今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
栄東中学校
2020年10月掲載
2020年 栄東中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)栄東中学校では、生徒全員が自分の読んだ本の紹介(しょうかい)を「読書ノート」にまとめています。そして、その年の最も優れた「読書ノート」を作成した生徒を「ブックマイスター」として表彰(ひょうしょう)しています。
そこであなたが今まで読んだ本の中で一番紹介したい本を一冊選び、その本の魅力(みりょく)を伝えなさい。
ただし、あらすじや要約だけでなく自分の感想や考えを中心に紹介すること。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この栄東中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
私が紹介したい本はミヒャエル・エンデの「モモ」である。効率的に時間を使うことにとらわれた人間が描かれており、その姿が受験勉強に追われる自分と重なった。自分らしい時間の過ごし方をふり返るきっかけとなり、友人や家族と過ごす時間のかけがえのなさに気づくことができた。
解説
問題の最後に「あらすじや要約だけでなく自分の感想や考えを中心に紹介すること」という条件が添えられています。よって、紹介したい本の名前や、本の内容をくわしく説明するのではないところに注意を向けたいところです。自分自身が本を手に取り、読み進めたとき、どんなところが魅力的であったのかを自分の言葉で説明し、その魅力が自分だけのものでなく、第三者にも伝わるように工夫をこらして表現していきましょう。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
栄東中学校の教育目標として掲げられるものに、次のようなものがあります。
一、けじめある心を育てる
一、自己開発に努力する心を育てる
一、創意工夫する心を育てる
一、敬愛と感謝の心を育てる
一、健全な体と心をスポーツで育てるこれら教育目標として掲げられた思いが込められた問題として、受け取ることができるものが、この「本の魅力を紹介する」という問題でした。
「紹介したい本」として、どのような本を選ぶのか、紹介したいところはどこか、人それぞれです。本を読んだ後、心に芽生える思いも、人によって異なることでしょう。また、内容を紹介する際に使う表現や工夫することにそれぞれの個性が際立っていくものだと考えられます。それが読み手に伝わったとき、読み手にも何らかの形で影響を受けるものだともいえます。
つまり、個人の考えを大切にしながら、心を育てていくという栄東中学校の理念が大きく反映されていると考えられるため、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。