受験生のいろいろな意見を聞くことができる問題を出したいと考えています。短い文章でそれらを問わなければならないため、出典に頼らず、こちらで文章を書くようになりました。

砂口先生 入試問題全体をこちらで書いた文章、つまり入試のために書いた文章で構成するつもりはありません。大問一、大問二では、一般の読者を想定して書かれた小説や評論を出題すべきであると考えています。社会の人々は多種多様な考えをもっています。そうした読者を想定して書かれた小説や評論を出題し、それをきちんと読んでほしいからです。
ただ、大問三については、自分事として考えてもらうことをねらいとしています。優先順位としてその目的を果たすことが優先されるのであれば、こちらで作っても良いのではないか。そのような考えから独自に文章を作成しています。

国語科・高校3年学年部長/堀江 綾先生

国語科・高校3年学年部長/堀江 綾先生

問いを先に立てて文章を準備する

いつごろからですか。

砂口先生 この形式になったのは15年ほど前からです。

堀江先生 出典に頼らなくなったのは、5年くらい前からでしょうか。

砂口先生 こういう形式で出題していくうちに、文章の抽象度が高いと、解答も同じような意見が多いというか、抽象的になりがちであることに気づきました。そこで自分たちで作るようになりました。

論述問題については、問いが先ですか?文章が先ですか?

堀江先生 問いを先に立てることが多いです。

何を問うかは科の中で話し合うのですか。

堀江先生 基本的に、問いは作問担当者が作ります。ただ、A・B・C、それぞれの入試の最後に、こうした意見を論述する問題を出題していますので、テーマが重ならないように調整しています。

山脇学園中学校 校舎

山脇学園中学校 校舎

「可能」という立場で答えを書いていた受験生が多かった

受験生の解答から感じたことを教えてください。

堀江先生 今回の問題では、利用を控えることが可能、不可能、どちらの立場で答えてもよかったのですが、「可能」という立場で答えを書いていた受験生が多かったです。プラスチック製品の例としては、本文中に出てきているストローや、ペットボトルを挙げる受験生が多かったです。解答としては「ストローは高齢者や子どもには必要だけど、少し不便になったとしても減らすべき」という視点で書いている答案が多かったように思います。

印象に残っている解答はありますか。

堀江先生 もちろん「利用を控えることは難しい」など、不可能の立場で意見を述べても構いません。コロナ禍を反映してか、「個別包装の素材を紙など他の素材にすることも考えられるけど、この状況では難しいのではないか」という意見を理由も含めて書いていた答案は印象に残っています。

採点基準を教えてください。

堀江先生 例を挙げて、あなたの意見を述べなさい、という問題ですので、条件を満たして書いていれば満点となります。ただ、条件を読み落としてしまうこともあるので、差はついていたと思います。

砂口先生 今回の採点からデジタル採点になりました。論述問題は取り出して、複数の教員で採点します。採点が一致しないと別途検討します。ですので公平に採点できたのではないかと思います。

山脇学園中学校 正門

山脇学園中学校 正門

国語の入試は文章と真剣に向き合う場

入試問題全体を作成するにあたり、国語科の中で共有していることがあれば教えてください。

砂口先生 本校の受験は帰国・4教科/A・B・C・1教科と5種類あり、受験生はAとCを受ける人、A・B・C、すべてを受ける人、Aと1教科を受ける人などいろいろです。複数回受ける受験生に対して、多様な読書体験、入試体験をしてほしいと思っています。なぜなら、国語の入試問題を解くことは、文章を真剣に読んで、考える、かけがえのない読書の時間だと思うからです。ですから、素材文選びに力を入れています。
また、問題作成においても、問題を解くということがクイズを解くような、情報処理のようなものではなく、多様な文章を読んで理解して表現するような問題を作りたいと考えています。問いと向き合うことにより文章への理解が深まるような問題を作ることを目指しています。

素材文選びに力を注いでいる

受験生に求めることを具体的に教えてください。

砂口先生 やはり文章を読んで理解できるか、というところが本筋ですが、評論文であれば論理の展開、小説なら心情の読み取りを問いたいと考えています。

素材文を選ぶのは大変ですよね。

砂口先生 特に小説の素材文選びには苦労しています。受験生が理解できる内容か、受験生が心を痛めるような描写は含まれていないか…。分量や切り取り方の難しさもあって、小説は限定されてしまいがちなのです。

鎗田教頭 先生方は素材を選ぶ目的で、相当たくさんの本を読んでいます。

堀江先生 入試が、5種類ありますので、出典が10作品くらいになります。持ち寄って検討しますが、数日かかります。終わると抜け殻のようになります(笑)。

山脇学園中学校 ホール

山脇学園中学校 ホール

自分なりの例や理由をあげて表現する。それが山脇らしさ

砂口先生 小説は素材で決まってしまうところがあって、良い素材と巡り会えれば良い問いを作ることができます。問題作成にはマニュアルがないので、どういうふうに読ませて、どういうふうに問いを作って、というところを考えるわけですが、考えた問いが没になって考え直す際には、アイデアが詰まってしまって何も出て来ない時もあります。逆に追い込まれてから、こういう問い方があるのでは?と、思いも寄らないアイデアが生まれる場合もあります。

インタビュー1/3

山脇学園中学校
山脇学園中学校1903年に山脇玄、山脇房子夫妻により牛込白銀町に設立された。3年後には赤坂檜町に新校舎を建設し、移転とともに高等女子實脩学校となった。1908年には高等女学校令にあわせて山脇高等女学校と改称し、1935年には東洋一の女学校の校舎と称された白亜の新校舎を、現在の地である赤坂の丹後町に建設、移転した。
初代校長山脇房子は、建学の精神を「高い教養とマナーを身につけた女性の育成」とした。創設当時、明治という時代の中にあって、「良妻賢母」が女子教育の目標とされることが多い中、夫妻の理想は、欧米諸国のレディに見劣りしない教養ある女性を育成することにあった。現在では、創設当時の高邁な考えをさらに進め、時代の変化を踏まえ、「社会で生き生きと活躍する女性のリーダーの育成」を教育目標としている。
留学や海外大学直接進学をめざす国際教育や探究的手法を用いた志を育てる教育に力を注いでいる。国際社会で活躍する志と資質を育成する「イングリッシュアイランド」、科学を通じて社会に貢献する志を育てる「サイエンスアイランド」、社会で活きる探究的な学びを模索する「リベラルアーツアイランド」などを設置し、さまざまなプログラムを実践している。この3つのアイランドを通しての学びは、大学入試でも着実に実績を残している。
中学1年では「琴」、中1~3年で礼法・華道を習う。ダンスは体育とは別で6年間必修である。クラブではマンドリンが全国大会、テニス、バトンが関東大会レベルで活躍している。また、特任部(SI部・EI部・LI部)は学校が設定した教育プログラムで、アカデミックなテーマを扱う研究など、高度な教育研究活動を行う。体育祭で踊る、中学3年の「メイポールダンス」と高校3年の「ペルシャの市場にて」は、山脇学園の伝統となっている。