シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

森村学園中等部

2020年09月掲載

森村学園中等部【算数】

2020年 森村学園中等部入試問題より

市場Aでは、早朝に商品Xの1個あたりの値段が掲示(けいじ)され、その日はずっとその値段で商品Xが売買されます。この市場でM君は2月1日に15個、2月2日に20個の商品Xを買い、合計金額は1200円でした。2月1日の商品Xの値段は1個40円でした。このとき、次の問に答えなさい。

(問1)2月2日の商品Xの値段は1個いくらですか。

(問2)K君は2月1日に友達から商品Xを1個あたり5円の料金を払って25個借り、すべてをその日に市場Aで売りました。そして、2月2日に市場Aで商品Xを25個買って友達に返しました。このとき、K君はいくら得をしましたか。あるいはいくら損をしましたか。

(問3)(問2)のK君の2日間の行動は、持っていない商品を借りて売っているため、経済用語で「空売(からう)り」と呼びます。K君は再び「空売り」をすることにしました。2月2日に友達から商品Xを1個あたり5円の料金を払って25個借り、すべてをその日に市場Aで売り、2月3日に市場Aで商品Xを25個買って友達に返します。
K君が二度目の「空売り」で損をしないためには、2月2日の時点でどのような予測ができればよいかを文章で簡単に説明しなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この森村学園中等部の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(問1)30円
(問2)125円得をした
(問3)2月3日の商品Xの値段が1個25円以下である

解説

(問1)1200-40×15=600(円)……2月2日の商品X20個分の合計金額
600÷20=30(円)

(問2)K君の所持金の動きを順番に追っていきましょう。
それぞれの場面で、どれだけの金額がやり取りされたのかを一つひとつ確かめていきます。
5×25=125(円)……2月1日に商品Xを25個借りるのにかかった合計金額
40×25=1000(円)……2月1日に商品Xを25個売って得た合計金額
1000-125=875(円)……2月1日終了時点でのK君の利益
30×25=750(円)……2月2日に友達に返すのにかかった合計金額
875-750=125(円)……2月2日終了時点でのK君の利益

(問3)(問2)と同じように、K君の所持金の動きを順番に追っていきましょう。
5×25=125(円)……2月2日に商品Xを25個借りるのにかかった合計金額
30×25=750(円) ……2月2日に商品Xを25個売って得た合計金額
750-125=625(円) ……2月2日終了時点でのK君の利益
2月3日に、K君は2月3日の商品X25個分の合計金額を払うことになります。
ここから、2月3日にK君が払う金額が625円以下であれば、損をしないということがわかります。
つまり、625÷25=25(円)より、2月3日の商品Xの値段が1個25円以下であれば、K君が損をしないということです。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題で登場した、経済用語の「空売り」。
大人が聞いても、詳しい人でなければ「それは何?」となってしまいそうな言葉です。
なんと、実際に商品が手元にない状態で、ものの売り買いがされているというのです。
実際には商品が手元にないのに、持っているかのようにやり取りをして、売り買いが成立している。まるで手品のような話ですね。
この問題は、空売りがどういったものなのかを知らなくても取り組むことができます。取り組みながら、空売りについて少しずつ触れていけるようなつくりになっています。
おそらく受験生の中に、「空売り」を詳しく知っていた子はほとんどいなかったでしょう。子ども達が知らないであろう題材が出題されている。ここにこの問題の出題の意図が隠されていそうです。

算数を学ぶのは何のためなのか。
算数という科目は、学ぶ目的がやや見えにくい科目なのかもしれません。
学ぶ目的・意義をはっきりと感じたとき、私たちは前向きに学ぶことができます。
この問題に取り組むことで、「算数で学ぶことがらが経済の仕組みにつながっているのだ」ということが感じられます。
算数がどこにつながっていくのか。算数が世の中でどのように役立っているのか。
算数を学ぶ目的・意義を改めて感じさせてくれる問題といえそうです。
このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。