シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

関東学院六浦中学校

2020年08月掲載

関東学院六浦中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.自分が使える語彙を増やすだけでなく、活用する技術にも磨きをかける6年間

インタビュー2/3

漢字は自分が使える語彙となるよう学習してほしい

「漢字の読み書きの力が落ちている」という話をよく耳にしますが、どのように感じていますか。

佐藤先生 書きのほうができない印象がありますね。それを学習してきてほしいという思いを込めて出題しています。また、漢字の読み書きを大切にする理由の1つには、家での学習習慣を問いたい、という思いがあります。読みの問題では教科書を繰り返し音読しているか。書きの問題では細部まで自分で確認しているか。書けていないから練習しよう、という姿勢が身についているか。根気強く反復練習することができるか。漢字の読み書きは、そういう学習姿勢を見ることができる問題なのではないかと思っています。

漢字の学習は成り立ちも含めて、字の意味を理解し、自分が使える語彙として書けるようにしてきてほしいと思っています。そういうことから大問の中にもいくつか言葉の知識の問題を入れています。ことわざ問題であるとか、小学生でもわかる文法問題、 主語述語の関係や助詞の使い方などです。言葉をただ知っているだけではなくて、自分で使える語彙として身についているか。そこを大事にしています。

学習してきたことが問われる入試なので、子ども達は頑張って勉強してきてよかったという気持ちになりますよね。

佐藤先生 そういう形式の問題を毎年3割程度、出題しています。出題傾向は学校説明会でもお話ししていますので、「点数に結びつきやすい言葉の問題は勉強しなければ」と思って勉強してきてくださると嬉しいです。
自分はそちらが苦手だから読解問題を頑張ろうということでも、ある程度得点できるように作っています。読解の部分もすぐに力がつくものではありません。言葉を理解できているから文章も読めるということだと思いますので、しっかり学習してきてほしいと思います。

国語科/佐藤 芳恵先生

国語科/佐藤 芳恵先生

一人ひとりを丁寧に育てることにより人を信じる生徒に育つ

入試問題のすべてに意味があり、丁寧に作られているという印象を受けました。学校生活も同様でしょうか。

佐藤先生 受験生や生徒を一人ひとりを丁寧に見たい、ということは、恐らく教員全員が思っていることだと思います。育てたいという思いが、皆の気持ちの中にあると思います。
そういう気持ちを強くもつ教員が集まって、本校が形成されていると思います。人を育てるという行為は丁寧に育てればそのかいがある、というか。本校には3年間と6年間の生徒がいますが、 それぞれが本校の生徒になって卒業していくな、と思います。

本校の生徒とは、具体的にはどのような生徒さんでしょうか。

佐藤先生 人を信じる生徒になると思います。私たちは「神様がすべて見ていらっしゃる」ということを生徒に意識させるようにしていますので、何かをした時にたとえ結果が出なくても、自分の努力を見てくれている人がいる、ということは感じていると思います。教員だけでなく、生徒同士でも、そういう意識が働いているように思います。友だちのことをさりげなく思うことができる生徒が多いですね。それが少し広がって、地域の方のことや、社会の問題について考えるようになっていきます。

そのように育つのは日々の礼拝がベースにあるからでしょうか。

佐藤先生 本校において、礼拝は当たり前にあるものなんですね。特別なものではありません。皆、お行儀よく聞いているわけではありませんが、そこで伝えられるメッセージの中に伝わっているものはあると思います。

6年間、毎日行っていたら、受ける影響は大きいと思います。

野本先生 教員室で教員が話す内容は生徒の話ばかりです。 生徒達に対して、それぞれに想いをもって取り組んでいると思います。

関東学院六浦中学校 校舎内

関東学院六浦中学校 校舎内

生徒も先生も学校が好き

佐藤先生 休校期間中も、 オンライン授業の準備をしている間、 ホームルームだけはグーグルミートで行いました。実施する時間帯が登校時と同じ8時25分だったので、家で過ごしている生徒が集まるのか、心配でしたが、問題なく集まりました。 生徒同士で連絡し合ったようです。
休校期間中、このメンバーで生活したいよね、という気持ちをすごく感じました。ほとんどの生徒が、学校とつながりたいと思ってくれているので、教員として生徒に恵まれているなと感じています。

生徒さんも先生も学校が好きなのですね。

佐藤先生 そうですね。生徒は最後に「卒業したくない」と言いますからね。今年は休校になったので、「あと1年しかないのに登校できる日が減ってしまった」と嘆いていました。 実質12月までしか学校に来ないので、数ヶ月間がなくなってしまったことをとても残念がっていました。

多様な他者と理解し合うために必要な力を育てたい

6年間の国語科教育について教えてください。

佐藤先生 国語科で一番大事にしているのは、読む・書く・話す・聞く。いわゆる4技能を養うことです。本校では英語によるコミュニケーションに力を入れていますが、話す内容は日本語で考えるため、必要な語彙を身につけなければなりません。そこも意識しています。グローバル化する社会で、多様な他者と理解し合うために必要となるからです。学校の中も結構グローバル化していまして、バックグラウンドが異なる生徒がいますが、そういう多様な他者と理解し合えるように、言葉を的確に理解して読み取る能力や、言葉を用いて考える能力、あるいは日本の伝統文化を知る能力などを育てていきたいと思っています。

そして最終的には進路実現を可能にする学力を育成します。大学入試も多様化していますので、それぞれの方法に合わせた対策も考えています。その基礎に国語力があると思いますので、将来を考えた時に困らない学力は担保したいと考えています。

関東学院六浦中学校 グラウンド

関東学院六浦中学校 グラウンド

漢字の学習を通して自発的に学ぶ姿勢を養う

言葉を用いて考える力を養う、あるいは語彙を増やすために、どのような授業を行っていますか。

佐藤先生 漢字と語彙の学習に力を入れています。国語の授業でも教科書の漢字テストを実施していますが、それだけで身につくものではありません。自分で地道にやり続けることが大事なので、入学と同時に漢字や熟語の意味も学習できる漢字練習帳を購入してもらい、低学年のうちは、それを使って練習して先生に提出させたり、テスト後に間違えた漢字を練習して先生に提出させたりしています。そして学年が上がるにつれて、そういうことが自発的にできるようにしていきます。

また、言葉を活用する授業は国語だけでなく、「言語力活用講座」という授業でも行っています。国語の授業でも以前と比べるとアクティブラーニング的なことを取り入れたり、ビブリオバトルやグループディスカッションなどを取り入れたりして、自分の意見を言う機会を増やしていますが、語彙力や言葉を活用する力をさらに高めるために、より実践的な学びを行う時間という位置づけで行うことにしました。

日本語力を高める「言語力活用講座」を開講

野本先生 これまで国語科の教員が中心となって、朝のホームルームなどを使い、こまめに実施していました。本校の場合、朝は基本的に礼拝です。1日の最初に神と向き合い、心を落ち着けて、人としてどう生きるか、ということを考えさせる時間を設けているため、朝はしっかり時間を取れません。しかしながら、高校に上がると小論文を書いたり、進路に直結する志望理由書を書いたりします。総合的な学習の時間を使って実施している「地球市民講座」(中2・中3)でも文章を書いたり、プレゼンしたりします。人前で発表するには語彙力が必要ですし、わかりやすく説明するには論理立てて話す必要があります。いろいろな場面で「言葉の力は必要だ」という考えから、中学校段階で授業化することにしました。

この講座は、日本語の4技能の力を高め、思考力、判断力、表現力を身につける、ということをねらいとしています。今年度は中3で週1時間、国語とは別に「言語力活用講座」という授業を実施しています。来年度からは中1から中3まで、3学年での実施を目指して準備を進めているところです。

佐藤先生 生徒は自分の意見を述べることについてはハードルがありません。SDGsなど社会で起きているいろいろな問題について、自分なりに考えて発表したい、という意欲は多くの生徒が持っています。ただ、それが正確に相手に伝わるかどうか。正確に伝わるような伝え方ができているか、というところに課題がありました。ですから、次の段階として、論理的に思考し、アウトプットすることができる力をつける必要がありました。国語では国語科の方面から取得していくし、学年でもそういう時間を取っていく、ということです。

野本先生 現在はコロナの影響で、書く・読むが中心ですが、段階的にグループワークを取り入れ、聞く・話す機会を増やしていこうと考えています。

相乗効果で、国語の授業もグレードアップしていきそうですね。

佐藤先生 そうですね。そこで学んだことが国語の授業に生かされますし、国語で学んだことが「言語力活用講座」で生かされると思います。さらに英語などにも生かされると思います。

関東学院六浦中学校 校舎内

関東学院六浦中学校 校舎内

インタビュー2/3

関東学院六浦中学校
関東学院六浦中学校関東学院六浦中学校・高等学校は、その源流を横浜バプテスト神学校(1884年設立、校長A・Aベンネット、横浜山手)にさかのぼり、中学関東学院(1919年設立、初代学院長坂田祐、横浜市南区三春台)を経て、1953年現在の六浦校地に設立された。2003年には設立50周年を迎え、多くの卒業生を輩出する学校として、その歴史を形成してきている。
設立以来一貫して、キリスト教に基づいた学校教育を目的とし、キリスト教の精神をその基本としている。「人になれ 奉仕せよ」という言葉を校訓として、社会に貢献できる人材の育成を目標として掲げてきた。社会全体の変化に対して「共に励まし合う人」「社会に奉仕する人」「平和を尊重する人」という3つを教育目標としている。
6年間を「確立期」「定着期」「発展期」の3タームに分けてカリキュラムを作成している。オリジナル授業の「地球市民講座」では、地球規模の課題である「持続可能な社会」の実現に向けて、多文化理解と多文化共生について学び、主体的に行動できるための力を育む。また、大学が隣接しているメリットを生かし、さまざまな連携をしながら教育活動を行う。たとえば「大学理科実験講座」では、本校の中学生が大学の研究室に出向き、教授から直接指導を受け、大学での研究の最先端に触れている。
中学生の朝のHRでは、基礎学力の定着のため、国語(漢字)と数学(基礎力)で試験を行う。合格点を設け、基準に達しない場合には追試験や補習を行い、フォローアップ。平日の放課後、土曜日や長期休暇中には学習支援室Grace Roomで、苦手科目の克服や得意科目の力を伸ばすための補習・講習がある。自習エリアには個別ブース、オンラインでも質問ができる環境があり、各自の学習状況に応じた学びができる。1週間ごとの予定を書き込むことができる学校オリジナル手帳を全生徒が活用し、学習計画や面談の記録などを残す。定期的に組担任が生徒一人ひとりの様子を確認している。
海外研修も数多く、アラスカ研修では、オーロラ観測も行われる。施設訪問や地域清掃などの奉仕活動も盛んである。クラブ活動では、男女のラグビー部、弓道部、鉄道研究部などが、関東・全国大会で活躍している。