シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

日出学園中学校

2021年03月掲載

日出学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.間違えても数学を楽しめる生徒には伸びしろがある

インタビュー3/3

なぜそうなるか、中1にはアナログで見せる

授業の様子を教えてください。

竹村先生 目に見えるものを解いていく算数から、いきなり抽象化したものを扱うと暗記に走ってしまいます。特に中1は、実物を見て「そういうことか」と感じることを大切にしています。
例えば回転体の体積は、アナログの回転体説明器を使い、平面を回転させると立体になる様子を直に見せています。コンピューターでシミュレーションして見せることができますが、アナログな見せ方は逆にインパクトがあります。
例えば、円すいなど錐形の体積は柱形の体積の3分の1ですが、プラスチックの容器に水を入れて実際に3分の1になることを確認しています。立体図形の切断の場合、例えば円すいを切断して現れる双曲線は、紙で作った円すいを、絵の具を溶かした水につけて上げると双曲線が見えます。
高校に上がると一転、紙とペンだけを使って考えさせます。発達段階や状況に応じてアプローチを変えます。低学年のうちは実物を見てイメージする力を養って、学年が上がるにつれて頭の中でイメージできるようにしたいと思っています。

日出学園中学校 回転体説明器

日出学園中学校 回転体説明器

学習合宿では遊び感覚で思考する取り組みも

竹村先生 高1・高2の特進クラスの学習合宿では、出題者の気持ちを知ろうと問題をどんどん難しくしていくこともしています。どうすれば難しくなるか、そもそも「難しい」とは何か、踏み込んで考えます。問題を育てるRPGのような取り組みです。
例えば、関数のy=xをレベル1とすると、y= ax+bは中2の1次関数、さらにy=x2(xの2乗)は中3の2次関数となります。グループワークで、どこに何がつくとどう変わるか、「こういうことをされるとイヤ(難しい)だね」という観点で話し合います。
このように、時間に余裕のある学習合宿ではテキストの演習ばかりではなく、普段の授業ではなかなかなできないことに取り組んでいます。
合宿は4泊5日、教科によってはより難しい問題、普段の授業とは違うテーマの問題に取り組みます。数学の場合は、普段の授業を進める一方でスポット的に探究的なことをしています。

日出学園中学校 図書館

日出学園中学校 図書館

復習に役立つよう要点をまとめた動画を配信

宿題は結構出しているのですか。

竹村先生 教員にもよりますが、私の場合、中学は授業の始めに宿題をやってきたかどうかをチェックして、つまずいているポイントや多い間違いの傾向を拾う時間を設けています。
高校生はある程度自主的に取り組んでもらいたいので、宿題は出しますが、出し方を変えています。例えば、「来週テストするから、合格点が取れるように勉強しておいて」というような漠然とした出し方をします。対策は大まかに示しますが、「あとは自分で考えて」と言います。

原田先生 私はまとまった量を週ごとに出しています。週の頭にその週の範囲を伝えるので、自分で計画的に進めるように促します。宿題の提出は「Google Classroom」を使います。新型コロナで使用頻度がぐんと増えました。

新型コロナの前と後で、先生や生徒さんに何か変化はありましたか。

原田先生 復習に役立ててもらおうと、小単元ごとに要点をまとめた10分程度の動画を配信しています。生徒から「一時停止できる」「繰り返し見られる」など好評で、継続したいと考えています。毎月行う章末テストの振り返りにも使えるようにしています。

日出学園中学校 メディアルーム

日出学園中学校 メディアルーム

「わかりません」は考えていないのと同じ

数学の力が伸びるのはどんな生徒さんですか。

竹村先生 点数は取れないけれど、数学は好きという生徒がいます。点数が取れないのは、「わかった」つもりになって反復練習をしないから。簡単なミスで点数を落としています。一方、目の付け所がおもしろい、間違えても数学を楽しめる生徒は後々伸びます。

間違えても、間違いを繰り返さないようにすることが大事ですね。

竹村先生 私は授業で生徒に「わかりません」とは言わせません。考えた結果、間違うことはある。けれど、「わかりません」は頭を使っていない、考えていない証拠です。
始めのうちは「間違えたら恥ずかしい」と思ってなかなか答えませんが、おもしろい着眼点には「いい間違いだね」と積極的に拾って、「間違いを次に生かせばいい」と話します。すると「間違えてもいいんだ」と思って自分の考えを言えるようになります。前向きに取り組めるようになれば力がついてくる印象を持っています。

好きなことに数学を生かすと上達が早い

中高6年間で、どんな数学の力を身につけてもらいたいと思っていますか。

竹村先生 問題解決する思考がしっかりできるようになってもらいたいですね。数学はそのための手段の一つです。与えられた状況を把握して試行錯誤しながら、正解にたどり着ける力を身につけてもらいたいと思っています。

原田先生 私は中高時代モンスターを倒すゲームが好きで、どのモンスターにはどの武器が有効か、自分でまとめて友達に配って一緒に遊んでいました。これは、数学の力にも通じると思います。自分が好きなこと、自分自身のこと、相手のことを分析して、根拠に基づいて対応できるようになってもらいたいと思っています。

竹村先生 陸上部顧問の私は、情報科の教員と遊びで加速度測定器を付けてタイムを測定しました。短距離タイプ、長距離タイプの走り方で、加速度のグラフの違いを見ておもしろがりました。いかに速く走るかを考えて体を動かすとタイムに反映されます。
自分の興味があることに数学的なエッセンスを加えると、早く上達できます。自分の興味関心のあることに生かせるように、机上の学びで終わらせない姿勢を持ってほしいと思います。

日出学園中学校 校舎

日出学園中学校 校舎

インタビュー3/3

日出学園中学校
日出学園中学校昭和9年、市川が市となった年に市川在住の有志によって創設された。生徒の特性を伸長することに重点を置いた私塾的な雰囲気を持つ寺子屋のような少人数、男女共学の教育を目指していた。当初は幼稚園、小学校のみだったが、昭和22年中学校を、25年には高等学校を開設して現在に至る。
「校訓」は児童・生徒たちへの深い思いを込めて『誠・明・和』と表現され、74年を経た今日まで本学園に脈々と引き継がれる。さらに、時代の流れとともに「何のための教育か」ということがその基底から問われている中で、『誠・明・和』を基にしつつ、現在から未来に向けた大いなる飛躍の場としての学校を考えて、「夢」というダイナミックな要素が取り入れられた。
2008年7月に竣エした新校舎は、小学校から中学校、高等学校までが同一敷地内に整備されている。天窓や大きな吹き抜けで光を取り込み、緑豊かな敷地、木の香る学舎を意識したつくりで、図書館とコンピュ一夕室を含むメディアセンター棟は、21世紀に必要な情報教育に理想的な環境を整備し、児童・生徒の知的好奇心を育む。多様な進路選択、少人数教育に対応し、一人ひとりの可能性を伸ばすことを考えた設計で、仲間や教員と活発にコミュニケーションできる開かれた空間も用意されている。各教室はグラウンドに面した南側に配置され、採光は十分。
生徒が勉強の成果や学校生活で感じたことを記録する「私の記録」と名付けられたノートは、生徒と教員、家庭をつなぐ役割を担う。特に中学校では、担任と副担任がクラス約30名の一人ひとりに目を配り声がかけ、対話の時間を大切にしている。職員室は生徒が気軽に足を運んで質問したり、廊下で談笑したりするなど、教員と生徒の距離が近く、アットホームな環境。英語、数学では、2年生から習熟度別クラスを採用。理解の進んだ生徒にはより深い内容を、理解が不十分な生徒には基礎をゆっくりと指導する。
部活動の参加率は高く、少人数校だからこそ、活躍できるチャンスがたくさんある。中高一緒の幅広い年齢層の部員による交流が特長で、人間関係や教室外の活動が豊かな心を育てる。また、行事では、中2対象の伝統ある臨海学校。社会人・大学生になった先輩達も駆けつける。さらに、高1・高2では、希望者対象でのオーストラリアホームステイもある。