シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

フェリス女学院中学校

2020年11月掲載

フェリス女学院中学校【国語】

2020年 フェリス女学院中学校入試問題より

(問)あなたが変えたいと思っている現代の常識を一つ挙げ、その常識を捨てたときにどのような変化が起こると思うか、あなたの考えを二百字以内で書きなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、このフェリス女学院中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

(解答例1)
私は「買ったほうが安い」という常識を変えたいと思う。確かに衣食住の全てに関わるものは、手作りするより出費を抑えられ、気軽に買い換えもできる。たとえば、私の着ている服も大半が既成品で、傷んだり小さくなったりすれば惜しげもなく処分する。しかし、手作りであれば愛着も湧き、繕ったり直したりすることも可能で長く大切にすると思う。そんな考え方がゴミ減量につながり、環境問題に良い変化が起こるのではないかと思った。

(解答例2)
現代を生きる多くの人は、心の中で思ったことなど現実の世界に少しも影響など与えないと考えているのではないか。よいことを思っても悪いことを思っても、それは自分一人の問題で、思うだけならどんなことを思ってもよいのだと。でも、そんな「常識」を捨て、心の世界と現実の世界はつながっていると考える人が増えたら、人はできるだけよいことを思うようになると思う。思いやりは行動にも表れ、世界は笑顔で満たされる。

解説

多くの人が「当たり前」だと思っていること、つまり「常識」は、私たちの身の回りにあふれています。そればかりか、「当たり前」だと思っているがゆえに、多くの人が、そこに疑いを差し挟むことすら出来なくなっているのです。

文章には、古代、中世の人間関係を、「現代の常識」に縛られたまま理解することはできない、と書かれていました。例に挙げられていた「アジール(聖域)」についても、「現代の常識」にとらわれていたら理解できないと。しかし、それを「いったんたな上げにする」ことで、現代に生きる私たちにも「アジール」の本質をとらえることができる。これが「常識を捨てる」ことの価値だと述べているのです。

自分のことでも、家庭のことでも、学校のことでも、社会のことでも、世界のことでも、どこに目を向けても構わないのです。「これって時代が変わったら、『当たり前』でも何でもないんじゃないか」、と思えることを探りましょう。そして、それがもしもなくなったら、どんなステキなことが起こりそうか、自由に想像してみましょう!

日能研がこの問題を選んだ理由

常識に縛られていては身動きの取れないコロナ禍を、そこで生きる子どもたちを予見したかのような問いです。

子どもたちに、「変えたいと思っている現代の常識がある」ことを前提に、それを捨てさせ、「君は、それで何がどのように変わると思う?」と問うのです。「変えるべき現代の常識」を発見するだけでなく、そこから解き放たれると、どのような変化がもたらされるのか。そこまで想像し、予想する。課題を発見、設定し、解決する力が求められる問いです。問いに取り組む人が、「自分の答え」を創りたい、知りたいと心から思える問いです。

フェリス女学院中を受験した子どもたちは、きっと豊かな答えを創り出したでしょう。そう強く思うのは、この問いが単なる知識のアウトプットでは対応できない、その場で考えることが要求される「生きた問い」であること。もう一つは、彼女たちが「心」の問題を大切にしている家庭に育ち、学校に進学しようとしている、「善く生きようとしている子どもたち」であること。この二つがあるためだと考えます。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。