シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

栄東中学校

2020年10月掲載

栄東中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.コロナ禍であってもアクティブラーニング

インタビュー2/3

中学1年では自己紹介文作成を実施

続いて授業についてお聞かせください。
アクティブラーニングは栄東の理念の1つであると思うのですが、アクティブラーニングは密になって関わり合っていくイメージがありますので、このようなコロナ禍の状況ではできないこともあると思います。去年まで実践されていたことと今年では何か違う点はありますか?

大塚先生 コロナ禍になって、話し合いは難しくなりました。各人の机にパーティションを設置しているので、ペアでやるのがギリギリのところです。

伊藤先生 中学1年では、1日入学や学校説明会のときに春休みの宿題を出すのですが、国語では自己紹介作文を書いてもらっています。そのあと、授業の中で自分のことについてLP法を使ってスピーチしてもらうという流れです。
この自己紹介は何も指導しないと単なるプロフィールになってしまいますので、そうならないように、たとえば自分の好きなものやこれならいくらでも語れるといった題材を選び、エピソードトークをするようにという条件を出して作文を書いてもらいます。とにかく自分というものを開いて見せてくださいとお願いしています。中には一生懸命辞書を引いて、言葉を探している子もいます。

今年はコロナ禍のためオンライン授業となってしまいましたので、まずはオンラインで説明して作文を書いてもらい、分散登校が始まったときにもう少し丁寧な説明を加えた上で修正してもらった経緯があり、作文の添削をする時間がじっくり取れたことで例年よりも内容が濃いものとなりましたね。中には友達の発表を聞いて、今度は自分もこうやって話してみたいという子もいました。

原稿は作ってもいいのですが、スピーチ本番には持ち込まずに、前に立ってポイントとなる言葉を黒板に貼りながら、内容をその場で思い出しながら話してもらいます。聞く側からすれば手元に資料もなく、音声だけで聞くのは大変なので、スピーチ終了後黒板に貼ってある紙を見れば話の流れが聞き手に見えるような工夫をしてほしいと指導しています。すると話すポイントについて深く考えたり、自分の伝えたいことは何だろうと考えたり、自分と向き合う時間ができます。
言葉を選ぶことは思考力につながるので、穴埋め問題を解くだけのようなものではない、と伝えるところからスタートしています。

国語科/伊藤 久美子先生

国語科/伊藤 久美子先生

中学2年では他者紹介やエッセイコンテストを実施

大塚先生 中学2年生の4月には、自己紹介でなく他者紹介をしてもらいます。単なるプロフィール紹介ではなく、まずは自己開示をして自分がどんな人間なのか自己紹介しながら、相手のことを聞き出していくことをしていきます。インタビューや質問ではなく、話しの中で相手の好きなことを聞いているうちに、その人らしさが見えてきます。自分を開くことで相手を知るというのをコンセプトとに他者紹介を行っていきます。

また夏休みの課題でエッセイコンテストに応募しています。今回は「世界とつながる自分」というのがテーマでした。外国へ行ってボランティアをするなどの体験をしている子は実際にはいませんが、SDGsを勉強することで知ったいろいろな国の問題や、社会の授業で土地について調べたりした経験もある意味自分の体験であり、立派な自分の考えだといった話をしています。能動的に動くことが体験に繋がるので、体験主体の自分の考えを発表させていくというのは、エッセイ等を通じて授業の中でも取り組んでいることです。

栄東中学校 生徒作品

栄東中学校 生徒作品

中学3年では優れたリーダー育成に主眼を置いた授業を展開

佐藤先生 中学3年になると時間的に中学1~2年でやっていたことを都度やるのは難しいのですが、栄東で学んだことの集大成として、国語の授業を通して何を学んだかという点を主軸に授業を展開しています。私学である以上、リーダーの育成は重要なミッションなので「栄東らしいリーダーシップとは?」という点については常に意識をしています。

大塚先生 自分の場合は子ども達自身に授業をさせています。ある程度は自分が生徒に説明したのち、子ども達で話し合いをさせて、授業内容を解説させたり、「理解できていれば説明できるよね」といったスタイルで反転授業をやったりしますね。

プレゼンは生徒の経験値を上げる効果的な方法の一つ

このような発信のプログラムは中学1年生~中学3年生までがひとまとまりとなったプログラムなのですか?

佐藤先生 そうですね。栄東独自の発信力育成プログラムであるLP法の研修などは高校の先生たちにもオープンにしています。毎年LP法の研修会をやっています。

伊藤先生 普通の教科書に載っている教材の中で、「この作者はこの作品を通して何を伝えたいか」を1グループで発表したり、作品の中で自分たちがより味わったものをテーマとして決めてプレゼンさせるという形で授業に取り入れたりしています。

講義の授業は教員にとっては効率がいいですが、生徒たちの経験としてあまり記憶に残らないというのがデメリットとしてあるので、ああだこうだと生徒たちが議論しながら自分達の力でつかみ取ったもののほうが忘れにくいと感じます。ただし話し合いの目的を理解させないままスタートさせるとただおしゃべりして中身のないことを発表しておしまいになってしまいがちですので、ここではこういうことを勉強するんだ、ということが明確に伝わるように事前に説明しています。

栄東中学校 図書館

栄東中学校 図書館

コロナ禍ではオンラインが大活躍

このコロナ禍の中でも授業内容の根本部分は変わらないと思うんですが、何か新たな試みのようなものがあれば教えてください。

伊藤先生 オンライン上で話し合いをするといったグループワークをやっていた先生はいましたね。

佐藤先生 中3ではパワーポイントを使って画面を共有し、オンライン授業を行っていたのですが、授業中に考えたことを1人ひとりパソコンで入力してもらい全員で共有していました。最終的には200文字くらいにまとめてもらったのですが、書くことや友人の意見を読むことが個々の学びに繋がったかなという気がしますね。

栄東中学校 教室

栄東中学校 教室

栄東に脈々と流れる伝統が生徒のプレゼン力を向上させる

伊藤先生 栄東の生徒は話すのがうまいと思います。物怖じして全く一言も話せず終わる、といった子はいないです。これは入学当初からそうだったわけではなくて「栄東はそうなんだ」「これがうちのスタンダードだ」「君たちの先輩たちもそうだったんだ」などと伝えていくと、そういうものなのかと思って、生徒はその気になってやってくれます。
また、校長が学校説明会に生徒を出演させて、親御さんたちの前でいろんなことをしゃべらせたりしています。質問に対応させたりしているので、受験生にもそのことはかなり印象付けられていると思います。

インタビュー2/3

栄東中学校
栄東中学校平成4年に中学校が開校し、中高一貫教育が開始された。時代の変化に先駆けて、アクティブ・ラーニングを取り入れ、「①授業、②校外学習、③キャリア、④部活動」という4つを軸に分けて展開している。授業での工夫という枠を超えて、生徒の学びの場すべてをアクティブ・ラーニング実践の場ととらえ、学校そのものがアクティブ・ラーニングの場である。特定の教員が実践するのではなく、全教員がアクティブ・ラーニングの実践者であることが最大の特徴である。
大学入試結果は教育の成果であり、そこにいたるプロセスと大学卒業後、社会で生きる力の育成に関する学校としての方針をアクティブ・ラーニングという理論に基づいて計画して実践している。授業は常に見学可能であり、教員同士がいつでも授業を見せ合う環境となっている。中1の入学時点では人の前でプレゼンテーションすることが苦手な生徒でも、中3までの間に至極当然のこととなっていくということである。
建学の精神「人間是宝」の理念は、『人間はだれもがすばらしい資質を持った、宝の原石であると考え、その原石を磨き上げ、文字通り本当の「宝」として育てること』であり、そのために、校訓「今日学べ」(今日のことは今日やり、勉強も仕事も明日に残さない)を掲げている。
広大な敷地には、勉学に専念するための充実した施設があり、先生方も遅くまで生徒たちの学びにつき合うことも多いという。勉強だけではなく、多くのクラブ活動も盛んであり、それは学校での生活すべてがアクティブ・ラーニングであるということに通じている。