シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

大妻中学校

2020年12月掲載

大妻中学校【理科】

2020年 大妻中学校入試問題より

(問)2019年はアマゾン熱帯雨林の火災が急増し、大きなニュースとなりました。熱帯雨林の減少によって起こりうる問題はいくつもありますが、その一つとして二酸化炭素の増加によって地球温暖化の進行が早まるのではないか、という心配があげられます。
火災で熱帯雨林が減少することで大気中の二酸化炭素が増加する、と考えられているのはなぜですか。簡潔に説明しなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この大妻中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

火災によって熱帯雨林が燃えることによって、大量の二酸化炭素が発生することに加えて、熱帯雨林が減少することによって、植物が光合成を行う量が減り、吸収される大気中の二酸化炭素が減るから。

解説

2019年には、南米のアマゾンで頻繁に発生した森林火災が話題を集めました。木は炭素をふくむため、燃えると二酸化炭素が発生します。また、熱帯雨林に生育しているたくさんの植物は、光合成を行うことによって、大気中の二酸化炭素を大量に吸収しています。したがって、熱帯雨林が火災によって失われると、大気中の二酸化炭素が吸収されなくなり、結果として大気中の二酸化炭素が増えることにつながります。
大気中の二酸化炭素が増えて温暖化が進むと、海水面の上昇や砂漠化の進行、生態系など、さまざまな現象に大きな影響をおよぼすため、熱帯雨林の減少が危惧されています。
アマゾンの熱帯雨林は、日本の面積の17倍ほどの広さがあり、その影響は特に甚大です。光合成によって地球の酸素の20~25%をつくり出しているという説もあり、「地球の肺」とも呼ばれています。

日能研がこの問題を選んだ理由

火災で熱帯雨林が減少すると、大気中の二酸化炭素が増加すると考えられている理由を説明する問題です。
子どもたちは、問題に示された文章から読み取った情報と、これまでに学んだ知識を結びつけることによって、熱帯雨林が減少することと、大気中の二酸化炭素が増加することがどのようにつながっているのかを明らかにしていきます。
この問題でのトピックであるアマゾンの森林火災は、昨年多くのメディアでとりあげられたこともあり、見聞きした子どもも多いことと思われます。この問題を通して、理科で学んでいることがらや知識が、世の中で実際に起こっている現象と結びつくことによって、気づきや発見が生まれたり、新たな疑問がわいたりすることを体験することができるでしょう。
このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。