シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

フェリス女学院中学校

2020年11月掲載

フェリス女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.文章をきちんと読み解くことができる力をつけてほしい

インタビュー1/3

小学校6年生の常識とは何か

問題の出題意図からお話いただけますか。

先生 この問題には、本文を踏まえて常識とは何かを考え、理解した上で、どのような問題意識を持っているかを問いたいという意図がありました。ですから、きちんと本文を読めているかが重要でした。現代社会で常識にとらわれていては何も生まれない、というのは本校の1つのスタンスだと思います。フェリス女学院(以下フェリス)は1870年に創立しましたが、当時の日本で女子教育を行うことは非常識なことでした。その常識を打ち破ったことからフェリスはできているのです。昔から「フェリスの常識、世間の非常識」と言われますが、常識にとらわれていては何も変えていくことはできません。アインシュタインは「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」という言葉を残しています。

フェリス女学院中学校 アドベントの集い

フェリス女学院中学校 アドベントの集い

着地点を定めて、そこに向かって書く

本文を踏まえているかどうかは解答からわかりますか。

先生 わかります。それは入試だけでなく、普段の授業や課題でも同じです。本当に自分が考えて書いているか、解答用紙を埋めているだけか、というのは、書かれた文章に如実に表れると思います。
私の授業では、100字を超えるような文章を書く時には「着地点から考えなさい」と言っています。行き当たりばったりで文章を書くのではなくて、着地点を定めて、そこに向かって書いていくことが大切なのではないかと思います。これは大学入試やその後、論文を書く時でも同じだと思います。

入試の問題文は読んで考えてほしい文章を選んでいる

問1はこの問題を解くヒントになっていますよね。

先生 問題の内容に触れることなので詳しくは言えませんが、良質の大学入試問題は順番に解いていくと前の問題が後の問題のヒントになっていることがあります。

良質の問題は設問を解いていくと深まりますよね。

先生 設問は出題者側の解釈ですよね。入試は受験生に文章を読んでもらう貴重な機会なので、問題を解くという行為の中で深く読んでいくということは大切だと思います。出題者側には、やはり読んでほしい文章というものがあります。大学入試問題を解いているとよくわかるのですが、その文章自体になんらかのメッセージがあります。

おもしろいなと思うのは、大学入試問題の漢文です。意外と現代的なメッセージを持っていることが多いように思います。昨年、北海道大学が出した漢文は「報復の連鎖は断ち切らなければいけない」というメッセージでした。
「前世で殺した相手が、現世で殺しにやって来る。それは避けることができない」という仏のお告げを受けた者が、自分を殺しに来た相手にそのことを伝えると、相手は刀を捨てて、「お前は前世で私を殺した。その報復で、今、私がお前を殺すと、来世は絶対にお前の生まれ変わりが私の生まれ変わりを殺すだろう。それが永遠に続く。私はここでそれを断たなければいけない。だから、お前を助ける」と言うのです。

私はこの問題に触れた時に、現代世界の報復の連鎖に警鐘を鳴らし、受験生に考えてもらう問題だと思いました。大学入試問題にはそういうメッセージ性があります。ただ単に入学選抜のためのテストではなく、読んで考えてほしいのです。そういう思いが入試問題には込められているのではないかと思います。

フェリス女学院中学校 授業風景

フェリス女学院中学校 授業風景

書きたいことがあれば200字では少ない

数年前から記述問題の文字数が20字ほど増えていますが、意図はありますか。

先生 特別な意図はありませんが、今回も設問で要求していることが多いですね。

そうですね。現代の常識をあげた上で、その常識を捨てた時に起こりうる変化を書くので、200字では厳しいですね。

先生 本当に書きたいことを書こうとすると、200字でも少ないと思います。記述式問題の指導をする時に「75字」、あるいは「100字で書きなさい」と言うと、生徒は長いと思うようです。ただ、ツイッターで書きたいことを140字以内でまとめるのは難しくて追記しますよね。自分の書きたいことが見つかると、100字、140字では足りないのです。与えられた文字数を多く感じるかどうかは、書きたい事があるかどうか、だと思います。書きたい事があるかどうかは、考えているかどうか、だと思います。大学生の卒業論文にしても、20ページ中15ページくらいが作品の紹介で、全然論文になっていないものがあります。それは書きたいことが見つかっていない、ということだと思います。

自分の考えを持つことが重要。文章を書く技術だけでは行き詰まる

普段から「考える」ということは大事ですよね。型にはまった国語の学習だけをしていても書けるようにはなりません。

先生 型にはまった学習をして来た生徒は入学してから苦労します。国語の授業だけでなく、レポート、発表、感想…、ありとあらゆるところで文章を書くことが求められるからです。
いつまでもテクニックだけで書けると思っている人は、大概、提出物を出さなくなります。書けないので出せないのです。「書く」は、なんらかの文章を読んで内容をきちんと理解し、自分の頭の中で情報を再構築して、アウトプットする、ということだからです。
ただ、そうした生徒も、本校の授業を通して、どこかでそのことに気がつきます。情報化社会ですので、いろいろな情報の中から必要な情報を得る、というテクニックだけでなく、作者や筆者が言わんとしていることをきちんと読み取り、考えることができなければ生きていけないですよね。そういう意味では広く本を読むことがとても大事だと思います。そして読みっぱなしではなく、考えることです。

フェリス女学院中学校 広島研修旅行

フェリス女学院中学校 広島研修旅行

インタビュー1/3

フェリス女学院中学校
フェリス女学院中学校フェリス女学院の教育理念“For Others”は、誰か特定の人によって提案されたものではなく、関東大震災後に、誰が言い出すともなくキャンパスに自ずとかもし出され、フェリス女学院のモットーとして自然に定着したものだということです。フェリス女学院では、“For Others”という聖書の教えのもと、「キリスト教信仰」・「学問の尊重」・「まことの自由の追求」を大切にしています。そして、生徒一人ひとりが、6年間の一貫教育を通して、しなやかな心を育み、つねに与えることができる、“For Others”の精神を持った者へと成長することをめざしています。校章には、盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字がデザインされています。盾は外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白・黄・赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。
外国人墓地や歴史的な建造物の多い異国情緒あふれる地域にある、落ち着いた雰囲気の学校です。創立者メアリー・E・ギターがこの地に開学して以来の歴史が、校舎を包む木々などから感じられます。2000年の創立130周年において新校舎建築となり、2014年には新体育館、2015年夏には新2号館が完成しました。中高の図書館には、図書・視聴覚資料・雑誌・新聞などの94,000点を超える資料があります。授業の課題制作や調べものや自習のほか、昼休みや放課後にも多くの生徒が利用しています。書庫は開架式で、図書を手に取って自由に選ぶことができます。
クラブ活動がたいへん盛んで、同好会、有志も合わせると約60の団体が活動しています。中学生では、ほぼ100%の生徒がクラブに参加しています。ほとんどのクラブが中1から高2まで一緒になって活動し、同学年だけでなく、先輩・後輩という他学年との人間関係が築かれています。中3からは、クラブ以外でも、気のあった仲間同士で同好会や有志を結成して文化祭に参加するなどの活動もあります。