出題校にインタビュー!
青山学院横浜英和中学校
2020年09月掲載
青山学院横浜英和中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.創立140周年。グローバルな視座を養う共学校として新たな歴史を築き上げていく。
インタビュー3/3
中2から海外留学。昨年は男女約20名の中学生がアメリカへ。
相田先生 クラブ活動以外にも男子が活動できる場は年々広がっています。本校はグローバル教育に力を入れていますが、アメリカに男子を受け入れてくれる学校ができました。コロナ禍で今年は行くことができませんが、昨年はアメリカのシアトルサマープログラム(中2、中3の希望者対象)に約20名参加し、アメリカの学生が集まるキャンプも体験しました。
参加率が高いですね。
相田先生 英語に興味があるようです。中1の夏休みに国内ミニ留学(希望者対象)と言って、学校で外国人講師とコミュニケーションを取りながら、自分の英語が通じる喜びを感じることを目的としたプログラムを行っています。3日間、朝から晩まで英語づけで過ごし、4日目に英語で発表を行うのですが、男女合わせて学年の半分以上の生徒が参加しています。そこで自信をつけて、英語力を積み上げて、中2で海外に行くという生徒が多いです。今年はグローバル系の活動が難しいため、つながりのある海外とZoomでやりとりをしました。
大学の正式プログラムで、オンラインサマープログラムを実施。参加者には大学からの正式な修了証も授与されました。
入試広報部部長 相田 賢二先生
中1から高2が自分専用のクロムブックを活用
校内のICT化が進んでいるようですが、クロムブックを導入したのはいつですか。
相田先生 昨年からです。現在の中3、高1、高2が持っていました。本来、中2の途中で配布し、高校卒業まで使用していく計画でした。今年は新型コロナウイルスによる休校を受けて、4月、5月の段階で中2だけでなく中1にも配布しました。
恩田先生 クロムブックにも種類があります。本校では丈夫な素材を使っているものを採用しています。採用にあたってはさまざまな議論がされたと思いますが、キーボードのあるものを、ということでクロムブックになりました。
相田先生 大学入試にパソコンが導入されるような流れもあるので、早いうちから慣れたほうがいいだろうという考えもありました。
高3以外は自分専用のパソコンを持っているので、休校中もグーグルミートで授業を行いました。全員アドレスを持っていて、教員との連絡もメールでできるので、今回はだいぶ助かりましたね。
4月からオンライン授業を実施。
オンライン授業は4月から実施したのですか。
相田先生 そうです。最初はクラッシーで動画を見てもらいました。
恩田先生 その頃は、もう少ししたら学校を開くことができるのではないか、という期待を持っていました。
相田先生 そうでしたね。でも、開けない状態が続いたので、5月の連休明けから、40分×5時間の特別時間割を組んで、リアルタイムでオンライン授業を行いました。我々はその間も動画を作ったり、グーグルミートを使っての授業を試行錯誤しながら構成したりしていたので大変でした。
生徒さんの反応はいかがでしたか。
相田先生 休校中は100人単位で授業を行ったので、生徒が声を出せない状態で進めました。やりとりはチャットで行いましたが、レスポンスがすごく早いです。英語の文章も、さっと入力するので、すごいなと思いました。
タイピングは情報の授業などで練習するのですか。
恩田先生 クロムブックを配布する際に、タイピングを練習するアプリの紹介はしてもらいました。楽しみながら取り組んだのではないでしょうか。
相田先生 入学式は5月の連休明けに実施しました。ユーチューブでライブ配信(学内限定)をして、新入生には自宅ではじめて制服を着て参加してもらいました。式に向けての校歌の練習はグーグルミートで行いました。
青山学院横浜英和中学校 教室
オンライン授業では対面授業とは違う生徒の一面が見られた。
オンライン授業を行って、新たに気づいたことはありますか。
相田先生 普段の授業ではおとなしくて、あまり反応しない子が、チャットではいち早く反応し、答えを書き込んでくれた、ということがありました。逆に、オンラインではあまり反応のない子もいました。そういう子は気づきにくいので、確認し、必要に応じてフォローをすることが必要だと感じました。また、保護者の方が生徒の横で見ていることもあるので、授業は緊張しました(笑)
恩田先生 保護者の方がお仕事に出られていて、生徒が一人だと機材の調子がよくないなど、何かあった時に助けを求められないので、そういうところは最初のうちは大変そうでした。
相田先生 今回は急でしたが、休校になった時に、すでに3学年がクロムブックを持っていて、授業を進めることができたのでラッキーでした。ICT化は5年計画で進めていて、今年が4年目になります。教室にスクリーンを入れるところから始まり、だいぶ学内のネットワークも整ってきました。クロムブックを持つ生徒も徐々に増えてきて、これからが楽しみです。
恩田先生 休校で離れている時に利用できるツールがあるというのはすごくありがたかったです。一方で紙や黒板の利便性もすごく実感できたので、そういう意味では(コロナによる休校は)教師としても勉強の機会でもあったのかなと思います。
青山学院横浜英和中学校 図書室
給食は学校生活の楽しみの1つ。
中高6年間、給食があるのですね。
恩田先生 現在(7月中)は(感染拡大防止の観点から)容器入り弁当形式の給食です。夏休み明けからは通常の給食になります。
先生方も生徒さんと一緒に食べるのですか。
恩田先生 給食は週5日ですが、中学生は週4日、高校生は週3日、学年の先生が順番に1教室に1人入って一緒に食べます。担任とは限りません。授業を担当していないクラスに入ることもあるので、「何しに来たの?」と言われることもあります(笑)。机を合わせて、グループになって食べるのですが、先生が入る班も毎日変わります。
ドライカレーやビビンバ丼…、揚げパンも給食のメニューですか。
恩田先生 はい。揚げパンが出る時は「洋風おでん」(ポトフ)というメニューが出ることが多いです。人気メニューはすぐになくなって、足りなくなることもあります。
相田先生 昼は給食ですが、朝や放課後などにパンやおにぎりを購入できる自販機も設置しています。
恩田先生 高校でも給食が出るというのは珍しいと思います。給食委員会が「からっぽ週間」を設けて、残食を減らす取り組みなども行っています。デザートの味を選べる権利などがかかっているので、そのために一生懸命食べている姿はほほえましいです。卒業間近になると高3生のリクエストメニューを献立に入れてもらったりします。
下級生よりも上級生のほうが給食に対する愛着がありそうですね。
恩田先生 そうですね。中学生よりも高2、高3のほうがそういう気持ちを持っていると思います。給食は学校生活の楽しみの1つになっていると思います。
140年の歴史が育むボランティア精神。
最後に、社会科の分野で活躍されている卒業生について教えてください。
恩田先生 模擬国連に参加していたり、ボランティアで海外に行った卒業生もいます。海外ボランティアは少し情勢が心配な時期で「大丈夫なの?」と聞いたら、「今行かなくては意味がない」と言っていました。卒業後に話を聞くと、幅広い視点を持っているのだな、と感じる卒業生たちが多いです。
歴史を学ぶ最終目標は「平和を実現すること」という先生の言葉通りに成長していますね。
恩田先生 授業が影響を与えたかどうかは別として、国内、海外を問わず、ボランティアをやりたいという子は多いです。昨年も海外でのボランティアを希望していた卒業生がいました。保護者の方に反対されているようでしたが、「どうしても行きたいので説得しています」と話していました。
そういう生徒さんは、どういうきっかけでボランティアを志すのでしょうか。
恩田先生 私が話を聞いた生徒は、中学生の時にたまたま触れる機会があって、それを念頭に置いて勉強している中で、再び授業で触れる機会があって、「行きたいという気持ちが再燃した」と話していました。
英語力が身についていることも大きいですか。
相田先生 本校の創立者はアメリカから来た宣教師でした。当時は、日本語と英語で授業が行われていました。それが本校の軸にあるので、英語教育に力を入れています。毎日授業があります。他者に目が向くのはキリスト教の教育があるからではないかと思います。本校は今年140周年を迎えます。それだけの歳月をかけて脈々と受け継がれて来た校風も、心を動かす要因になっていると思います。
青山学院横浜英和中学校 礼拝堂
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