出題校にインタビュー!
相洋中学校
2021年05月掲載
相洋中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.生徒との信頼関係が学びの土台。そこから始めよう。
インタビュー3/3
定期試験でも対話形式の問題を出題
田島先生 メッセージ性のある出題は入試問題だけではありません。定期試験でも同様に出題していますよね。
天草先生 そうですね。大学入試が変わることを踏まえて、読解力や思考力を問う問題を意識して出題しています。これまでは計算問題や、答えを求める問題ばかりでしたが、3、4年前から長い対話文を読ませて、対話の中の空欄に入るものを答えさせたり、導き出せるものを聞いたりしています。その対話は、問題を解けた生徒が解けていない生徒に対して教えているという設定で、対話を頭の中で展開しながら問題を問いていくという形式の問題です。
アクティブラーニング、すなわち「主体的対話的な深い学び」という解釈がありましたよね。その「対話的」というところに焦点を当てて、定期試験の問題を作ることを心がけようという話が校長からあって、始めました。
算数の入試でも生徒が対話をしている問題が入っていますよね。
天草先生 今年の算数では、相洋の頭文字を取って、相太さんと洋子さんが登場人物の問題を出しました。登場人物になりきって読んでもらえると、やりとりに想像をふくらませながら読み解く力は、数学だけではなく、いろいろなところで大事な力なのではないかなと思っています。
田島先生 大学入試でも対話式の問題が増えているので、定期試験で同様の問題を出して馴染ませて行こうと考えています。
相洋中学校 先生
日頃の授業の中で感じ取る力を養ってほしい
本当に理解していないと答えられないですよね。
田島先生 そうですね。チャレンジ問題ではありますが、小問1から誘導はしています。生徒にも「最初の問いをあきらめないで」と話しています。
いきなりこういう問題が出たら驚きますよね。
田島先生 当時の生徒たちは驚いたでしょうね。
天草先生 確かに、中1の時はそういう問題ではなかったのに、中2の問題から急に出てきて「先生、あの問題はなんですか」と、聞かれたことはありました。「これからそういう問題がすごく大事になってくるから、考えてもらうために出すようにしたんだ」と説明しました。現在は、実際に大学入試の問題に触れるようになって、そういう問題を目にする機会が増えて、先生が言っていたのはそういうことかと思いながら勉強しています。
田島先生 そういう対話は授業でも行っているので、きちんと聞いている生徒にとってはそれを文章化しているだけなんですよね。ですから日々の授業の中でどれだけ感じ取ってくれるかが大事なことだと思っています。そのためには聞き取る力を日々培うことも必要です。そして定期試験を通してそうした問題に順応していくことを願うばかりです。
対話形式の問題を出すようになってから、生徒さんに変化は見られますか。
天草先生 昨年、1年間、定期試験でそういう問題を出してきた中3は、その意図を汲んで学び合っていると感じました。中3の2学期あたりから自分たちで勉強するようになって、わからないことがあればどんどん聞くようになりました。
田島先生 「数学って楽しいですね」と言っていました。そうなると生徒はどんどん成長します。提出物にも積極的で、生活も変わりました。
天草先生 確かに、これまでとはタイプの違う生徒ができるようになっていますね。「途中に考え方が書いてあるので、それに沿って考えることによって解けた」「しっかり読み込んだことによってできた」などという声があがりました。数学は問題が最小限なんですよね。そこからどのように答えにたどりつけるか。それが数学の主流でしたが、変わりつつあるのかな、という気はしています。
計算問題が対話形式の問題に変わる可能性も
天草先生 今回出題した計算問題の(7)なども、相太さんと洋子さんがしゃべりながら最後の答えを聞くような大問に様変わりするかもしれないですね。そうすると、計算式だけでは解けなかった受験生が、読み込んで解けるということが起こるかもしれません。
田島先生 問題解説にあまり興味がない、というか。「問題を解こうね」という言葉からエンジンがかかる感じの生徒もいるのですが、そういう生徒が最初の定義の説明から反応するようになりました。それは問題を解くだけではなくて、どうしてそうなるのかという経緯を知りたいという思いに変わっていったからだろうと思います。授業の中で反応があるのです。
高校数学になると、情報量についていけない、公式が理解できないなどの理由で崩れていく生徒がいるのですが、中学校でその土台ができていると、高校で一気に範囲が広がっても、最初が大事であることを読み込みながら展開できるのかなと思っています。そういう生徒どもたちをこれからも育てていきたいと思っています。
上位層には、天草がチャレンジ問題を出しました。唯一解けた生徒がいて、みんなが悔しがっている様子を見て、良い効果を生んでいると感じました。
相洋中学校 校内風景
学びの土台は人間関係
とても先生方が温かい学校なんですね。
天草先生 わからない生徒をわからせたい、と思っても、わからせることはとても難しく、なかなかうまくいきません。それでもあきらめずに、嫌いから少し好きになる方法はないかなと、別の方法を考えます。田島が話したように、寄り添う、共感するなど、数学とは別のアプローチの仕方で数学が好き、できるという良いサイクルへ導くことが私たちの仕事だと思っています。
田島先生 本校では人とのかかわりをもっとも重視しています。生徒とも数学だけの付き合いではないのです。今年の中1は教えていませんが、中2、中3は一人ひとりの特性を把握しています。日頃からのかかわり、つながりがあるからです。それがすべての学びの土台になっていると思います。生徒もこちらのことをよく見ていますので、わかり合うことで良い関係を築くことができ、それが本校の温かい校風につながっていると思います。
教科書をしっかり読み込んで「なぜ?」と考える習慣をつけよう
最後に受験生へのメッセージをお願いします。
天草先生 中学に入学してから他者を受け入れるために指導はしていくのですが、いろいろな人がいるということを理解して、互いに認め合ったり、思い合ったりできる受験生に入学してもらえたら嬉しいです。そういう気持ちがあれば、いろいろな人と協力したり、協働したりしながら学び合うことができると思います。
学習については、教科書を大事にしてください。教科書はよくできていて、きちんと導入があり、疑問から入ることがすごく多いからです。教科書を読み込むと、いろいろなところで「なんでだろう」と考える習慣が身につくと思います。この「なんでだろう」と考えることが、問題を解く時に大事なのです。
田島先生 計算力と「なぜだろう」という考え方。本校の入試はそこがはっきりと見えているものになっていると思います。解けてほしい、解いてほしい、チャレンジしてほしい、という思いのこもった問題が散りばめられているので、過去問をやる時は1つひとつの問題としっかり向き合ってほしいです。
相洋中学校 校舎内
インタビュー3/3
太平洋につながる相模湾と小田原城を眺めることができ、周囲には四季折々の自然があふれる、小田原の小峰と呼ばれる丘で、昭和59年より中高一貫教育に取り組んでいる。校訓である『質実剛健・勤勉努力』のもと、これまで育まれてきた先人たちの歴史・文化を学び、新しい社会の中で他国の人々に関わるときでも、自分たちの歴史・文化に誇りをもって語り、自ら考え・判断して行動することができるコミュニケーション力を養う。