今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
学習院中等科
2020年08月掲載
2020年 学習院中等科入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)災害を予防するために市町村ではハザードマップ(被害予測地図)を作っています。図1はある地域の明治期の地図で、図2は同じ地域の現在の地図です。また、図3は図2にこの地域のある自治体のハザードマップから想定しん水域を重ねたものです。地図中のは川を、は大規模なこう水があったとき深さ0.1m以上のしん水の可能性がある場所を示しています。これらの地図からどのような場所がこう水の心配があるのか、答えなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この学習院中等科の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
現在流れている川の周辺や、過去に川が流れていたところとその周辺。
解説
問題に示された3つの図のそれぞれからどのようなことが読み取れるのかをさぐってみましょう。現在の地図から、この地域には南北に流れている川があることがわかります。しかし、明治期の地図を見ると、南北に流れる川の他に、現在は川ではない土地に東西に流れる川があったことがわかります。さらに、想定浸水域に目を向けると、現在流れている川の周辺だけでなく、過去に川があった場所とその周辺もふくまれていることがわかります。
これらの読み取った情報を結びつけて推測すると、現在川があるところだけでなく、過去に川があったところも、洪水のおそれがあることがわかります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
過去の地図・現在の地図・ハザードマップを比較して洪水が起こる可能性の高い地域の特徴を推測する問題です。
子どもたちは、問題に示された3つの図のそれぞれから情報を読み取り、読み取った情報を組み合わせることによって、どのような土地で浸水する可能性があるのかを明らかにしていきます。この問題で扱われているテーマは、昨年の台風19号による河川の氾濫を目の当たりにし、世の中の流れとして防災への意識が高まっている「今」を反映したものでもあります。SDGsの目標のひとつに掲げられているように、住み続けられるまちづくりとはどのようなものなのかを考えるきっかけにもなります。この問題に取り組むことによって、子どもたちは、世の中で起こるさまざまな課題と科目の学びを通して見聞きすることがらがつながっているということに、改めて気づくことでしょう。
このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。